専門用語集(※ネタバレ注意)
■場所、国名■
*明世界と宵世界
それぞれ機械文明が発達した現代が明世界、魔法によって進化した世界が宵世界を指す。
本来は互いに不可侵とされ干渉は許されていないが、明世界にいるはずのない異形が現れるという異常事態がきっかけでバランスが崩れてしまい、選ばれた剣士は異形退治のため世界を越えることを許可されていた。
*梓塚市
関東地方某県の限りなく町に近い小さな市。
1990年を境に、深夜12時から朝日が昇るまでの時間帯に異形が現れるようになり、深夜帯は外に人間がいないという異常な現象が起きている。
*アーテル王国
宵世界ヴァルプキス西地方の王国。通称「黒の国」。
かつて世界最大規模の軍事国家と称された大国。
兵士には出身不明の人物が多く見受けられ、人種よりも実力至上主義であることが伺える。
暴君であった前王の時代には戦争が絶えない国だったが、アーテルハルダ王朝は異形討伐に力を注いでいることで各国の信頼を回復しつつあるらしい。
*アルブス王国
ヴァルプキス西地方の王国。通称「白の国」。
自国防衛のみの軍事力しか持たない平和主義国。黒の国とは防衛のために同盟関係にある。
陽光を平和の象徴として扱い、暖かな気候に恵まれている。
*カエルレウム連合公国
ヴァルプキス西地方アトランティカ大海に位置する島国。通称「青の国」。
元々はひとつの一族であったファレル、エレリシャス、ルミエールの御三家がそれぞれ領地を治めている。
*森聖領域ヴェール
ヴァルプキス西地方の精霊の森の中にある小さな国。通称「緑の国」。
森の名の通り、精霊と呼ばれる無害な異形変異体たちが人間と交わることを避けるためにひっそり暮らしている。
*花の楽園
世界と世界の狭間に存在する時の概念を失った異空間。
岩山や湖がある外周地域、森に囲まれた中心地域に分かれており、花々が咲き誇るその大地には永久を生きる夢魔の魔術師が居ると云う。
■魔法、遺装、限定開花、追想武装関連■
*魔法
十五円環と呼ばれる十五種の魔術の総称。
十三種魔法の円環の内9つの外円環は、属性魔法・治癒魔法・精神魔法・複製魔法・防護魔法・操作魔法・呪術魔法・転換魔法・変化魔法と呼ばれ、他5つの内円環は逆転魔法・召喚魔法・幻想魔法・空間魔法・時操作魔法、そして中心は創造魔法と呼ばれる。
創造魔法以外はここから更に細分化、100を越える数となる。
その100を越える魔法を大きく分ける場合、肉体干渉型・精神干渉型に分かれ、精神魔法以外のほとんどが肉体干渉型と言われている。
*遺装
神話や伝承にまつわる逸話を持ち、なんらかの理由で明世界から宵世界へと流れ着いた武具を指す。
これらには本来は正式な所持者がおり、オリオンたちが普段扱う際には一定の性能を抑える"外装状態"が付与されている。
大量の魔力を注ぎ外装状態を解き本来の能力を一時的に解放することで"限定開花"を発動し、武具に封じられた最上位魔法を発動させることができる。
*神造遺装
神話に登場する道具、いわゆる"神造物"の遺装を指す言葉。
リオンが所有するヌアザの"銀腕・アガートラーム"や北欧神話におけるトールの"雷鎚・ミョルニル"などもこの部類に含まれる。
*聖剣・エクスカリバー
アーサー王伝説に登場する世界で最も有名とされる聖剣。
魔剣や悪魔といった邪悪を弾き選ばれし者には星の力を授けるが、同時にアーサー王以外を所有者に認めない性質を持つ。
彼の死の際に湖へと返還された後、永久にその存在は失われたと云われているが、作中では宵世界に送られ精霊の森の湖に沈められていた。
約20年前にユーサスの手で持ち去られ、幼いオリオンが所持者にされたことで彼の運命は大きくねじ曲げられてしまう。
*蒼剣・ガラティン
エクスカリバーと同じくアーサー王伝説に登場する騎士が保有していた太陽の剣。
あらゆる炎熱の属性魔法をも退ける炎を放ち、所有者に太陽の加護を授ける。
本来は聖剣によく似た一振りの剣だったが、なんらかの経緯で明けの太陽と宵の太陽の二振りに分離し現在の形となった。
今の持ち主はキャロル・アクエリアス。
*銀腕・アガートラーム
治癒神が造り上げた銀の右腕、別名「ヌアザの聖腕」。
神造遺装の一種であり、その中でも強化や治癒といった非攻撃的な要素に長けている他、限定開花を二種有している。
体内の魔力を通して肉体に定着するため、普段は完全に所有者の肌や血肉と同様の性質に変化するが体から離れると元の銀色に戻ってしまう。
逸話としては右腕の義手のはずだがリオンは左腕にしているなど不明点が多い。
*銀弓・フェイルノート
アーサー王伝説に連なる騎士の弓。
必中の力を持つ美しい銀色の弓だが、リオンが所持するのは形だけを真似ただけの贋作遺装なので必中能力はない。
*銀剣・クラレント
レオンが所持する反逆者が振るったとされる遺装。
支配者に対して強力な特攻能力を持つ他、記録された無数の魔法を指示を送るだけで発動できる。
作中の彼は変化魔法で性転換を施して身を隠し、幻想魔法で幻の剣を大量射出する等行った。
*魔剣・アロンダイト
またの名を「純剣・オートクレール」。
円卓の騎士・ランスロットが振るったとされる妖精が生み出しし絶世の剣だが、ガウェインの弟を始めとする数々の騎士たちを屠ったことで魔剣へと変容してしまった。
宵世界においてはシャムシエラが振るい、黒い片刃の大剣に改造されている。
*聖槍・ロンゴミニアド
クロエの持つ絶対勝利の光の槍。
槍自体が意思を持ち清き心の持ち主を選ぶといわれており、選定された者には勝利を運ぶ。
アーサー王伝説では叛逆の騎士モードレッドを貫いた槍とされ、ロンギヌスの槍と同一視される。
*限定開花
遺装と呼ばれる聖遺物クラスの武器や防具が本来持つ能力を一時的に全解放することを指す。
詠唱が必要なものがスタンダードだが、自動で発動するものや術者の魔力を必要としないもの、逸話によって効力が異なるものなど魔法の部類ではあるが個々で差が激しいため謎は多い。
*聖剣解放・黒夜流星
聖剣・エクスカリバーの外装を解除して放つ真の限定開花。
オリオンが発現していた仮の黒夜流星は月の出ない夜に最も強い威力を発していたが、こちらは聖剣はな秘められた魔力と所有者の魔力に完全依存する。
威力の代わりに燃費は信じられないほど悪い。
*銀弓操作・血流放出
銀弓・フェイルノートと銀腕・アガートラームを接続し、魔力接触を通じて血液を矢に変え一斉掃射する転換魔法の究極形。
「魔法は魔力を消費するもの」という宵世界の概念を覆す血液の魔力代用は、後世において誰も成し得ることはなく、リオンだからこそ凄まじい威力を発揮する。
しかし代償として血液を大量消費するため貧血になると本人は言う。
ちなみにこれはアガートラームの限定開花扱いであり、実はフェイルノートがなくても発動可能。
*神域の加護
アガートラームの常時発動型限定開花。
ヌアザの聖腕がもたらす最上位の強化魔法。あらゆる存在に"価値""定義""可能性"といった一種の存在を与える。
単純に言えば超強化。たとえ土塊であろうとこの加護を受ければただの陶器にも上位の使い魔にもなる。
普段はリオンにのみ適用されるが、彼の意思によってそれ以外のなにか一つを強化できる。
*治癒神の祈り
銀腕・アガートラームのもう一つの限定開花。
リオンを常時回復する治癒魔法であり、最大の武器。
致命傷だとしても時間をかければ全快させることもできるが、魔力不足を補うことはできない。
*覇光魔剣・矛盾消失
外装を解き放ったアロンダイトが放つ限定開花。
一度斬った相手に対し発動し、「開始」と唱えてから「完了」と唱えるまでに斬れなかった対象を切り裂く時操作系逆転魔法。
対象が斬れなかったという"矛盾"を時間の中に作り出し、時間を遡って斬れないという結果を逆転させて必ず攻撃を当てる。ただし攻撃箇所は完全にランダム、斬ってしまった場合矛盾は発生しないなど弱点も存在する。
本来のアロンダイトは精霊が遣わせた聖剣で限定開花も全く異なるものだったが、魔剣へと反転したためにこのような魔法が発現した。
*追想武装
宵世界の人間が持つ魔力を明世界の人間がなんらかの形で受容し、形とした魔装束。
陽魔力が宵世界の魔力を受けて融合した状態のため、宵世界の人間同士では装備できない。
一颯は大体の装備をほぼ再現しているが、男性の追想武装の場合はその人物が女性だった場合の世界線から武装を引っ張り出して装備する特殊なパターンとなっている。
*追想結晶
追想武装が魔力で結晶体となった状態。俗にいう変身アイテムと呼ばれるもの。
一度纏った追想武装はこの結晶に変化し、結晶に魔力を注ぐことで武装化、装着される。
ちなみに魔力を注ぐ時はキスするのが一番手っ取り早い方法だが、中盤からは扱い方を覚えたのか念じただけで変身できるようになっている。
*月花礼装
一颯が二度だけ装備した謎の魔装束。
金色に輝く剣を喚び、月の女神の戦装束と言われているが何故彼女が装備できるのかはいまだに不明のまま。
*魔装束
宵世界の戦士が纏う魔力で編まれた鎧や衣服を指す。
オリオンやリオンもこの装束で戦い、普段は自身の魔力と同化させることで不可視化し隠している。
彼らの場合、見た目とは裏腹に強固な防護魔法がかけられているため、布でありながら鎧以上の防御力を持つ。
破れても大抵は魔力で修復できる。
*物見の心眼
ファレルの一族に代々に伝わる未来視の能力。
開眼には相応の鍛練を積まねばならず、その最中で命を落とした者も数知れず存在する。
リオンの場合は数秒から一分後に起きる事象を正確に視ているらしい。
*対異血脈
エレリシャスの一族に流れる異形の魔力を無効化する能力。
オリオンはなぜか発現していなかったが、実際は夢魔の本能と膨大なユーサスの魔力を抑え込んでいたせいで上手く機能していなかった。
■異形■
*異形
宵世界に住んでいる怪物の総称。
1990年以降、梓塚市を中心として明世界に出現しつつあり、それを宵世界の人間が明世界で狩るという状態が続いている。
明世界の光や太陽に弱いため家の中には入らない、朝日が昇ると灰になって消える等の性質を持つ。
明世界の現代兵器は一切効かず、宵世界の武器が有効。一般人の筋力ではまず敵わない。
宵世界に住む通常個体は日差しや光に弱いなどの弱点はないが、人間側も驚異にはしていない。
*異形・変異体
肉片のような姿ではなく、固有の種族や名前を持つ夢魔や精霊を指す。
*異形・融合体
アクスヴェイン・フォーリスが開発した人間と異形の融合体。
大抵は不気味な肉片になるか苦しんで灰になるかの二択だが、意思が強い者は融合しても自我や姿を保っていられる上に異形から能力を得て新たな魔法を発動できるようになっていく。
子供のように純粋な存在が素体には相応しいとされているが、不適合者や意思の強い者は更に強力な存在に進化できる。
しかし実際は死者の蘇生のために融合が必要だっただけであり、アクスヴェインは兵器としての融合体はそこまで重要視していなかった。
*異形・融合体"レヴィアタン"
神話に名を連ねる七つの大罪を孕みし蛇神。
アクスヴェインが取り込んだのは不可視化する前の幼体で、基本的に無害。幼体は小さな黒い蛇の姿をしている。
命の危機に瀕したことで覚醒し超巨大生命体となって暴走するも、最後はオリオンの限定開花によって核が切り離され消滅した。
自己再生能力に優れ、触手を駆使した攻撃や酸の粘液を吐き出す。
海神という性質上、いずれは海に向かおうとしていたらしい。
*邪竜ヴォーテガーン
明世界に空間の綻びを開き、異形を招き寄せていた全ての元凶。
今世は明星東として25年間を過ごしているが、転生前は野心に満ちた邪竜そのままの姿で長らく宵世界にいた。
産まれる前から心を知らず、代わりに己の欲望と力をより理解していたためすぐさま支配者に上り詰め多くの民を扇動し戦乱を起こすが、最終的にはアーサー王の聖槍に刺されて死亡する。
その後も野心だけは忘れずに千年間何度も転生を繰り返し、ついにはオリオンに聖剣で倒され地獄に送られた。
消滅する前の最期に彼が愛を理解できたのかは彼のみが知る。