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2-1



しばらく車を走らせていると徐々にスピードが落ちてきた。

メアリーはそのたびにアクセルを更に踏み込みスピードを維持したが、それも限界が来た。


「あ、あれ? おかしいですね……」

「どうしたのですの?」

「スピードが落ちてきて……止まった」

「ん? どうした? 急に止まって」


マキナが後ろの席から体を乗り出してきた。

その時にはすでに車は止まっており、メアリーがアクセルを何度も踏み直している。


「しょうがないですわね! このわたくしが見てあげましょう!」

「頼んだ」


ユフィーが車の外部ポートへ接続すると解析を始めた。

結果はすぐに出た。


「あ、エンジン壊れて回すわね」

「えぇ……流れ弾でも当たったのですかね」

「雨も止んでいるし中見てみよう」


3人は車を降りると、エンジンルームを覗き込んだ。

すると斜めからエンジンに向かって銃痕が有った。


「壊れた原因はこれね。直せないことはないけど材料がないですわね」

「こんな時のマキナ様!」

「いくら規格外に復活したからなんて素材なしじゃ……」

「WLCS起動」

“WLCS -World Line Connection System-起動”

“他の世界線から可能性を検索”

“該当あり、反映”


その瞬間銃痕が有ったエンジンルームがかすり傷程度まで修復されていた。

これにはユフィーも度肝を抜かれていた。


「え、ええ!? 今のは何ですの? 時間逆行、物質創造ちがう、根本的に世界の法則が書き換えられた?」

「ユフィー感良いな。その通りだ」

「これぞマキナ様が持つ能力の1つ! 可能性の反映です!」

「可能性の反映ですって? ……他の世界線でエンジンが破損しなかった結果を反映したのですのね?」

「そう、流石情報処理に特化したAdministratorTypeだな」


マキナがそう言うと勝ち誇った様に胸を張って笑い始めた。


「オッホホホ! わたくしをもっと褒め称えてもいいのですよ! まあ当たり前のことです」

「それじゃ、目的地まで行こうか」

「はい! マキナ様!」

「あ、あれ? わたくしは無視ですの!?」


無事直った車に3人は乗り込みリリスが統括する西施設へと向かう。

途中、マキナは先程の話の続きを話し始めた。


「それでユフィー、私の可能性を反映する力と歴史改変をするアイオーン。どちらがどう違うか分かるか?」

「少し待ってくださいまし。」


ユフィーは考え込んでいるようだ。

2分ほど考えた結果答えを出した。


「アイオーン様……」

「アイオーン」

「……アイオーンの歴史改変魔法は世界線に紐付けられている人の記憶を操作する魔法。貴女のは無限に存在する世界線から目的の結果だけを見つけ出しこの世界線に反映する。違うかしら?」

「正解だ。次だ、私を直した技術者達は歴史改変により消えた。これはなぜだか分かるか?」


先程自分が言った答えと矛盾する事を言われ更に考え込む。

どちらかと言うとマキナの可能性を反映する力の方がしっくり来るが、歴史改変で消えるとなると他に理由があるとユフィーは考えている。


「難しいか?」

「こ、こんなの簡単ですわ! 今整理中だから黙ってくださいまし!」


更に5分後。


「ヒントやろうか?」

「ひ、ヒントなんてなくても……」


もごもごと口を動かしているユフィー。

いつになっても答えが出なさそうな気がしたマキナはヒントを出すことにした。


「ヒントは世界の修正力」

「……! わかりましたわ!」

「聞こうか」

「これはわたくしの中でも一番の候補なのですけども、そもそも歴史改変自体が世界線に若干働きかける効果を持っているという前提で話しますわ。」

「うん。続けて」

「1000年前に破壊された貴女を助けたのは当時の研究者達。しかし、歴史改変魔法が世界線に何度も働きかけた結果世界は矛盾を来してしまった。矛盾が生じたまま世代交代をした人間達は貴女の歴史改変を防御するであろう何かで守られていた。」


ユフィーは続けて話す。

マキナはそれを黙って聞いていた。


「しかし、それが無くなって世界の修正力により年代を遡って当時の技術者達の存在が消え、それに連なった子孫も消えた。これが答えですわ」

「合っている。では聞くが……そうだな、その消えた者達をもとに戻すのにはどうすればいい?」

「え? それこそ可能性を反映すれば良いのではありませんの?」


マキナは首を横に振った。

それを見て自分は何か間違えたのだろうかと思うユフィー。


「一度観測された結果はおいそれと変えることは出来ない。死んだ人間を蘇らすことが出来ないように」

「え? なら何故そんな質問を?」

「忘れてくれ」

「はぁ……」


マキナは車の窓ガラスから外を覗いていた。。


車を走らせること3日。

西施設、リリスの管理する人間エーテルリアクタの近くまで来ていた。

車はそばにある林に乗り捨て、インビジブルとシールド透過システムを起動した。


「行くぞ」

「了解です! 久しぶりにドンパチやってやりますよ!」

「私は……」

「サポートで頼む」

「わかりましたわ」


3人はゲートから侵入すると、制御装置がある中央に向かった。

ユフィーの時とは違い、魔導機械兵の数が多く、通れない道も多い。

だが、サポートとして就いたユフィーのナビゲートのおかげで迂回しつつもセキュリティに引っかからず進むことが出来た。


「扉のセキュリティ解除を頼む」

「任せてくださ……」

「わたくしがやりますわ」

「ちょ、私の役割取らないでください!」


なんやかんや言っているうちにセキュリティが解除され、入り口が開いた。

その途端レーダが赤く染まった。

扉が開いた途端銃撃してきた。

扉の奥に魔導機械兵が待ち伏せしていたのだ。


瞬時にシールドを展開するがインビジブルが解けてしまいセキュリティに引っかかった。

レーダーには続々と敵が集まってくるのが映っている。


「メアリー任せられるか!」

「任せてください!」

「ユフィー行くぞ」

「ちょ、ちょっと待ってくださいまし!」


魔導多目的ハンドガンをマジックシューティングモードにすると目の前の魔導機械兵を打ち抜き制御塔へ侵入した。

内部構造は南と同じ構造になっておりエレベーターのボタンを押したが反応がない。


「しっかり掴まっていろ、飛ぶぞ」

「ふえ! あわわ!?」


マキナは魔力の翼でエレベーターの入り口を破壊し一気に最上階へと飛ぶ。

すると上からエレベーターが落ちてきた。


「衝突しますわぁ!」

「出力3%、マジックバーストモード。マルチレイド・クロスファイアレイ!」

「ひえええ! 瓦礫が降ってく……あだ!?」


魔砲によりエレベーターは破壊され、蒸発させ切れ無かった破片が降り注いだ。

その一部がユフィーに当たり文句をマキナに言い始めた。


「ちょっと! 貴女、ちゃんとやりなさい! わたくしの美しい顔に傷が付いたらどうするのよ!」

「今度はちゃんとやるさ」


最上階のエレベーターの出口に到着すると、射線上に敵が一体いるのが分かる。


「出力10%、レイバースト」


壁を一瞬で蒸発させると、敵に直撃した。

しかし敵の反応は消えない。

出力10%の魔砲に耐えているのだ。

魔砲が終わり、制御室に入る。

そこには逆巻いた角を頭に二本、翼が生えており尻尾もある。

まさに悪魔と言える。


「侵入者! 端末にあんな魔力の法撃が当たったらどうする!」

「どうもしないさ。さて、お前を破壊して制御を乗っ取らせてもらう」

「わたくしは隠れてますので……」

「ちょっとそこの貴女! ユフィーじゃないの? オフラインになったと思ったら裏切っていたのね!」

「ち、違う! 逆らえないのよ!」


ユフィーはそう言うが、リリスの目は敵意をもっている。


「アイオーン様に報告させてもらう。ユフィーは裏切ったとね!」

「そ、そんな……。わたくしは……」

「それに侵入者! 貴女のことも報告させてもらうわ」

「どうぞ。お勝手に。報告が済んだら攻撃してきても良いぞ」


明様な挑発をするマキナ。

リリスの性格を分析した結果、憤りを感じると感情が急激に不安定になることが分かっている。

そのため報告も十分な内容とは言えないものになるだろうとマキナは予測した。


「本当にムカつく奴らね……下にいる侵入者ごと始末してやる! これは絶対!」

「どうぞどうぞ」

「……あああ! ムカつく! 死ね!」


リリスは魔法を放ってきたが、マキナのシールドに阻まれ消滅した。

それでも涼しい顔をしているマキナに更に憤り端末の事を気にしなくなっている。


「いい加減に死ね!」

「お前がな」


マキナはマジックシューティングモードで4発射撃を行った。

それらはシールドを容易く貫通すると四肢を破壊した。

支えを失った体は床へと崩れ落ちる。


「なっ!? わ、私の腕が! 足が!」

「脆いな。これで終わりだ」


そう言うと頭に銃を向ける。

そして引き金を引いた。






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