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「別れ」ボツになったエロシーン2つ

7話「別れ」のボツシーンです。

てーく1


 男の斬り払った剣がロミイの男の子にしては華奢な首に食い込む。

 刃こぼれた剣は骨にあたってとまり、切断できない。半分だけ繋がった首から血が吹き出す。一瞬の叫び。ロミイは力を失って膝をついた。

 男はチッと舌打ち、ロミイの胸を蹴って剣を引き抜く。

 ロミイは血の海に転がった。

「いいかァーおめえら、大人しくしろ、このクソガキみたいになりたくなかったらな。いいな、喚くな」

 骸を足の裏で侮辱しながら、男は私たちに命令した。

 私の頭は混乱していた。

 ここは本当に、さっきまでと地続きな世界なんだろうか?夢なんじゃないだろうか?だって、ロミイが死んだ。人が死ぬところを見るのは初めてじゃない。でもそれは病気とか寿命で死んでしまうのであって……、人はベッドの上で死ぬものだ。そして、棺桶に入れられて、お花に包まれて、火葬。その赤い赤い火が魂を天に運ぶ……。

 俯く。足元に赤い血。

 赤い血が、夏の日差しでカラカラに乾いた地面に染み込んでいく。

 おかしい。

 こんなの私は知らない。

 だって……、

「うええええええええん」

 ハッとする。私の隣にいた男の子、この春7歳になった。

 泣いている。

 男の視線を感じて、顔を上げる。男の不機嫌そうな顔。

 殺される。ヨウはまだ7歳なのに。

 なんとかしないと、私が。

 血の池の中、膝をついてしゃがみ、泣きじゃくるヨウに視線の高さを合わせる。

 膝小僧が生暖かい……ロミイ……ウッ。

 死がフラッシュバックする。胃が収縮する。いうことを聞かない。

 それをなんとか抑える。引き攣った表情筋に意識を集中させようとする、動け、動け。

 ヨウの目を見る。

「大丈夫。……ほ、ほら」

 少し声が震える。でもギリギリ笑顔を作れていると思う。

 ヨウは泣き止まない。

 胸に抱いて、頭を撫でる。

「大丈夫。大丈夫」

 ヨウはウッウッと言いながら、少しづつだけど落ち着いた。

「えらい」

 よしよし、と頭を撫でた。

 大丈夫。大丈夫。今度は自分に言い聞かせる。少しだけ、安堵感が込み上げてくる。なにも状況は良くなっていないのに。

 立ち上がろうとしたとき、ヨウの顔がビクっとなり、再び泣きそうになる。

 背筋に悪寒が走る。

「えらいでちゅねぇー」

 私の耳元に男の顔があった。

 ゾッとして、視線をやる。反射的に飛び退いてしまいたかったけど、体が動かない。

 目が合う。

 男はいやらしく、ニヤリと笑った。

「俺、静かにしろって言ったよな?」

 男が囁くように言う。耳元で。脳裏に擦り込むような声で。

「どうしてやろうか」

 私の肩に触れた男の両手が背中、脇、くびれ……、下へ、下へ、ゆっくりと這い下がっていく。不快感がナメクジの足跡みたいに糸を引いて消えない。

 ふと、腰で指が休む。

 瞬間、胸に飛びついて、絡んだ。服の上から、執拗に、執拗に。まさぐる度に乾いた衣擦れの音が立つ。予想以上の触りごたえに喜んだのか、男の手つきは段々と激しさを増していった。

 声なんてでない。出るわけがない。恥辱に必死で耐える。私の反応の薄さに夢中になっていた男もやっと気づく。

 一瞬。イラついた表情を口の端に見せたが、すぐにニタッとした笑みに変わる。いいことを思いついた……そんな風な声が聞こえるようだった。男の指は胸の中心を探りはじめた。その一挙一動がどうだ?どうだ?と語りかけてくる……

「おい」

 もう一人の別の男の声に、胸を揉んでいた男の指が止まる。が、しっかり掴んでまだ離さない。男はやつれていて、猿男より少し身長が高い。この男も私たちの言葉で話す。

「やめろ、それ以上は感度が下がる可能性がある。もし、商品価値がなくなってみろ、命がないぜ?」

 それを聞いて、ビクッとした男は胸から手を引いた。とても名残惜しそうに。

 胸が自由になると、無意識的に今までの屈辱を早く洗い流そうとしているのか、急に周囲の色々なことに意識が向いた。

 目の前で、ヨウが不思議そうな顔で私を見つめていた。目が合う。いけないものを見たかのように、目をそらす。私は他の子供達、男たちに自然に目がいく。みんな気まずそうにハッと顔を逸らした。

 なぜか、さっき男から受けた直接的な行為よりも、その仲間の態度のほうが心にくるものがあった。


 もう誰も、侵略者たちに逆らおうとはしなかった。私たちは三列縦隊で歩かされる。

 背後から母たちの声がした。男たちはそれを必死で止めている。もうこれ以上失いたくないというふうに。

 子供たちは母親たちをチラチラ見るがもう騒がなかった。

 別れ際だというのに、私はパパとママを探す気になれなかった。



ていく2


 猿男が胸掴む。外見から予想していた以上に成長具合が良く、男の鼻息がスンと音を立てる。一度、二度……十分すぎる揉み応え。ふと猿男はアリスの母親をチラリと見て、納得。いい胸をしていると思った。

「なるほど母親ゆずりと言うわけか」猿男が言う。

 アリスは下唇を強く噛む。血が滲む。

 アリスは猿男に嫌悪感を示すべく睨みつけようとするが、緊張した首がうまく回らず、彼女の視線だけがグッと右による。

 それを認めた猿男はもっと見せてみろというふうに顔を前に突き出し、アリスの顔を覗き込む。その反抗的な目に、さらに気をよくした猿男の指が、今度は胸の中心を探り這い始める。そして、左は中指、右は人差し指が胸の中育った小さな抵抗を発見し、ピタッと止まる。残りの指が胸を強く掴み、探り当てた指先は正確に狙いをすまし動き始める。少女の純情に何層もまとわりつく忌まわしい白いベールを一枚一枚剥ぎ取り、奥に潜む情欲を掘り返そうと激しく動く。

 アリスが一瞬ピクっと揺れ髪が肩を撫でる。長い銀のまつげが慌てて下へ降り奥に恥辱を孕み始めた翡翠色の瞳を隠す。まぶたがキュッと閉じられる。口元に力が入る。白い頬に浮かぶ紅潮がいっそう鮮やかになる。湧き上がる痙攣を抑えようとアリスのまだ幼い腰がよじられる。

 感じない、なにも感じない。感じるわけがない。アリスは心でそう訴える。

 しかし、それが猿男にいっそうの興奮を注ぎ込み男心の縁に波打つ衝動を膨れ上がらせる。縁からこぼれ落ちた欲情、その一滴まで飲み干そうと猿男は夢中になる。無意識に激しくなる指の動きに合わせてアリスの服が衣擦れ、音を出す。そしてアリスの唇から我慢しきれなかった甘い吐息が微かに漏れた、その時。

「おい」

 仲間の声に楽しみを遮られ猿男はアリスの胸に食い込ませた指をやっと緩ませた。が、まだ離さない。指先を柔肌の上に残しそのまま胸から肩へ滑らせていく。感覚をじっくり味わう。肩の先に触れた指がやっと離れた。しかし、その名残惜しさの中後退する垢汚れた指は銀刺繍のように繊細なアリスの髪をすくいとる。男は自分のなしたマーキングを確かめる犬のようにそれに鼻を近づけた。そこに開きかけのつぼみの香りを嗅ぎ取った猿男は満足気に表情を緩め……もう飽きた。そんな風に猿男は遊びつくした玩具を捨て置くと、やっとのこと立ち上がった。


ていく2を友人に読ませたところ、想像以上に長くて3分の2読んだところで思わず吹き出したと言われました。


ハリキリすぎました。

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