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冬威? どう? 由起は女の子よね? ん?」

由起の部屋に初めて入った冬威。

ふたりの関係はどう変わる?

「冬威玄関狭いから早く上がって」

由起に急かされて部屋に上がる冬威。


「玄関上がってすぐキッチンなんだ〜。ここでお弁当作ったんだね」

「ここ他と比べてシンクも広いしIHもふた口あるの。それが決めて」


「由起ちゃんお料理好きなんだね!」

「やっぱり料理は出来た方が良いでしょ?」


「そだね、お料理好きの子に悪い子いなそうだもんね」

「でしょでしょ!」

由起のテンションが上がる。


「で、ここが洗面所とトイレ、お風呂っ」

「‥」


「冬威? なんで目を覆う?」

「だって歯ブラシとか二本あったらリアクション気まずいじゃん?」

冬威が覆った手の隙間から由起を見る。


「失礼ね〜。どおゆうこと? お部屋に男の人上げたのはパパと冬威だけなんですけど? だいたい歯ブラシ置かせる様な人いたら部屋に上げる普通?」

「ハハッそっかごめんごめん」

冬威の手を引いて部屋を進む由起。


「ここがお部屋〜可愛いでしょ? ってなんでまた手で目を覆う?」

両目をしっかりつぶってその上両手で目を覆う冬威。


「だって、すんごい下着とか干してあったら気まずいじゃん‥」

「あのね冬威? 仮にもし由起が、すんごい下着とか干してあったら『ちょっと待っててお部屋片付けるから』とかなんとか言って部屋に上げる前に片付けない? ってかそんなすんごい下着とか由起は持ってないって! 冬威のへ・ん・た・いっ!」


「ハハッそっかごめんごめん。由起ちゃんはキティちゃんか〜」

「ちょっといつ見えたの? 冬威の変態っ!」

そう言いながらスカートの裾を押さえる由起。


「見てないって、お・く・そ・く! でも当たったみたいだね」

「冬威‥ムカつくんですけど? 女の子にそう言うこと言うと捕まるよ? 最近 」


「ですね〜ごめんなさい」

「反省したならばよろしい‥冬威? 本当に見えてないよね? パンツ」


「あ、やっぱキティちゃんのパンツなんだ? 由起ちゃん可愛いっ。やはり守ってあげなくては‥」

「なにそれ? 子供扱いして頭にくる〜! 由起のはセクシーなキティちゃんのパンツだから! 小ちゃな女の子扱いしないで!」

冬威に煽られてムキになる由起。


「セクシーなキティちゃん‥」

「冬威のバカっ! 想像しなくていいから!」

顔を真っ赤にする由起。


「もう! 冬威そこに座ってて! 今コーヒー淹れるから」

そう言うとキッチンに向かう由起。


女の子らしい明るい色合いにまとめられた部屋。

清潔なシーツにまとわれた布団がきちんとベッドに収まっている。


部屋の隅にはダイニング兼勉強机のテーブルが置いてある。

整然として清潔な部屋は由起の人柄を表している様だった。


「冬威〜コーヒー入ったよ。って何やってるの冬威?」

床に座り込みベッドの下を伺う冬威。


「ん? 由起ちゃん! えっとねだいたいここに、いいもの隠してあるから見てたの」

顔を上げ由起にそう言う冬威。


「冬威? いいものって? エッチな本とかのこと言ってる? もしかして?」

「そうそう! みんなここに隠すんだよね〜」


「冬威? 由起は昭和の独り暮らしの男子学生じゃないんだよ‥?」

「あっ! そっかそっか、ごめんごめん〜間違えた〜」


「冬威〜!」

そう言いながら屈んだ冬威の耳を引っ張って起き上がらせる由起。


「痛てててっ! 由起ちゃん痛いよ?」

「冬威? 由起をよく見て! ってどこ見てんの! スカートじゃなくて由起の顔を見て!冬威? どう? 由起は女の子よね? ん?」


「うん! 女の子だよ由起ちゃんは!」

「だよね? 女の子はエッチな本をベッドの下に隠したりしないよね? 普通?」


「えっと、よくわかんないけど‥」

「し・な・い・のっ! ってか冬威そう言う本見るの?」

「見るよ〜友達の家のベッドの下から探して見るのが趣味なのだっ」

事も無げに言う冬威。


「変な趣味を平気でカミングアウトしないの‥ゼミの他の女の子にそんな事言わないでよ? お願いだから‥。みんな幻滅するって。冬威‥正直と言うかなんと言うか‥普通そう言う事隠さない?」


「だって由起ちゃん俺のこと好きなんでしょ? だったら全部知ってもらわないと。お互い無理したり我慢したりしてまでそばにいるのって辛いよきっと? で、由起ちゃんは幻滅した?」


「幻滅? う〜ん‥不思議としないな。お互いに理解ってさ、そりゃそうだけど‥でも初めはカッコつけるもんでしょ?」

「だよねーごめんごめん〜」

悪びれない冬威。


「まっ隠し事して嘘つく人より全然よいか‥ 。って由起いつからこんなに前向きな性格になったんだっけ?」

「由起ちゃんポジティブシンキングは美容と健康に良いよっ!」


「もうっ! 本当に冬威って変な人っ!」

そう言いながらも眉間にシワはなくいつしか笑顔で笑い出す由起だった。

そしてそんな由起を見て冬威も声を出して笑い出した。


由起の部屋にふたりの笑い声が響いた。





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