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風呂上りの由起、美夏、美優 三つ子誕生?

風呂上りの由起、美夏、美優はまるで三つ子になったように気持ちが重なる。

冬威はカウンターの向こう側にあるフードコートでアイスコーヒーを飲んで由起たちの帰りを待っている。

目をつぶり天井を見ながら何か思索をするように眉間にしわを寄せている。

そして強く決意したように目を開けると腕時計を触りアラーム設定をする。

「201X年5月6日…」

小さくそう呟くと瞑想するかのようにそっと目をつぶる。

冬威は深い迷走状態に入ったかの如くピクリとも動かない。


どれだけの時間が経ったのか、再び目を開けた時ちょうど由起、美夏、美優がキャアキャア言いながら脱衣所から出て来た。


「冬威~お待ちっ」

「お兄ちゃんずいぶん待った?」

双子がそれぞれに声をかけるが冬威は気が抜けた様にたたずんでいる。


「お兄ちゃん…?」

美優がぼうっとした感じの冬威を見て心配げに顔をうかがう。


「あっ美優! 出て来たんだね」

ようやく美優に気が付いた冬威。


「お兄ちゃん…なんか…」

美優が冬威の顔をしげしげと見ている。

「どうした美優?」

そんな美優を見て美夏がそばに寄ってくる。

「冬威…?」


「なんだよ美優、美夏? 俺の顔になんかついてる?」

そんな二人に冬威が言う。

「ううん、何もついてないよ、なんかぼうっとした感じだったから心配になっただけ…」

美優が疑念を振り払うように首を振りながら言う。

『美優は何か感じたんだ…美夏も良くわからないけど感じたし…美優の感情も伝わってきた…』

美夏はそう心の中で呟いたが、声に出すことはしなかった。

そんな姉妹の様子を見て由起も近寄ってくる。


「冬威? どうかしたの?」

「由起、どうもしないよ~。それよっか由起大丈夫? 美夏美優は長湯だから、のぼせなかった?」

「大丈夫だよ、美夏ちゃん美優ちゃんといろいろお話しできて楽しかったし、夕陽に染まる富士山とか夜景とか最高! 海もきれいだしすっごくすっごく良い時間だった!」

由起が興奮して言う。


「そっか…本当に良かった」

冬威は眩しそうな眼で由起を見る。


「みんななんか飲んでいく? 俺は待ちくたびれちゃってアイスコーヒー飲んでたけど」

「いらな~い」

3人の女の子が声を合わせて言った後、今度は顔を見合わせて同時に笑う。


「あはは~なんか息があったね、由起も美夏ちゃん美優ちゃんの姉妹になったみたい~」

「裸のつき合いがあたし達の気持ちをひとつにしたね!」

「なんだか三つ子になった気分だね、由起ちゃん! 美夏!」


そんな3人を見ながら愛おしそうに微笑む冬威。

「ほんとに良いの? 湯上りには水分補給した方がいいよ?」

「相変わらず冬威は女心がわかってないなぁ~」

「そうそう! お兄ちゃんは女心わかってないなぁ~」

「あは、冬威がいじめられてる~」


「なんだよ~3人攻撃か?」

「せっかくお風呂で汗かいたんだからね~美夏ちゃん美優ちゃん?」

「そうそう! ダイエットダイエット~」

「ってそんなにダイエットする必要もないだろあたし達!」

美夏がそう言うとまた笑い出す。


「じゃあちょっと待ってて…」

冬威はそう言うと席を離れ、冷たい水をグラスに入れて再び戻ってくる。

「冷たい水なら良いだろ? 汗かいた後には水分補給しないとね?」

「ありがとう~」

冷たい水を喉に流し込む3人。


「ぷは~っおいしい! やっぱり風呂上りの水は上手いっ!」

「って美夏、ビール飲んだ後のオヤジみたいだよ?」

「美優ちゃんオヤジはひどいよ~」

「ってでもさ、美夏思ったよ? きっと風呂上りのビールを飲んだ後のオヤジはこんな気持ちなんだろうなって!」

「やだ~そんなのわかりたくない~」

由起と美優が声を合わせて言い、笑う。

「じゃあ帰ろうか? 母さんが夕食の支度して待ってるよ」

「うん!」

冬威の呼びかけに3人が声を合わせて答える。


「ほんとに三つ子ちゃんになったっみたいだね」

微笑む冬威。

そんな冬威を見て3人もまた微笑む。


すっかり暗くなった外出る。

清々しい外気が火照った体を心地よく冷ました。

4人が乗った車が闇の中に消えて行った…。








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