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時刻は少し遡り、メアリーはと言うと。


「1人で待っているのも退屈だし何よりマキナ様が心配です……。最悪ユフィーを囮に……そして始まる私とマキナ様のハネムーン! グフフ。えへへ」


などと邪な考えをしていると、ふっと自分の名前の由来が頭をよぎった。

真名はバンシーだがベン・ニーアもまたバンシーである。


「んー。バンシーだと有名すぎるからあまり有名でない方を付けてくださったのでしょうか? 後でマキナ様に聞いてみよう! そうしよう!」


真面目になったり不真面目になったりと忙しいメアリーで有ったが、言われたことはきちんと守る優秀な神官である。

たまに盲目的になるのが玉に瑕だが。


それから暫くして車に付いていた魔力波ラジオを発見したメアリーはそれを起動すると女性の声が流れてきた。


『今月に入り罪人国家であるシルフ大陸のエーテルリアクタ施設長が何者かに破壊されている事が判明しました。これをアイオーン様は”由々しき事態だ”と延べ、魔導機械兵を増員することに決定しました』

「いい情報が手に入りましたね。マキナ様へのお土産にしましょう」

『また、裏切り者が居るとの通信が有った模様。これに対しては”裏切り者は鉄槌をくださないといけない”とお怒りの意志を示していました。処刑型アンドロイドの投入も検討されているようです』

「処刑型? 怪しいですね。これもマキナ様に報告しましょう」

『次のニュースです……$#“%&!』


魔力波ラジオにノイズが乗ったと同時に巨大な魔力が辺り一帯に広がった。

メアリーはこの魔力波に覚えがある。


「マキナ様の魔力? それもこんなに強大で重圧的な……。念のために車を入り口まで回しておこう」


車を建物の影から出発させるが、ガス欠寸前の様に車の出力が上がらない。

魔力波ラジオも先程からノイズが乗ったままで何も聞き取れないのだ。

施設に近づくに連れそれは大きくなる。

マキナの強大な魔力が魔導機械に影響を与えているのだ。


暫く経つと、強大な魔力は収まり車の調子も魔力波ラジオも復帰した。

メアリーはおそらく戦闘が終わったのだと思い車を施設へと急がしたのだった。




「さてメアリーにでも連絡をする……ってもう来ているな」

「アレだけ巨大な魔力を放出すれば嫌でもくるでしょうに」

「マキナ様ー! ご無事ですねー!」


2人は車に乗り込むとメアリーはすぐに車を移動させた。

いきなりの行動に不意を突かれたユフィーはシートを締める間もなく体をエアバックの蓋に打つけ、エアバックが開いたのだった。


「ちょ、ちょっと! わたくしに恨みでもあるのですの!?」

「急がないと行けない理由が有るから急いでいるのです」

「何が有った?」

「この魔力波ラジオでアイオーンが魔導機械兵の増員と処刑型?アンドロイドの投入をすると言っていたのです! 早く離れないと戦闘になる恐れが有ったので」

「増員か。それならまだいいが処刑型アンドロイドってなんだ?」


エアバックから悪戦苦闘しながら出てきたユフィーが声を上げる。


「しょ、処刑型アンドロイドですって!? メアリー、いい情報を仕入れてくれましたね。わたくしが説明いたしますわ。処刑型アンドロイドは裏切り者、犯罪者を駆逐する目的だけに作られたアンドロイドですの」

「で? 出力と武器は?」

「出力なんて桁違いですわ! グレースなんて足者にも及ばない! ……マキナの全力には劣りますけど。一度だけ見たこと有るのです。あの武器はAM(アンチマジック)が施されていて、魔力で強化されたものでも叩き切るわ」


アンチマジックなら使ったことが有るマキナにとってそれはよく分かる。

だが相手のアンチマジックより出力が高ければ無効にはされない。


しかし処刑型アンドロイドと言うにはおそらく戦闘データを取っていることとユフィーからの助言が有り、いきなり全力で叩き切るわけには行かない。

相手に情報を与えては命取りだ。


「とりあえず、徐々に出力を上げていくか」

「マキナ様、油断大敵ですよ!」

「問題はない。いざとなれば一瞬で消し飛ばす」

「容赦ないですわね……」


毛頭マキナには人を守る事しか頭にない。

それが製造された使命だからだ。


人間エーテルリアクタを管理下に置き、アイオーンを破壊することで歪んだ歴史を膨大な魔力を持って魔術で修正する。

歴史が修正されれば本来の歴史に戻り、人間エーテルリアクタも無くなる。


「(本来ありえない形で存在している物は時空の彼方へ消え去る。それは私とて例外ではない、だが……)」

「マキナ、何か考えているようですわね」

「ん? あぁ、ちょっとな。それより東施設はどんな感じなんだ?」

「わたくしと同じ常識人ですわ」

「暑苦しそうになくて良かった」


マキナの頭脳に筋肉アンドロイドの姿が思い出される。


「……リリスの様な特殊なシステムは持っていないのか?」

「たしか怒ると植物を操り攻撃してきますわ」

「これまた特殊なタイプだな。命に干渉するタイプか……メアリーはまた留守番だな」

「そんなー!」


駄々をこねるメアリーに会心の一撃を入れる。

それはユフィーをメアリーの代わりに神官とすると。

これには流石に黙り、真面目に運転を始めた。


「……ユフィーが神官になるんだったら一層の事ユフィーを壊して……ふふふ」

「メアリー、聞こえていますわよ」

「はっ!? 私は何を考えて!」

「いつもどおりだな」


若干ヤンデレ化しかけていたがすぐに正気にもどる。


そのまま東へと車を走らせる。

ふっとメアリーは先程の名前の由来について思い出した。


「マキナ様、なぜバンシーの私に同じバンシーを意味するベン・ニーアとつけてくださったのですか?」

「ん? それか、バンシーだと色々面倒事があるんだよ。特にバンシーの特性にある。だからあまり有名でない方をつけたんだ」

「政治家が重宝しそうなものですわ。妖精と言っても根本的な部分は精霊に近い。万物の根源を知る者であり、本来不可能なものはない」

「んー。そんなにべた褒めされても死を予知するぐらいしか能力ありませんよ?」

「それは自覚していないだけだ。精霊は神の手足だ」


よくわからないメアリーであったが、今はそれで良いと思っても居た。


それから数日が経ち、廃墟になっている住宅街を走っていると急にタイヤが破裂した。

メアリーは慌てずに車を停車させる。


タイヤが走行中にバーストした場合一番してはいけないことはバーストブレーキと呼ばれる事だ。

急ブレーキをかけたことによりコントロールを失い、事故を起こす恐れがあるからだ。


車が停車した次にはまたタイヤが破裂する。

全て片方だけのタイヤである。


「すぐに車から降りろ。狙撃されているぞ」

「了解です!」

「言われなくとも逃げますわ!」


3人が飛び出し、物陰へと入るとマキナの近距離レーダーに反応があった。


“警告。敵性反応あり、数100……尚増大中”

「ユフィー、シールドは張れるな?」

「もちろんですわ」

「メアリーと行動をともにしろ。メアリーもわかったな?」

「了解です!」

「行動開始だ!」




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