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Twins 美夏と美優の企み…

一卵性双生児の美少女姉妹、美夏&美優の闇深い企みにパステルカラーの部屋が震える…

和室に脱ぎっぱなしになっている制服をまとめる奈々。

双子のうち美夏の分である。

「美夏〜ちゃんと制服かけなさい〜」

「奈々やっておいて〜」


「どうして双子なのにこうも違うのかしらね。美優みゆはちゃんと制服かけられるのに。美夏みかは、がさつというかなんというか…そう思えば顔つきまで違って見えて来るわね…同じ服着てても見分けつくもんねどっちがどっちか」

奈々が聞こえよがしに小言を言う。


美夏と美優は大きめのスウェットの上着にホットパンツを履いている。

しかし全く同じ服装をしていても母である奈々にはしっかりと見分けがつくと言う。


「奈々~美優は猫かぶってるの! それにね、そこに関しては対策済み! 見てて奈々…『ママ~美夏が意地悪ゆうの~助けて~』」

美夏が美優の口真似をする。


「あら、ほんと顔つきまで美優になるのね美夏」

奈々が感心したように言う。


「あったり前でしょ! あたし達一卵性の双生児だよ? 奈々? ポイントはここ、つまり眉をこうやって下げて~かわいこぶって甘ったれた声出すと美優になるの」


「あはは、なるほど…美夏は美優にも成り済ませるって訳ね」

「ちょっと~美夏! 今、美優のことバカにしてたでしょ!」

美優が美夏に突っかかる。


「あら? 今度は美優が美夏になった」

「ママ~ポイントはここ、眉をキッて吊り上げて口調を強く乱暴に!」

「あはは本当だ!」


「ちょっと美優、今、美夏のことバカにしてたでしょ!」

「美夏が先に美優をバカにしたんでしょ!」

美夏と美優がガヤガヤと揉めだす。


「あ~もう、わかったわかった同じ顔でけんかやめい! ややこしい」

「だって美夏が~」「だって美優が~」

ふたりが同時に奈々に言う。


「それはそうとママ? あのバッグどうしたの?」

美優が目敏く由起のバッグの存在に気が付く。


「あぁ…あれね、ちょっと預かってるだけだから気にしないで」

「ふ~ん…」

美夏と美優がダイニングテーブルに近づく。


「おっ! 奈々、クッキー焼いたんだ! いっただき~」

「美優も食べる~」

ふたりは競うようにクッキーを手に取る。


「美味しい~」

ふたりが声を合わせるように言う。


「美味しいわよね~」

「ってママが作ったんじゃないの?」

「それは頂き物よ。美味しいでしょ手作りだって」

「そう言われれば奈々のクッキーとちょっと違うもんな」


「…ママ? コーヒーカップがみっつ…そしてついさっきまで誰かがいたような気配…誰か来ていたの?」

美優がダイニングテーブルをしげしげと見つめ探偵の様に言う。


「え? あぁそうね…」

「奈々? 誰が来てたんだよ~」

「ん? うん」


「ママ? そう言えばお兄ちゃんは?」

「あら? 冬威の奴どこ行ったのかしら…」


「う~ん? なんか変だよ?」

美夏美優が声を合わせる。


「ママは知らないわよ、冬威がどこ行ったかなんて! そのうち帰って来るでしょ」

「…」

美夏と美優が顔を合わせる。


『美優、奈々の奴また誰か女の子呼んでるね?』

『うん! 美夏、美優もそう思う!』

『間違いないよね!』

双子の姉妹は声に出さず目線だけで会話をし同時に頷く。


「さぁ~ってと部屋に行って勉強でもしようかな~ね? 美優?」

「そうだね~小テストあるから勉強しますか? 美夏!」

「一番は渡さないよ美優?」

「今度は美優が一番なんだから美夏?」


「おぉ~良いわね~姉妹で競争! どっちも頑張れ!」

「は~い」

ふたり同時に良い返事をしバタバタと2階の部屋に移る。


「ほっ…どうやら誤魔化せたわね…っとこれからどうするかな」

奈々がひとり呟く。


一方部屋に帰った双子姉妹は…

「美優、奈々の奴また女の子連れ込んだね!」

「うん! 美夏、間違いないと思う。でっかいバッグが置いてあったし」

双子姉妹はついさっきまで小競り合いをしていたのが嘘のようにクィーンサイズのベッドに並んで腰かけてひそひそと話し合う。


「冬威のアホは全然気が付いてないけど、奈々は冬威の嫁さん候補探しのために…」

「ちょっと良いなって子がいるとね…」

「『今晩泊まってらっしゃい』だもんね~」

姉妹で声を合わせて母である奈々の口真似をする。


「冗談じゃない! 冬威の嫁さんってことは、あたし達の姉さんになるってことだよ?」

「そうよ! お兄ちゃんのお嫁さんはあたし達のお姉ちゃんなんだから…」

そう言うと無言で顔を合わせ…

「奈々の好きにさせないんだから!」「ママの好きにさせないんだから!」

ふたり声を合わせて言う。


「冬姉からなんか情報入ってる?」

美夏がラインをチェックしながら美優に言う。

「美優のラインには何も入ってないしグループラインにもない…。美夏の方は?」

「美夏の方にも何も入ってない…」

「ってことは大学関係じゃないのかな…?」

ふたり同時に呟く。


「それにしても…美夏?」

「なんだよ美優?」

「お兄ちゃんってさママが気に入ってお泊りさせてもほとんどその女の子と一緒に居ないよね?」

「そうだな…だいたい奈々がその子がどんな子か見極めたいだけであって冬威はそんな奈々の思惑何て全っ然気づいてないからね…」


「だとしたらさ? 今、お兄ちゃんその女の子と一緒に居るわけだよね?」

「…うん、ここに居ないとなるとたぶんそうだよな…しかもあたし達帰って来た時は確かにいたのに今は姿が見えない…。ちょっと冬威の部屋覗いてみるか!」

そう言うと姉妹で冬威の部屋に忍び足で進む。


美夏がそうっと扉を開き部屋の中を覗く。

美優は扉に顔を近づけながらも目をつぶっている。


「誰もいないぞ…」

美夏がそう言うとようやく美優も目を開き冬威の部屋を覗く。

「ほんとだ、誰もいない…」

ふたりは再び姉妹の部屋に戻る。


「よし! 美優ここは何にも知らないふりして冬威とその子が帰ってきたら部屋に突入な! あたしもバカっぽい妹の振りする」

「あたしもバカっぽい妹の振りするって? あたしもってどういう意味? なんか美優がバカな子みたいじゃん!」

美優が美夏に突っかかる。

「ってあたしたちが揉めてる場合じゃないだろ? 相手を油断させるために可愛くて何にも考えてない双子の姉妹ちゃんを演じるんだよ!」


「わかった…なんか釈然としないけど無邪気な可愛い双子ちゃんね…」

「そうそう! それだよ美優! さすがだね! 無邪気な…これで行こう!」

「わかった美夏!」

小競り合いはするものの流石一卵性双生児、まさに異体同心なのである。


「冬姉の情報は信用してるけど…」

「冬姉も関知していない情報だってあるかもだもんね? 美夏?」


「そう言うこと! じゃあ、ここは『冬威にべったりこってりくっつきひっつき! シスコンジェラシー大作戦』っだ!」

「うん! それで行こう! 合法的? にお兄ちゃんにべたべた出来るしねっエヘッ」


「大概の女の子だったら、あたし達みたいに夢の様に可愛い双子姉妹が日常的にそばにいるってだけでなんだか引け目に感じるみたいだからねっ! 美夏!」

「フッフッフッ…ハイファンタジーな一卵性美少女姉妹の力を見せてあげるのよ美優!」


可愛らしいパステルカラーで揃えられた双子姉妹の部屋が、暗い闇に包まれる様にたくらみに震えていた…。






 

 

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