事の発端
初投稿の作者です。初めまして。
まだまだ表現を勉強中ですが、頑張ります。
此処は私立公庄学園。くだらない傲慢を持つ「我家こそはかの有名貴族」と嘯く者たちが集まる学園。…その中に、自分の実家の思惑など全く関係がないとでもいうような風変わりな生徒がいた。
…その生徒の名は、設樂 莉愛と言った。
…そして、他のものは知らない。
これから始まる混乱が…ある者の思惑通りに操られているだけだということを…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕暮れ時の学園内屋上―此処とこの時間帯には、ある謂われがあった。
『夕暮れに男女二人で屋上へ行くと、その二人は〈愛情〉という絆で結ばれる。』という、年頃の乙女たちなら恐らく殆どが憧れるシチュエーション。
呼び出された少年は、ひどく美しいその顔を歪めて。
「…なぜ俺を呼んだ。」
呆れた声でもう一人の人物に問いかけた。
問いかけられた少女は、まるでジンクスを気にしてもいない(というかそもそも存在を知らない)ように、
「…少し、この学園でやりたいことができたので。」
そんな風に答えた。
「その許しを請いに、か?」
呆れた、と乾いた笑みを浮かべる少年。
「はい。…大なり小なり、私の我が儘は周りに迷惑をかけてしまいますので。」
しばしの、無言。二人の隙間を秋風がサァ…とかけてゆき…
「…いいだろう。許す。」
そう言った少年は、但し、と続け
「責任は、自分でとる。それが守れるのならな。」
意地が悪い、年相応の笑みを浮かべた。
「…当たり前でしょう。私は、貴方よりも精神年齢は上なんですよ?」
そんな、軽い会話。
…これは、これから先の未来が分からなかった頃の哀しいお話。
その悲劇を、どうにかして喜劇にしようと足掻く操り人形達のお話。