□第六話
―――慰めてやりたい!!
そう思ってベンチに座ったが、俺は男の姿をしている咲哉じゃない。
と、今気づいた。(遅い
とにかく近くに行ったんだから、話しかけるチャンスだ!!
「……」
「……」
……話が思いつかないし、なんか気まずい。
真面目にどうしよう!!
そうぐるぐる頭の中で考えていると、蓮から声をかけてきた。
「今の見ていたのか?」
「……」
すぐに答えられず、下を向きながら黙ってしまう。
それを「YES」と受け取ったらしい蓮は、話を続ける。
「だらしないよな、俺。こんなみっともないところ見られて」
「そんなことはないと思います」
今度は蓮の顔を見ながら言った。本当は、
≪そんなことねぇーよ!!あの女がわりーんだ!!
と言いたいところだが、昨日葵に言われたとおりに敬語で話す。
平常心を持って。今の自分は咲哉じゃない。女の子なのだ。
「優しいな、あんた。名前は?」
そういえば名前は決めてなかったけ?ど、どうしよう!?
混乱した咲哉はアタフタしてしまう。
「えぇ…っとあのぉ…その…」
「?」
「咲く…咲く…桜子です」
なんかの呪文かよ!!と突っ込みたくなるが、パッと出た名前が普通なものでよかったと安心する。
「ありがとな。なんか、励ましてくれて」
「いえ、大丈夫で…す」
お礼を言われるとなんか悲しい。
彼女に振られたのがそれほど辛かったと言ってるようなものだから。
胸がズキズキ痛む。
突然、蓮は何か思いついたらしく、パッと笑顔になった。
「そうだ!メアド教えてくんねぇ?また会いたいしさ」
はい、っと口を出しそうになるが、いったん思いとどまる。
俺の番号教えたら俺の正体がばれる。
「ご、ごめんなさい。私、携帯持っていなくて……」
「珍しいな。携帯持っていないって」
「そうですよね」
蓮は、何か考え込むように腕を組んだ。
しばらくの沈黙の後、ゆっくり口を開いた。
「じゃあ、またここに来な。俺、いつでもここにいるからさ!」
突然の申し出に咲哉は笑顔がこぼれる。
「いいんですか?」
「おう!俺の友達インフルエンザみたいで、遊べねぇーんだ。だからちょうど話し相手できていいし」
「あぁーそうなんですか」
俺の代わりの話し相手かよ……。
なんか複雑だな。
……でも、また会える約束ができた!!
「それだけでも嬉しい」と浮かれる咲哉であった。
更新遅れてすみません。
話の内容を、あまり考えていなくて……。
できるだけ早めに更新できるように頑張ります!!