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ANASTASIA  作者: 桜依 夏樹
Afterglow Restart&Reunion.
79/133

2-3 月下美人



 ヴェルメリオ帝国は30年前から魔法を否定し、明世界のように科学による発展こそが神の支配なき人類の叡智に通じるとして魔力を用いた新たな研究と機械開発を行っている。

 当時の新皇帝だったレーヒゥン・ラング・ヴェルメリオ第二十七代皇帝は、まず魔法による大々的な発展を遂げたカエルレウム連合公国へ大規模な侵略と戦争を仕掛けようとしたが、島に上陸する前に8割の船が大破して失敗。

 アトランティカ大海の荒波はともかく御三家の強固な護りの術を────"貴族のごっこ遊び"、と酷く揶揄し甘く見ていたのが敗因だったと後に結論付けた。

 そして30年の月日はかつての戦争国だったバルファス王朝はアーテル王朝へ、アルブス王国には不可侵の停戦協定を結ぶ等の過去には考えられなかった要素を築き今日へと至る。

 そこでこの疑問だ。何故、ヴェルメリオ帝国は今更になってファレルの血筋に連なる兄弟を狙ったのだろうか。

 魔法の概念を否定し、世界のカタチを命の在り方とは異なる方向から変えようとする赤の国が、宵世界でも随一の魔術師の家系になんの用があるのだろうか。

 二人は理由を知らない。

 ただし、御三家の内"魔法"を得意とする彼らならば──疑問の答えは容易に想像できる。

 もちろん今のリオンとレオンには覚えているけれど忘れているような、その程度のものなのだが。


 午後の熱を掠める列車は揺れる。

 仕事に行く者を、帰路に着く者を、どこかへ向かう旅人を乗せて線路の上を、太陽が輝く限りどこまでも。

 アルブスが国営する列車は陽が出ている時間にしか動かないという制約こそあるが、動力源に大気中の魔力を用いているため基本的には故障トラブルの類いはなく、明世界の"電車"よりも遥か昔に走っていたような趣のある速度と風が緩やかな度には心地好い。

 周囲には目的地も思考も違う家族連れ、老人や駐屯地帰りの兵士の姿もある。

 誰もが静かで穏やか、鳴るのは車輪が線路を回る音と動力炉の駆動音。時々赤子がぐずるのも日常のワンシーンを切り取ったかのようで微笑ましい。

 ──で、そんな他人事の平和から現実逃避をやめると今度は正面の現実とまさに向き合わねばなくなる。


「………………」


 レオン・ファレルは先程、いいや今朝から困っていた。

 昨日一年ぶりに再会し奇跡的な和解(当社比)を果たした弟のリオンが、敵の事情やこれから向かう場所のことより優先したのはまさかの自己防衛。しかも誰が相手かと言えばそれこそ兄、即ちレオンだ。

 当たり前だと言われるだろうが彼だって昨日のことは深く反省している。

 言葉にする間もなく事が運ばれてしまったためうやむやになったが、首を絞めたのはリオンが銀の腕と一緒に殺意まで失ったと思ったから闘争心を掻き立ててやろうと思っただけ。本当に殺してやろうとは思っていない、そう微塵も。

 しかし彼はやりすぎた。もしかしなくてもリオンは死の危険を感じ取り、こうして現在進行形で警戒している。

 ここで話を戻そう。彼は、困っている。


「……なんだ」

「ハイッ!?」

「用がないなら一々じろじろ見るな。目力の強さを自覚しろ、気が散るだろうが」

「わ、悪い……って言い過ぎじゃないか……?」


 フンッとそっぽを向いたリオンの表情はやっぱり機嫌が悪そうだ。

 存在そのものが不愉快だと言わんばかりに睨まれるまでいくと兄弟関係でもそれなりに落胆する……のだが、一々トゲがあるのにちょっと褒めているように聞こえるのは気のせいだろうか。

 まぁそんなことにはこれっぽちも気付いていないレオンの盛大なため息につられるようにして再び正面を向いた彼は、自らの言い分に沿うならばどうやら用があるらしい。


「兄上は、どうしてあの場所に俺が現れると知っていた?」

「あの場所?」

「ヴェルメリオの連中もだが、俺は昨日目が覚めたばかりで行き先もマーリンが決めてその座標に出てきただけだ。自力であの草原まで行ったわけじゃない、だから付けられているわけじゃなかった。なら兄上も連中も知っていたんだろう、そういうことだ」


 彼の言う通り、目覚めたばかりのリオンはマーリンが指し示した座標に扉を開いて出てきたに過ぎない。どこか目立つような場所から移動しようとしていたわけでもなく、突然なんの予兆もなく現れただけの彼を両者はどうやって見つけ出したのか。


「予知夢だよ」

「よ、予知夢……? いつから兄上はルミエールの生まれになったんだ、冗談はよせ」

「事実に決まっているだろう。さすがに真面目な時くらいはちゃんと話すさ」


 カエルレウムの御三家にはそれぞれに固有の魔法的能力がある。

 戦いにおいて数十秒後の未来を視る魔眼──物見(ものみ)心眼(しんがん)

 異形の魔法を無効化する魔法抵抗力の延長線──対異血脈(たいいけつみゃく)

 そして、ファレルとエレリシャスに連なるルミエールにはあらゆる形、特に夢で未来を視る予知能力があるのだが……奇妙なことにこれはルミエールの一族にしか発現せず、残る二つの一族には血を分けたとしてもその能力は備わらなかった。

 あり得ない、と言葉で言うのは簡単だ。

 しかしレオンは実際に予知夢で未来の光景を知った。愛する弟が帰ってくることと、ヴェルメリオ帝国の刺客に彼が襲われることを。

 ファレルでありながら物見の心眼は未来を映さず、エレリシャスの子でありながら対異血脈すら流れていない。そんなレオンだけがリオンの危機を知り、救出に向かうことができた。


「まぁそう言われると確かに予知夢なんておかしいこともあるな、とは思う」

「じゃあヴェルメリオの方は……」

「案外、奴らも同じかもしれないぞ? 予知夢とか神託とか」

「馬鹿は休み休み言え。そんなわけが────」


 ないと言い切れるか?

 もし、異変が起きているのがファレルだけなら他の御三家はどうしている?


「……ルミエールが、いや……穏健派がそんな真似をするはずがない」

「でも当たる未来予知といえば、ルミエールかフェガリ教の大司教かの二択だぞ」


 フェガリ教とはヴァルプキス西地方と南に位置するアトゥム大陸を中心に信仰されている宗教だ。

 大規模かつ有名であり、レオンが言うように大司教に選ばれる者には一説には神の力の断片──平行世界の可能性を知ることができる未来予知の能力が与えられる。要は起きうる可能性全て分かっているため外れないのだ。

 だがフェガリ教の教えは『慈愛』と『人種的共存』。

 異形や犯罪に対する武力は持つが基本的に争いを好まず、ご覧の通り侵略が大好きなヴェルメリオ帝国では対立の果て布教や信仰を禁じられている。

 つまり現状で最も怪しいのは消去法で御三家でも影の薄いルミエールだ。彼女らの場合、歴史を紐解けばかつての一族が分かれることには難色を示しており、現在でも御三家が再び一つになることを願っている。

 逆転の発想ではあるが、ファレルとエレリシャスが力を失えば三つの家系は合併せざるを得ないのではないか?

 ヴェルメリオの支配地となる代わりにそんな強行手段を取る──ないとは言い切れない。


「うーん……それだとジュノンかリオンが必要な理由にはならないんじゃないか?」

「エレリシャスと全面戦争を仕掛けるには戦力が足りない、これはどうだ」

「あの偏屈ジジイのことだから帝国軍総出で攻め込まれたらあっという間に降参するに決まってる。それに、ヴェルメリオには魔法と違って"機械"がある」

「……兄上にしては冴えてるな」

「失礼だな!?」


 魔法文明にはなかった機械がヴェルメリオにはある。

 しかも魔力が動力源であるため電気を必要としない、そういった意味では明世界とは別の方向で発達していることだろう。

 つまるところ予知を可能にする兵器が実現しているかもしれない。


「えー、間もなく終点のロザリア東市街地に到着いたします。お忘れものなさらぬよう、確認をお願いします。この後ストレリチアに向かわれるお客様は明日の日の出に南市街地発着所にお集まりください」


 いつの間にやら乗り継ぎかある町が近づいていたらしい。

 目的地はまだまだ先だが今日はここまでだ。夜になると盗賊とゴブリン種に襲われる可能性が上がるため、たとえ武装した兵士を乗せていたとしてもこの列車は走らない。


「結論を急いだって仕方ない。とりあえずまずは飯にして、続きは宿で考えよう」

「言っておくが部屋は別室だぞ」

「えぇー」

「そんな顔するな子供かッ」


 ────ロザリア市街地。

 アルブス王国都市部から約100km離れ、北で最も栄えている町。名前の通り、名産は白い薔薇(アルブスロザリア)

 崖を切り開いて造られたため段々になった町は、移動に有料の気球が使われたり元宮廷魔術師が風の魔法を駆使したロープウェイを運行している。

 発着所が不自然に分かれているのは崖の上と下という都合があるからだ。

 列車を降り街中に出ると、町の外周といたる場所に咲く薔薇の香りが風に乗って漂うのがよく分かった。


「さて、リオンの好きなものを食べよう!」

「少しは黙れ。あまり騒ぎになられても困るのは兄上だろう」

「はい?」

「まさかこの国でなにしたか忘れたんじゃないだろうな」


 思考停止後三秒、レオンはよく思い出し────。


「……時効になってないか?」

「なっているわけないだろうが……!!」


 男のレオン自身がどうなっているかは定かではないが、女のレオンは現在絶賛手配中だと思われる。

 殺し損なったとはいっても軍師二人を殺害しようと城に侵入した国家犯罪者だ。

 アクスヴェインはその場で消滅し、シャムシエラの遺体は燃えてほぼ跡形もない。よって主犯格の中で唯一生死に関する詳細が知れないのはレオンだけなのだ。

 無論ジェーン・ドゥを名乗っていたおかげで名前の方は分かっていないし、もしかしたら最後に協力したからシキが「まぁいいんじゃない? 僕ら無事だし」といったノリで不問にしたかもしれないが。

 なによりリオンの方はヴェルメリオ帝国にいつどこで付け狙われているかが一切分からないのだ。

 とにかく二人揃ってこのザマなのだから目立つような真似はしたくない。


「わかった、わかったよ。じゃあ大人しく静かに行動しよう、OK?」

「何故か俺が諭されている……」


 そんなこんなで移動を開始した二人は良くも悪くも確かに目立つ。

 なにせファレルの"元"次期当主と長男が揃って護衛もなく町を歩いているのだ。どこまで伝わっているか分からないがジュノンの誘拐未遂は大陸にも報が届いているはず、信じがたいという顔をされた。

 正直リオンは外で食事したくない。奇異の目に晒されることは学校生活で多少慣れたと思っていたが、やはり元の世界に戻るとこう胸の奥が握り潰されるような嫌な感覚がする。


「大丈夫か?」

「は……?」

「は、って……お前、ずっと青ざめていたぞ。よく気付かれてないと思ってたな」


 言われて気付いたが、通ってきた道は少しずつ人通りが少なくなっている。今はもう人影すら見当たらない裏の住宅地のようだ。

 なんだかんだ言われてもレオンは立場を崩さない。

 どれだけ馬鹿にされようが貶されようが可能な限りリオンには兄として接し、庇護する──それが今の彼にできる最大限の償いである。


「……すまない」

「こういう時は素直なのがまたお前の可愛らしいとこぉォッ!?」

「……地獄に落ちろ」


 ──まぁ、この言動で帳消しだが。


「痛い……痛いぞ愛の鞭……」

「なにかとんでもないモノに目覚めてないか」


 ブラコンストーカー女装癖マゾヒストとなるとさすがのリオンにも手がつけられない、国に帰ったら処す必要がある。

 グーで殴られたくらいじゃへこたれないのがよく分かったところで、目的地をリオンの独断で宿に定めまだ頬をさすっているこの大馬鹿者を引きずるように路地裏を後にした。

 ……その時だ。


「ハァイ、お若い二人。占いはいかがかしらぁ?」


 突如現れた女の声と気配に驚き振り返った二人の視線の先、グレーの長髪を巻いたエメラルドの瞳の彼女。

 一目見てすぐ分かるその美貌は一瞬で思考を奪い去り、なによりも強烈な印象を焼き付けたのは彼女が纏う衣服の──露出度だ。みぞおちの辺りから下腹部まで晒すそれは最早()()()()、なんなら布を巻き付けただけのようにも見える。

 そして女はその姿がよく似合う美しい体型をしていた。

 つまり────関わらない方がいい!


「…………兄上、先を急ごう」

「そうだなリオン」

「ちょっちょっと待ってぇ!? お姉さんの誘いを無下にするなんてひどぉい!」

「悪いが不審者には近付かないよう母上から教えを受けている」


 こんな変態露出魔と言われるのも辞さない姿で真っ昼間から出歩くような痴女がロクな人物でないことくらいとっくに成人した二人ならなおさら分かる。


「ま、まさか忘れちゃったの? わ、私よ? ね? ほら思い出してぇ!」


 と、言いたいところだが女はどうやら二人を知っている様子だ。


「はぁ……よく覚えています、タレイア・ルミエール殿」

「……レオンくんっ!! だぁい好き!」

「んがッ!?」

「んもう! お姉さんのコトからかってたのねぇ酷いわぁ!」


 そう、レオンを実り豊かな果実に強引に押し付け抱き締めたこの女、実は先ほどから話題に挙がっていた御三家──ルミエール現行当主の妹。つまり次女である。

 タレイア・ルミエール、それが彼女の名だ。

 元々家を継ぐ権利もその気もなかったおかげで十年以上前に実家を出て世界を旅する占い師となった彼女は、ファレルの長男次男をなんと産まれる前から知っていた正真正銘のお姉ちゃん属性。特にレオンは幼い頃の遊び相手だった。

 その当時からもう推定12歳くらいだったらしいが年齢は不明。現在も見た目だけなら20代前半に見える。


「は、離せ。兄上が死にかけている」

「あらまそうかしら、ごめんなさぁい」

「うっ……違う地平が見える……」


 弟の拳がご褒美っぽいレオンもアルブスカミーリアの香りで撃沈し、酸欠で噎せる姿はまともに見えなくもない。

 完全に被害者と化した彼にはかわいそうだが、リオンにとっては列車の時から怪しんでいたルミエールが自分から尻尾を出すという思わぬ好機に恵まれた重要な展開だ。

 異図がバレないよう、話を進めるとしよう。


「もしかしてぇ……怪しんでる?」

「……随分なご挨拶だな」


 話し出す前からまさか図星を突かれるとは想定外だ。

 一見すると頭の弛そうな見た目と喋り方をしているが、あちらもやはりそれなりの鍛練を積んだ御三家の女と言うべきか。


「だってリオンくん──目が怖いわぁ。それは敵を見る目であって、お姉さんを見る目じゃないもの」

「なら、仮に敵じゃないとして味方である証明は?」

「そうねぇ……同じ御三家、だけじゃあ不十分かしらぁ」

「悪いが俺は一度エレリシャスと対立した身だ。ルミエールだからと言ってそう易々と信じる気はない」


 正確にはオリオンがシャムシエラと対立した、なのでエレリシャスとは特に確執はない。むしろあの一族からすれば追放した女がやっと誰かに始末されて安心したことだろう。


「じゃあ、これはどぉ?」


 タレイアはそう言って懐から封筒を差し出した。

 丁寧に封蝋がされ、確かにファレルの当主が代々継いで次の当主候補以外の他人には決して見せないという指輪の紋章が刻まれている。


「膨らんでるな、なにが入ってる?」

「開ければ分かる」


 リオンは遠慮なく封を切り、中身のものを転がして手のひらに出す。

 肝心の中身は────その指輪だ。

 封蝋をしているのに指輪とはおかしな話だが、恐らく転移で後から封筒の中に入れたのだろう。

 こんなものを持っている、つまり彼女がエルシオン・ファレルから直々に手紙を預かったということだ。


「父上がコレを手放したということは……」

「ええ、ファレル公はもう起き上がることも難しいの。排泄以外ではベッドから動けず魔法なんて論外、ジュノンちゃんの教育も今はしていないとのことよ。どうにか延命の治癒魔法で持ちこたえているけれど」

「何故ルミエールのアンタがそこまでの内情を知っているんだ」

「裏切り者が、ファレルの使用人から出たからよ」


 二ヶ月前にジュノンを誘拐しようとした謎の集団、そのメンバーの一人が使用人の誰かが共犯であることを匂わせる発言をした。

 しばらく足取りが掴めなかったものの、それが誰なのかはエルシオンが倒れた直後に分かった。

 最初の事件が起きる一ヶ月前に雇われた食事担当の使用人が服毒自殺で死んだ。使用人室で見つかった遺体の近くには、彼の指紋がこびりついたコップと大量の薬が入った瓶が落ちていたらしい。

 聞けばその男は不安がるジュノンに寄り添い仲良さげにしていたという。

 これだけなら事件性の高さを疑えたが、問題なのが食事担当という点だった。


「彼はファレル公が再起不能になるまで遅効性の毒を食事に入れ続け、役目を終えたことで裏で糸を引く何者かに自殺を命じられた──それがあちらの考えよ」

「そういえばリオンがヴェルメリオ帝国の奴に食らったのは……」

「関係がないとは言えない、か」


 自殺した新米使用人がヴェルメリオの手の者である場合、エルシオンはまずここ最近雇われた使用人を信用しなくなるだろう。

 しかし古参の使用人はジュノンの護衛も任せている者がおり、リオンに指輪を預けるためにいなくなればただでさえ脆弱性を増している屋敷の警備も甘くなる。

 なので御三家を頼った。強力だが傲慢なエレリシャスより、ルミエールの──旅人でもありヴェルメリオから警戒されづらいタレイアをだ。


「どうやらアンタは信用に足るらしい」

「やーん! 信じてくれたのぉ?」

「その口調はどうにかならないのか……それと、指輪は兄上が預かれ」

「なんで!?」

「いらないからな」


 半ば強引にレオンの両手に指輪を叩きつけたリオンは深く考える仕草をしつつ、町の奥へ消えていく。


「あぁん! 私も連れてってぇ!」


 次いでタレイア。

 ────タレイア。


「ちょ、ちょっと待てッ!!」

「あらら? なぁに、レオンくん」

「なんでタレイアお──殿が、ついていくんだ!?」


 いくらリオンに信用されたからと言ってもその後ろをついていく理由には一切ならない。

 むしろ旅人ならこれからも旅を続ければ良い。


「そりゃあもちろん、私も一緒に帰るのよん」


 どうやら旅は終わったらしい。

 なんだか凄まじいデジャヴに襲われたレオンは頭を抱え、その場で項垂れるしかなかった。


「これからは私も二人を守ってあげるから、お姉ちゃんをちゃあーんと頼って──ね?」



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