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ツインテイル§ドレイカー  作者: 花凛兎
女神の骸(むくろ)
24/56

【Ⅰ】

今日も森の入口でルードが待っていてくれる。





一秒でも、一瞬でも早く傍に行きたくて……


森に続く丘をセレスは走り出す。





やがて見えて来る、背の高い、黒い髪の後ろ姿。




セレスの足音に気付いてか、彼がふと振り返った。






「……ルードーー! ……あ……ああああっ! ちょっ……ごめん、そこどいてーー!」





くだり坂を全力で走るセレスの足は止まらない。






「ちっ……またかよ。よし、今度こそ止めてやる。来い!」





両手を大きく広げてルードが身構える。


眩しいほどの笑顔で。






「……ルード!」






自分を待つ胸の中を目がけて、セレスも両手を広げて地面を蹴った。






抱き留められた体が宙に浮く。


クルリとその場で回転して、着地成功。








「……今度は捕まえたぞ」





「うん……ありが……」





そのまま抱きすくめられ、お礼の言葉が途中で塞がれる。




まだ森の入口、人目につくかもしれない。




そんなセレスの心配など、ルードの唇はたやすく掻き消してしまう。





この上なく幸せで、満ち足りた時が流れていく――。








「……あ」






ふいに、セレスの足元を何かがヒヤリと撫でたような気がした。







「どうした?」





唇から離れ、ルードが眉をひそめる。






「何か……ううん、なんでもない。気のせいみたい……」






「お前……こういう時は集中しろ」





ルードがまた鼻をギュッとつまむ。





「いははは……ほめんなはい……」







それは予感。




笑顔を交わす二人に忍び寄る、闇のうねりの予感だったのかもしれない……。




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