1-11 夕闇の使者 1
時刻は午後6時。
まずひとつ、月見一颯はこの状況に言いたいことがある。
───どうして私は学校にいるんだろう。
夕闇が差す廊下には人気がなく、物寂しげな夜の訪れを待っている。
事実、ここに人はいない。何故なら星宮高校は現在夏期休暇に入っており、部活や補習に来た生徒も教師も皆下校時間を過ぎたため帰宅したからである。
ではその前提を踏まえて本題に戻ろう。
何故部活もしていない一颯が誰もいない学校に来て、制服姿で廊下を歩いているのか。
発端は半日前に遡る。
今朝は朝食を四人で終えた後、文恵から新たな家族たる彼に専用の日用品を買おうと提案され、主にオリオンが家族の一員にされていることを疑問視しながら渋々出掛けた時のことだ。
歩き疲れて入ったカフェで文恵が席を外した途端、彼はその話を切り出した。
「人手が足りない」
「……は?」
来る変異体との決戦まであと一日と半日。
わざわざ新月の夜を提案した彼が、目前に迫った驚異にどんな策を用意しているのか多少は一颯も期待を寄せていた。
しかし出てきた言葉は突然の「人手が足りない」だ。なにがなんだか分からない一颯は正直ブチギレそうになった。
実際のところどうなのかと聞かれると、概ねオリオンの言う通りである。
先の双子型変異体 (と名付けた)との戦いでせっかく溜め込んだオリオンの魔力はすっからかん。一颯もその日発現させた月の光のような追想武装を二度と呼び覚ますことはなく、圧倒的なパワーも鳴りを潜めてしまった。
唯一進展があったとすれば一颯が戦う時にパニックを起こさなくなったくらいで、それがどれだけプラスに作用してるかと言えば中々微妙なところだ。
だから彼はもっと確実な戦力を欲していた、特に遠距離から支援ができるタイプを。
「あと一日でどうやって見つけるのよ、貴方またスカンピンじゃない」
「そうだけど…って誰のせいだっつの」
「あ、あはは…」
前回はともかく今回ばかりは一颯が10割悪いので、苦い笑いが込み上げてくる。
だが困ったことに堂々と「任せろ」などと彼が言ったため、キャロルのように宵世界の人間が手助けや様子見に来る可能性は低い。なので新たな戦力を現地──この梓塚で見つけなければならない。
これだけ聞いたら無理、不可能と思うだろう。一颯だってこの時点ではそう思っていた。ただし、それはオリオンが梓塚での任務に従事していた場合に限り可能になるのだ。
しかも彼は最初に一颯には説明していた。
異形退治の宛はある、と。
「じゃあその人を頼るの?」
「おう、居場所も判ったしな」
「ホントに?」
「俺を甘く見んなよ」
ふふーんと得意気に鼻を鳴らし、彼が語り始めたのは先日学校で何ヵ所かに張り付けた魔法についてだ。
魔法の正体は遅延発動型の結界。魔法抵抗力の低い人間をその場から遠ざける効果を持ち、逆に魔法適応力の高い人間を寄せ付ける。
宵世界では戦場で自分の居場所を知らせるため、または囮として使用する魔法だ。今回は後者の使い方を応用し、オリオンの魔力を使って誘き出す。まるでその結界が人に害を及ぼす結界に見せかけて。
「でもなんで学校なの? もっと良い場所なかったの?」
「まーだわかんねえのかよ」
「えぇ…わからないって説明不足じゃ……あっ」
もう判るだろう。彼が提示した新たな戦力となる人物は星宮高校に生徒、教職員として所属する者。
オリオンの作戦はこうだ。
遅延型魔法は今日の夕方5時過ぎに発動する。魔法抵抗力の低い生徒や教員が全員帰宅したのを見計らい、結界の解呪を行いながらまだ残っているであろう狙いの人物を探し出す。
荒がありすぎてどこからツッコミを入れればいいか分からずうーんと唸る一颯に対しオリオンはかなり自信満々だ。きっと彼としては会心の作戦なんだろう。
そもそも最初にその人物を挙げた時に彼は言ったが、異形退治にYESの返事をするとは限らない。探し出せたとして協力の約束を取り付けることはできるのか。
「で、学校に行かなきゃダメなのね」
「おう! よろしく!」
「他力本願すぎない!?」
「大丈夫! なんとかなる、なるなる!!」
「ダメだコイツ……」
───と、このような経緯があり彼らは夕方6時前から忘れ物を取りに行くと称して人のいない学校へ潜入することになった。
着いた時にはすでに校舎に人気はなく校門に触れた一颯もなんとなくだが入るのを躊躇った。しかしそれがオリオンの言っていた"人払い"の魔法効果であり、明世界の住民たる彼女がこの魔法に少し引っ掛かるのは自然なことらしい。
逆に宵世界の住民は、キャロルのように魔法適応力が低い人物でなければまず人払いには引っ掛からないらしく、逆に違和感を覚えるそうだ。
重い門は鍵がかけられていないのか簡単に開き、校舎の生徒用入り口が一ヶ所だけ施錠されていない状態だった。
「じゃあ一颯は校舎よろしく」
「貴方はどこ行くの」
「俺はそこ以外行くからさ」
「あ、貴方男子トイレにも魔法使ってたでしょ!入れっていうの!?」
「誰も見ちゃいねえし気にすんなよ」
楽観的な彼は一颯が羞恥に震えているのも知らず「んじゃ体育館行ってくる」「結界は触れば破壊できるから」などとほざき、その場を後にした。
校舎内を任されてしまった一颯は、ふるふると震えて彼への食物的逆襲を企てながら幽霊でも現れそうな薄暗い廊下へ足を踏み入れたのだ。
そして現在。
例の男子トイレも含めたほとんどの場所を見て回り、結界とやらを触って壊し、最後となる教室棟屋上階段へ向かっていた。
「本当にいるのかしら……」
今更ではあるが、今の星宮高校は自分達しかいないとはいえ、普段大勢の人がいるとは思えないほど静かだ。
全くの静寂。ここは文明が滅びた後の廃校舎で、一颯は人類の生き残りを探しにシェルターから出てきた人間──そんなSFチックな想像が膨らむほどに闇が迫る学校は淋しげであった。
こつ、こつ、と歩く度に鳴る音だけが廊下に響き、人の存在を失った世界観に呑まれそうになる。
間もなく屋上階段、ここにいないのならもう帰ってしまったんだろう。
ふと一颯は考えた。その戦力とやらはどんな人なのか。良い人か、宵世界から明世界に来たなら追放された悪人か。どっちにせよオリオンは悪い印象は持っていないようだった。
──もしかしたら、彼の前任者ではないか。なんて言ったところで実際の人物像は分からない。
さぁ、角を曲がればそこには屋上へ向かうための階段がある。
そこへゆっくりと、歩みを進めて───。
「ん……?」
かつん、誰かが歩いてくる音がする。
かつん、廊下ではなく階段を下りるような音。
こつ、という音がして動きが止まった。
方向は一颯が今向かっている屋上階段の方だ。
オリオンが先に来ていることはない、彼のことだから後ろから彼女を驚かせるなどの手を取るだろう。よって一颯の鼓動は速まった。
どうやら当たりを引いたらしい。
そこには確かに、彼女の知らない第三者がいる。
「誰、なの……」
姿を見れば知っている人物かもしれない。何故ならその人物はここに毎日通っているから、一颯も顔くらいは合わせているだろう。
だがこういう時、こういう状況で会うのはまた別格の緊張感が走る。
溜まった唾を飲み込み一歩ずつ着実に歩む。
背中に受ける温かな風は窓が閉まりきっているのにどこから来ているのか、そんなこと考える余裕はなかった。
角の直前で一度呼吸を整えて、覚悟を決める。
───よし、行こう。
怪しまれないよう自然な動きとポーカーフェイスで、堂々と未知の存在Xと対峙する。
その姿を見た瞬間、一颯は今までの人生で最も信じられないという表情を浮かべることとなった。
「貴方は───」
階段の踊り場に佇み、夕闇の色に染まりながらも隠しきれない青い影。
黒い髪とオリオンが身に付けるそれに似た薄い水色のマフラーは風に揺られ、比喩でもなんでもなく正しく別世界からやってきた存在に見えた。
────知っている。
"彼"は学校内ではあまりにも有名人であり、彼女の友人の──恋人でもある。
そう、彼の名は、
「黒弓、先輩……?」
黒弓璃音。星宮高校の三年生、弓道部に所属する天才児。女子生徒には親しまれ、教師も彼の成績には一目置いている一般人らしからぬ人。
制服姿だったならまだ学校にいたんだ、くらいの認識でよかったが璃音の姿は見たこともない青き装束。この事実により、彼こそがオリオンの探していた遠距離攻撃を得意とする人物であることは明白だった。
「…この手の込んだ嫌がらせは月見が仕掛けたのか」
「えっ…いや私じゃなくて……」
「そうか」
まだなにも名前を挙げていないのに彼は一人納得したように頷いた。
一颯は状況からして未だに理解が追い付いていないのだが、璃音としては知ったことではない。彼女が今すぐ彼を理解できずともよいのだ。
しかし彼女だってこの場を上手く纏めようと努力は惜しまない。
「せ、先輩は一体どうしたんですか? こんなところでなにを?」
「三日前に随分な結界を見つけてな、どうせやることもないから犯人の目論見に乗ってやっただけだ」
遡ること三日前、部活が終わって下校前に校舎に入った際複数箇所になにかしらの魔法を感知した。それが遅延型の結界なのがすぐに分かり、わざわざ今日ここに来て犯人を待っていたらしい。
犯人探しにやる気満々なのも予想外だが驚くべきはその感知能力。彼はオリオンが術式を貼った当日から結界の存在に気付いていたというのだからいかに魔法適応力が高いかは想像に違わない。
ただし、彼をただ単に先輩として慕う一颯としてはなにもかもが信じられない要素だった。
「さて、先に伝えておこう。俺は俺の正体を知った者を逃がさない、たとえどこに逃げようが地の果てまで追い───必ず始末する」
金色の瞳から放たれた鋭い眼光が一颯を突き刺し怯ませ逃がさない。
こんな状況だからこそ彼の言う"始末"が良からぬことなのは馬鹿でも解るが、一颯にはもう一つ疑問がポップした。
「待ってください! 先輩の正体ってなんですか! 私なにも知りません!!」
一颯がいつ"彼の正体に気付いた"と言っただろう。
彼女はまだ璃音を星宮高校の先輩生徒としか認識していないはず、そちら側の人間であることも聞いていない。あんまりな理不尽だ。
「知らない、か。それは俺の姿を見て言っているんだな」
「あっ…!!」
驚愕と混乱のせいで失念していたが、彼の纏うそれはどう見ても魔装束。
一颯の動揺した様子を鑑みても彼が私服姿で現れたなどと思っていないことは彼自身も分かりきっている。
それだけじゃない。璃音は結界の存在を知っていた、ということはその効果も知っている。人払いで誰もがいなくなった学校に一人残る一颯がなにも分からないわけない。
なによりトドメを刺したのは"手の込んだ嫌がらせ"の犯人を聞かれて真面目に答えてしまったこと。
ここまでの要素があれば一颯が璃音の正体を知らない、とは少なくとも言えないだろう。
彼は静かに右腕を上げ、指で銃のような形を作る。動作だけなら子供の遊びだがそれが冗談でないのは彼の表情から分かる。
「死体が増えればお前が協力しているアイツもすぐに姿を現す。釣られたのは俺じゃない、お前達だ」
「そんな…!!」
「三秒くれてやる。選べ、ここから逃げ出すか命乞いか。…そうだな…後者だったら一撃で仕留めるように努めよう」
───彼は本気で一颯を殺すつもりだ。
淡々と業務的に物騒な言葉を並べる目の前の男に命を刈ろうという強い意思を感じ取った。
身を守らなくては、と追想武装を発現させるための結晶を探そうと制服のポケット部分に手を突っ込んだがなにもない。
何故ないのかと困惑する最中、思い出した。昼に追想武装は必要ないだろうと判断して家に置いてきたことを。あるじゃないか、必要な場面が。自分のやらかしに頭を抱えたいがその隙を見せたら頭を吹き飛ばされる予感がしてできなかった。
蒸し暑さより焦りで汗が流れ出る。
どうする、命乞いは論外として逃げるなら地の果てまで追うという彼からどこに逃げればいいのか。
それこそオリオンのいる場所か。
「三秒だ、どうする月見」
璃音がオリオンとどんな関係かなど一颯には分からない。
しかし、オリオンは彼を探していて璃音は彼を呼びたいならば、一颯にやれることは決まっている。───望み通りにしてやろう。
脳内で作ったプランを行動に移した。身を翻し、元来た廊下の先にある階段へ向かって走り出す。
背後で熱いなにかがぶつかったのを感じて振り返り、その惨事を知って一颯は身体が凍りそうになった。
彼女のいた位置に向かって彼が見舞ったのはオリオンが使うとは全く比較にならないレベルで高威力の破壊系魔法。
放ったのは一発だけで当人は威嚇射撃のつもりだろうが、一颯の見立てでは本命にも引けを取らない馬鹿げた威力だ。直撃していたら即死していたかもしれない。
「殺す気ですか!!」
怒気を含んだ本心は思わず口から漏れていた。
返事はないが代わりに背後で階段から飛び降りてきたと思われる強い響きがこのフロア一帯に木霊する。
学校の階段の段数と角度はそれなりだ。そこから落ちたら怪我じゃすまない、当たりどころが悪ければ死ぬこともあるのに彼はなんの迷いもなく降ってきた。
以前も落ちていく一颯の体重を片手で支えていたが、今度はやっていることが未来から来た殺人ロボット染みていて寡黙なイケメンというイメージが根底から覆されていく。
「先輩は華恋の彼氏さんなんですよね!? 私は華恋の友達です! こんなのあの子が知ったら悲しみますッ!!」
「生憎、俺は自分のためなら他人を切り捨てられる人間だ。情に流されて"はいそうですか"と簡単に見逃すものと思うなよ───!」
華恋の名を挙げれば見逃してもらえる、とまではいかないが動揺して時間稼ぎになると考えたまでは良かったがそんなことで彼が躊躇するわけもなかった。
「照準固定──!!」
後ろから聞こえた不穏な単語、一颯にはなにを意味しているかわからなかったが魔法の詠唱だということは確定的だ。
しかし後ろを見る余裕はない、どうやって避けるか。
選択肢は三つある。
一つ目は回避、階段まで逃げて直線的に放たれる魔法の弾丸を駆け下りるという変則的な動きで避ける。ただし下りる動作による減速は免れない。
二つ目は籠城、教室に立て籠って鍵をかける。だがあの破壊力を持つ魔法を食らえば扉の耐久力など紙にも等しいだろう。それに教員がいないため、鍵が掛けられているに決まっている。
最後の三つ目は飛び降り、今いる五階の窓から地面に向かってジャンプする。一番最速で地上に辿り着ける代わり命の保証はない、よって却下だ。
この不安要素が残る中で選ぶなら当然、最速で廊下から脱し階段を下りる、だ。
オリオンや後ろの彼と違って一颯は一般人ゆえに仕方ない。五階から一気に駆け下りることにはなるが命がかかっているのだ、どうってことはない。
避難用の外階段扉と壁、右手に階段が目前に迫る。
ガッと音が鳴るほど強い踏み込みを入れ、前屈みの姿勢で頭を守りつつ全体重を右足に込める。
「ふッ!!」
ついに来た階段の手前、手すり側に体を寄せながら駆け抜ける。
「逃がすか!」
背後と頭上という二重の優位性を得た璃音は先程の威嚇射撃と同程度の魔法の弾幕を張る。数で攻めることにより、彼女の逃げ場を無くすのだ。
一方踊り場からくるりと回るように先の階段を降りていく一颯は無事回避したがとてつもない威力で撃ち込まれたマシンガン並みの連撃を横目で見てしまい卒倒した。
毎日深夜の化け物退治という修羅場を潜っていなかったら今頃失禁ものの恐怖を味わっていたに違いない。
無駄に据わった度胸に加えて安心できる材料となったのは階段の構造だ。
彼がそこまで速くなければ周り続けることで直球の魔法はすべて回避できる。無論階段をすっ飛ばして落ちてくる超人めいたあの動きをされたら一颯に勝ち目はないが。
四階、三階、二階、と着実に神がかった回避技術で彼の魔法をかわし続ける一颯の呼吸は極度の緊張感と高い気温によって荒くなる。そろそろ体力の限界だった。
これだけ騒いでいるのに一体オリオンはなにをしているのか、一颯に苛立ちは募り続ける。
「外だ!!」
ようやく戻ってきた一階の生徒用入り口に上履きのまま突っ込み扉を開く。
───が、扉は一颯を外界へ通さない。
ガチャガチャと喧しく鳴く扉に鍵はかかっていない、それなのに固定されたみたいに両開きの扉は動こうとしなかった。
「その扉を軸にして空間を固定した。鬼ごっこはここまでだ」
なにもかもむちゃくちゃだ。鍵を使わず扉を施錠されるとは予想しろと言われてできるわけがない。
彼の指先で形成される黒く禍々しい魔力が魔法に変わる、見た目からして殺意しか感じられない。この準備時間すら完全に一颯を死へと誘うカウントダウンだ。
怪力の変異体、双子の変異体。命の危機を感じたことは何度もあったが、まさか人間に──それも先輩に殺される恐怖を植え付けられるとは今でも彼女は信じられない。
一颯はただ次に控えた最後の戦いに必要な戦力を得たいと言ったオリオンに付いてきただけなのに、理不尽な絶望に身を落とされるなんて言葉にならなかった。
彼はどこに───一颯の心はオリオンの姿を探して惑う。
眼前で睨む死神が光弾を撃つ。
指の形といいその一撃といい、まるで本物の銃口を向けられたようだ。
───あ、死んだ。
一颯が思ったのはそれだけ、死ぬ直前に考えることとは案外呆気ないものだ。
瞳を閉じて、刹那に終わる痛みを待つ。
ただ痛みより先にやってきたのは暴風だった。
濃密な魔力をかき消すほどの風が、どこからともなくやって来た。
「いきなりご挨拶だなテメエ、俺のイブキになにしてくれてんだ」
ぶっきらぼうで乱暴な言葉遣い。さらりさらりと流れる青髪と赤い布。
彼女が目を開いたその先には正反対に位置するような二人の姿。見慣れた彼と見慣れない見知った彼が対峙している。
「三日ぶりだな」
「…一体なんのつもりだ、オリオン・ヴィンセント」
「なんのつもり?俺たちはお前を探してただけだぜ。なぁ───」
見えない火花が飛び散る中で、それでも楽天的な態度を崩さないオリオンははっきりと、一颯にも聞こえる声量で、彼の名を呼んだ。
「黒弓……いいや、リオン・ファレル」
*リオン・ファレル
宵世界出身。"銀弓の魔術師"の異名を持つ。
命のやり取りにおいては冷酷無比。自身の正体を隠匿するためなら一般人にも容赦しない。
明世界では「黒弓璃音」と名乗っている。
*魔法適応力
宵世界において魔法的素質を指し示す。
この適応力が高いほど魔法の才があるとされ、逆に低いほど魔法を使いこなすことはできない。
キャロルのように自力で魔力を生成できない人間は適応力が最も低い"不適合者"と呼ばれ、差別されることもある。
*魔法抵抗力
防護魔法なしの状態で魔法を無力化させる力。
主に精神干渉型魔法に対し発動し、体内の魔力が状態異常を浄化する。
例えば操作魔法で精神的自由を奪う洗脳を受けた場合、抵抗力の高さによっては無効化も可能。
別名「対魔能力」。