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車はシールド手前に来ると、一時停車し何かの魔法で包まれた。

するとシールドを無視して内部へと入っていったのである。

マキナギアはこの魔法を記録し、解析を始めていた。


「メアリー、インビジブルは継続しておくから端末を探せ。注意があるとすればインビジブルはあまり速い速度で動くと維持出来ないところだ。人間の平均時速なら大丈夫だ。行くぞ!」

「はい!」


走行中の車の荷台から飛び降りると、2人は別行動を始めた。

人間エーテルリアクタ内は太いパイプや魔力溜まりがあり死角が多い。

特にマキナにとって魔力溜まりは視覚に影響を及ぼすため非常に危険だ。

視覚センサーが一時敵にエラー状態になり、ブラックアウトしてしまう。


「これだけ居ると魔力溜まりがすごいな。危ないな」


魔力溜まりを避けながら中央に端末を探しつつ向かっていく。

町1つが巨大な施設になっているためたった1つの端末を探すのは難しい。

だが、大抵端末という物は見渡しが良い中央にあると相場が決まっている。


“警告、巨大な魔力反応”

「誰のだ?」

“不明。中央付近に反応。敵の施設長の可能性有り”

「挨拶のついでに施設を止めるか」


マキナは中央にあるだろう制御端末に向かって歩いていく。

途中何度か巡回している魔導機械兵と遭遇したがインビジブルは完璧に機能しており事なきを得た。

数十分かけて中央の制御塔まで到着したマキナは入り口の扉のセキュリティをどうするか考えていた。


「おそらくハッキング対策はされているのだろうな。なら扉をこじ開けるか?」

“非推奨”

「なら番号総当たりで押すか」

“セキュリティに引っかかる恐れ有り”

「どれも駄目じゃないか! ああ、もう良い扉吹き飛ばす」


マキナは太ももに着けているホルスターから魔導多目的ハンドガンを取り出すと、入り口の扉に照準を合わせた。


「魔砲で撃ち抜く!」


魔導多目的ハンドガンに魔力を流し込むと、魔法陣が先端に現れ魔力がチャージされ始めた。

流石にこの魔力ではセキュリティに引っかかり、警報が鳴り響き始めた。


“警告、敵接近。インビジブル無効化”

「遅い! 3基魔導炉出力1%、砲撃!」


収束していた魔力が解き放たれ制御塔の入り口を穿つ。

警報に合わせシールドが張られていたが、魔砲がシールドごと撃ち抜いた。

そもそも1%でも1万以上の魔力出力がでるのだ。


そんな出力がポンポン出ると思わなかったらしく、シールドは紙切れ当然だ。

シールドを貫通し、扉が蒸発した。

駆けつけてきた魔導機械兵に砲撃する。

シールドを張っていない魔導機械兵も蒸発した。


「メアリーに連絡、中央の制御塔までくるように」

“了解”


マキナは魔導多目的ハンドガンを構えたまま内部へと入る。

エレベーターが有ったが先程の砲撃で穴が空いていた。

仕方なく階段で上がって行く。


「もっとマシなシールド張れよ。制御塔だろうが!」

“疑問、飛翔”

「それを早く言え」


魔力の翼を生成すると階段の手すりからエレベーターの外壁を打ち抜き一気に最上階まで飛び上がった。


「撃ちなさい!」


エレベーターの入り口の前に居たマキナは魔力の上昇を感じ取った。

瞬間シールドを生成し、エレベーターの入り口が蜂の巣になる。


「侵入者も大したことないですわね!」


その時扉が吹き飛び魔導機械兵を直撃した。

装甲は歪んだがまだ動いている。

それに何事かと彼女は思っていた。


「失礼させてもらうよ。アンタだな? この施設の管理人は」

「な、何してるの! 出力全開で撃ちなさい!」

「うるさい魔導機械兵だ。失せろ」


マキナがトリガーを引くと外で駆けつけてきた物と同じ末路をたどった。

それにポカンとしている女性管理人。

もう一体の魔導機械兵も蒸発し残りは1人、いや1体だけだ。


「ひ、ひぃ! わ、わたくしを殺したらアイオーン様が黙っていないですわよ! おわかり!?」

「グダグダとうるさい機械だ。お前は初期設計が以前の私に似ているな。決めた、殺すのは最後にしてやる」

「ほっ」

「だが殺さないとは言っていない」

「ひぃ!?」


この管理人を分析していて思ったことが有った。

まず1つは有利に立っている時は態度がでかい、その逆になると引腰になる。

2つ、不明なプロトコルを使用しスキャンした結果機体名はDEMデーモン・エクス・マキナ001|AT《AdministratorType》だと分かった。

3つ、この機体には魔導炉が搭載されており制御装置とのリンクがあること。


「さて聞かせてもらおうか?」

「何をよ?」

「この人間エーテルリアクタの事だよ。何の目的で作った?」

「そ、それは言えませんわ! アイオーン様より誰にも話すなと……ひっ!?」

「今すぐにでもお前の魔導量子コンピューターをクラッキングして自我データを破壊しても良いのだぞ」


マキナは管理人の頭を掴みながら脅しをかける。

実際にやれば出来るのだが、そこまで非道ではない。


するとそこへメアリーが階段を全力で上ってきた。

到着するなり息を切らしていた。


「マキナ様! エレベーターが壊れている何で聞いていません! マキナ様への愛ゆえにここまで全力で来れたものの!」

「ま、マキナ!? 1000年前にアイオーン様に破壊されたはずじゃ!?」

「……知られたからには生かしておくわけには行かないな。通信を封鎖処理開始」

“了解。端末乗っ取り成功、通信機能シャットダウン”


マキナギアは先程の不明なプロトコルの解析が終わっており、それを利用してシステムを一部を除き停止させた。

人間を開放するにはまだ情報が少なすぎるからだ。

開放した瞬間、生命維持装置とつながっていて即死などとはシャレにならない。


「さて先程の質問に答えてもらおうか?」

「で、ですからアイオーン様に……ひぎぃ!?」

「今のは警告だ。次はない」


マキナは軽く自我データの一部をクラッキングし、破壊したのだ。

そのフィードバックでセンサーが狂い痛みが生じた。


「話します! 話しますわ! だから手を離してくださいまし!」


手を離すとホッとした表情を浮かべ立ち上がった。

すると一気に後ろに跳躍し、制御コンピューターに配置されていた赤いボタンを押したのである。


「今押したのはこの施設の自爆装置ですわ。これであなた達も……あれ? おかしいですわね? あれ?」


マキナに背を向け一心にして赤いボタンを押し続ける管理人。

そのギャグとも言える滑稽さにメアリーが吹き出した。


「ぶっ。あはははは! 端末ならすでにマキナ様が乗っ取り済み。そんなボタンを押しても意味ないですよ……くふっ。あはははは!」

「そ、そんな……わたくしはここまでなの……」

「全て無駄だとわかっただろう? さあ言え」

「……こうなったら、わたくし一世一代の大勝負! くらえですわ!」


拳を固く握りしめマキナではなくメアリーに突撃していく管理人。

しかしその手は笑いこけ、盛大に床で転がっているメアリーの動きを予知出来ず、拳は床を打ち抜き止まった。


「あ、あれ。抜け……ない! ちょっと! そこの方! 笑ってないで引き抜くの手伝ってくださいまし!」

「ぶはははは! ひっひひ! 私を……狙って外してるのですね! これが……ぶふっ。笑わずには居られますか!」


一生懸命腕を引き抜こうとしているが、まったく抜ける気配がない。

管理人の背後にマキナがたった。

その瞬間管理人の動きが止まる。


「マキナギア」

“了解”

「これからお前の魔導量コンピューターをクラッキングする」

「ひっ! や、やめ……あががががやややややめめてて」

“クラッキング完了。データ読み出し開始”


マキナは隣で笑いこけているメアリーを放置して淡々と管理人のデータを読み出していた。







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