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□第十話

「あの、蓮さん。手大丈夫ですか?震えてますよ?」


 お化け屋敷を出て1時間。

 蓮はまだ体が震えていた。その証拠に乗り物に乗っている以外のときは蓮から手を握ってくる。

 さっきまでそれをからかっていた俺だが、ここまで来ると本当に心配になる。

 

「いいか。あんなものはもう一生乗らないからな」

「えぇ?」

「ゴーカートだ。ゴーカート。あんなにスピード出して転んだらどうするんだ?」


 その言葉に呆然としてしまう。

 そんなにスピード出したつもりはないんだけど……そんなこと言ったらジェットコースターすら……

 あれ?もしかして蓮……。 

 

「あの……蓮さん。もしかしてですけど、聞いていいですか?」


 俺は隣にじっと突っ立っている蓮に問いかけてみることにした。


「なんだ」

「もしかして、蓮さん絶叫系も駄目ですか?」


 さっきからそういえば絶叫系を乗っていないと思って、ジェットコースターに乗ろうと誘ったのだが、固まって動かなくなってしまったのだ。


「駄目じゃない。苦手なだけだ」


 なんて頑固な・・・。

 俺は小さく溜息をつく。

 何となく分かった。蓮は全経系が苦手だから遊園地に行かなかったのだ。

 プライドが高いのは知っていたが、絶叫系が駄目だということを幼馴染の俺にまで隠していたわけだ。


 ───なんか寂しい。


 ちょっと弱い部分だって見せてくれたっていいのに・・・・。

 ・・・あっ!

 俺はいいことを思いついたっ。

 

「蓮さん。ちょっといいですか?」

「あぁ?」

「あれは、あれに乗りましょう!!」


 俺が指差したのはロマンチックなメリーゴーランド。

 絶叫系駄目だとなると、こうゆうものしかもう残っていない。

 

 蓮はちょっと嫌そうな顔したが、


「分かった」


 と頷いてくれた。


── 一回だけのってみたかったんだよな。でも男だと抵抗が結構あるし・・・・。


 咲哉は意外とロマンチストであった。



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