バッドエンドは嫌いです
※今回は、男女共に対して暴力、ショッキングな言葉や卑猥な表現が含まれております。
そういうのが無理、駄目、気持ち悪いと思われた方はご読書をオススメ出来ません。
あれから三日が経った。
ある日、自衛隊の戦闘機が上空を飛んでいたが、そのまま飛び去って行ったことがあった。
丁度、屋根の上で走りながら飛び移るという鍛錬をしていたので、正直びっくりした。
映画だと街の様子を記録するために、ああやって飛ぶというシーンがあったが、もしかしたらバッチリ写真を撮られたかもしれない。
ジャージ姿を撮られたと思うと少し恥ずかしい。
若林研究者はショッピングモールに物資を運びにやって来た若い集団とコンタクトを取っていた。
彼等はショッピングモールから3km離れた中学校から、先生と非難してきた大学生や社会人でチームを組んで物資集めをしていたらしく、ショッピングモールのゾンビ達も彼らが車やバイクなどを使って追い払ったらしい。
若林研究者はショッピングモールに中学校に居る避難者を迎い入れる気でいるらしく、私にも手伝って欲しいとポケベルで依頼された。
そんなこんなで、いま私は道路を走る四台の大型バスの先頭で走るバスの屋根に座り、監視兼護衛をしている。
"右の道はかなりいる。左の道に行って"
"了解です"
結局、依頼を受けた私は、総勢三十名の護衛という登山ガイドでもしたことのない人数に不安しかなかったが、目覚めてから身についた驚異的な視覚と聴覚を活用し、ゾンビの比較的少ない道を通ることで、安全にショッピングモールにたどり着くことが出来た。
「ありがとう七草さん。おかげさまで、みんな無事にたどり着けたよ」
"依頼だから大丈夫。でも本当に平気なの?"
バスでの移動だったので、音に釣られたゾンビ達はゆっくりとこのモールに近づいてくるだろう。
「ラジオで一週間後、ここに三回はヘリが来るみたいなんだ。多分ここで連れて行って貰えるのは90人前後。その間は、ヘリが来れない場所の救助活動をしようと思う」
"一週間後ね……その間にゾンビをなんとかしないといけないわね"
「そうだね……とりあえず車のバリケードで出入り口を二つに絞ろうか。正面を通行用にして、裏側は大型倉庫と繋がってるから緊急時の脱出路にしよう」
"籠城するの?それだと食糧消費を、月単位の計算にしないと生きられないわよ"
そう言うと若林研究者は鞄から何かを取り出した。
"それは?"
「成長促進剤。畑に野菜の苗や種を植えて、その上にコレを数滴垂らせば一週間で食べ頃に育つんだ」
若林研究者の鞄は青ダヌキの不思議ポケットだったようだ。
この男が普段何の研究をしているのか気になり始めてきたが、どうせ聞いても理解出来ないだろうと思い、文には出さず
"すごいね"
とだけ伝えた。凄く喜んでいた。
更に三日が経ち、ショッピングモールは更に人数が増え80人とかなりの人数となっていた。
私は若林研究者と共に住宅地を走り回り、生き残った人を探しては保護するという活動を始めていた。
ショッピングモールから車で二十分程走ったところのマンション。
十階建ての高層マンションの十階の窓に「HELP」と黒のマジックテープが貼られていた。
マンションの入り口に入ると私は、耳を澄ます。
"一階には誰もいないみたい。上の階は音が塞がれててわからないわ"
「わかった。とりあえず非常階段から上に行ってみよう」
私は、目の周りが空いたフェイスマスクを被る。
若林研究者との活動をし始めてからするようになったフェイスマスクは、知人がいた場合の厄介ごとを防ぐためにしていたのだが、最近になって若林研究者との活動がラジオで取り上げられた際に、私のことも謎の傭兵として取り上げられていた。
軍服を着た美少女がマスクを被れば、175cmもある身長も相まって何処ぞの傭兵に見えてもおかしくはない。
まさか美少女ゴリラニンジャJKから美少女ゴリラ傭兵JKにジョブチェンジするとは思わなかったが、過ぎたものは仕方ない。
十階まで階段で上がっていくと、異臭が私と若林研究者の鼻に届く。
一番強い異臭がする部屋の扉の電子キーを壊し、クリアリングして入るが、
「うっ……」
"遅かったみたいね"
そこには、下着姿の女性が窓のそばで死体となっていた。
若林研究者が背を反き、嗚咽混じりの涙を流している中、私は二人の遺体を遠目で観察する。
身体の自由を奪うためか、両手を後ろに縛られ、両足に至っては腱の辺りに真っ赤に染まった包帯が巻かれていた。
他にも所々に痣が出来ており、身体は骨と皮しかない状態から、誰かが彼女を監禁し、暴力を繰り返していたことがわかる。
部屋の周りを見渡すと空っぽのペットボトルや貯水タンクに缶詰の空き缶が大量に転がっており、他にも男性の下着や衣服などが散乱しており、汚い。
とりあえず女性の縄を解こうと近寄っていくと、階段の方向から足音が耳に入る。
__男、人数は三人。三人共に武器を所持。武器は形からしてマチェット。何かを二人がかりで運んでいる。
"住人が帰ってきたから、隠れて"
「わかった。七草さんはどうするんだ?」
"もちろん"
"殺すよ"
若林研究者がクローゼットに隠れ、私も彼らの彼等を伺えるリビングの天井に張り付き、隠れていると男達が帰ってくる。
__あ、鍵壊しちゃった
しかし男達は、ゲラゲラと笑いながら扉を蹴破り中に入ってくる。
「おーい!帰ったぞ。ミハルちゃーん!」
「お友達連れて来たよー」
男二人が運んできたボロボロの女性を床に落とすと、もう一人の男が死体となっている女性に近づく。
「おい、ミハル。ご主人様が帰って来たら返事しろって言ってんだろうが!」
男が思いきり蹴るが、女性がピクリとも反応しなかったことに面白くないのか、唾を吐きかけると、連れてきた女性の髪を掴んで持ち上げる。
「ッチ。つまんねーしコイツで遊ぶか」
男達がニヤついた気持ち悪い笑みを浮かべて下半身を露出した。
__気持ち悪いモノ見せんな。ポークビッツが
大振りの鉈を片手に持ち、自然落下からの一物狙いの三連斬。
「あ?あ、あぁアぁアア!?」
「イテェ……イテェよぉ……」
「ぼ、ぼくのが!ぼくのがぁ!!」
阿鼻叫喚の中、汚れた鉈放り投げて軍用ナイフを抜き、男達の腱と筋を切断し放置する。
"窓ガラス開けときますね"
叫び続けている男達を他所に私は遺体の女性を担ぎ、若林研究者に連れて来られた女性を担いでもらって、叫び声に釣られてゾンビ達が入って行く高層マンションを後にした。
テメェらの敗北はたった一つ。
たった一つのシンプルな答えだ。
"テメェらは私を怒らせた"
女性の遺体を綺麗に洗い、綺麗な服を着させ、見晴らしの良いところに埋葬してからショッピングモールに戻っていく若林研究者御一行は、気絶した女性が目が覚めるまで、終始無言だった。
初めて生きた人間を殺す為に斬った私だが、武器を所持した時からコレは人殺しの道具だと、両親から教えてもらっていた事もあり、ショックはそこまでなかったのだが、若林研究者は救えなかった命と見殺しにした命という罪悪感に駆られていた。
"全てが救える訳ではない。それは若林研究者自身がわかっていた筈よ"
「……ああ、わかってはいるんだ。でも……」
そんな様子の若林研究者に車の運転は任せられなかったので、ショッピングモールで乗り物を修理したりしている大人の人に教わった運転技術で道路を走っていた。
起き上がった女性、鹿子大学生は感謝の言葉と共にミハルという友人の安否を聞かれた。
"私達が見つけた時には既に亡くなっていた。遺体は埋葬したから、会いに行きたい時は若林研究者に言って"
若林研究者が後悔を浮かべた顔を更に酷くさせながら、「間に合わなかった。本当にすまない」と頭を下げる。しかし女性は涙を流しながら、若林研究者に頭を下げていた。
罵声を浴びせらると思っていたのだろう若林研究者は、下げられた頭に戸惑いを隠せないでいた。
「あの子を、彼奴らから解放してくれて、ありがとう……」
若林研究者は「ごめん……」と謝り、彼女に深く頭を下げていた。
しばらく、車内には泣き声が響いていた。
若林定晴
28歳
研究者
男
STR 8
CON 7
POW 10
DEX 13
APP 16
※改稿しました。
SIZ 14
INT 18
EDU 21
HP 11
MP 10
SAN値 50
アイデア 90
幸運 50
知識 99
二年後にはノーベル賞確実と噂されている男。
今回のキーパーソン。