表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
distant promise  作者: 一縷
2/2

再会まであと5秒

本編開始!

突っ込みどころ満載・・・。



熱い。


顎先から落ちた汗が、あっという間に蒸発した。

一はふぅ、と息を吐く。

鉄を溶かし、脆くなった銃機器を強化する。今回の依頼は顔馴染みの客からだから、料金はサービス。それでも、久々にちゃんとした飯が食えて、風呂にも入れる。

「おーい一葉ァ!久々に一緒に風呂入るかァ!4日ぶりだからくせぇだろうけど」

「5日ぶりよボケ!」

ガツン、と脳天にたらいが落とされた。

いたたた、と呻き、作業を中断する。振りかえると、ずかずかとこちらに歩み寄ってくる少女が居た。

普段は清潔感のある、ショートカットの黒髪、いつもなら張りのある白い肌、5日前はいいにおいがしていただろう少女――一葉は、一に近寄ると気の強そうな顔を歪めた。

「うわっ!暑っ!くさっ!最悪!」

鼻をつまみ、まわりの空気を掻き回すように腕をブンブンと振りまわす。

「ひでぇ言い草だな。しょうがねぇだろ、仕事だ」

「いいからはやくおわらせてよね。はやくお風呂入りたいし、あんたが鉄とかしはじめるとまわり一帯がすごいあつーくなるのよ」

「ガキどもは喜んでるだろ?」

「アホ。あぶないっつの」

ここは国の都市部から遠く離れたスラムだ。たいした設備もない場所で鉄を溶接していたら、間違いなく大問題だが、幸い事故は起こっていない。何より一は自分の腕に自信を持っていた。まあ、こんな技術も、能力者がたくさんいる都市部では不要だろう。能力者が一人いれば、戦車うん台分という戦力になると聞くし。というか実際そうなのだろう。一は背後にいる少女をぼんやりと眺めた。

かつて守ると誓った少女は、今や自分より強いかもしれない。

一葉は突如として、「重力を操る能力」を手に入れたのだ。先ほどたらいが落ちてきたのも、その能力のためだ。力を手に入れた当初は大パニックだった。レジスタンスの仲間には内通者と言われ、討伐にきた軍には裏切り者と言われ、二人で頭を抱えたものだ。結局、前居たグループを抜け、今のグループに入った。ここには、一葉の他にも能力者が居たのも加入の理由だ。都市部以外に能力者が居るのは、滅多に無いことだ。能力者はたいてい軍人なのだ。おっかない。

「あだっ」

ぼんやりとしていたら一葉に頭を叩かれた。

「何見てんのよ」

不機嫌そうな表情で腕を組んでいる。

交差された腕の上で胸が強調されていた。

「お前おっぱいでかくなったよなぁ」

「死んだらっ!?」

今度はたらいどころか鉄アレイが落ちてきた。


痛みにのたうち回っていると、入り口の方から慌ただしい足音が二人分聞こえてきた。

「あんちゃーん!」

「はじめ兄貴ぃー!」

12、3才くらいの男の子と女形が顔色を悪くして走ってきた。

「どうしたの?」

痛みでしゃべれない一のかわりに、一葉が尋ねた。

「か、かずはちゃん、たいへん、たいへんなんだよ」

女の子の方が半ベソをかきながら言った。

「軍の人が、きたのっ・・・」

「そうなんだ、どうしよう兄貴・・・まだ武器なおってないよね?」

「おう・・・まだだ」

一はようやく痛みから復活した。

「ていうか昴、好戦的だな。いきなり銃ぶっぱなすのかよ?」

昴と呼ばれた男の子はひどく興奮していた。

「だって!だってなんとかしないとみんな殺されちゃうよ!」

一は昴の目線まで屈むと、頭をぽんと撫でた。

「おまえは楓つれてスラムの皆に声かけろ。俺が時間稼ぎする」

女の子――楓はびくりとした。

「どうするの?」

「いいからーはやくっ」

二人の背中を無理矢理押し、裏口の方から逃がす。

それを見ながら、一葉は言った。

「私ついてくから」

鼻をつまみながら喋ったのでひどいダミ声だ。

「知ってる」

一は苦笑して正面の入り口へむかった。万が一に備え、殺傷力が高そうなごついスパナを持っていくことにする。


「さぁーて・・・・・・って、なんにも考えてないんだけどさ、実は」

「馬鹿じゃないの」

次は巴さん登場。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ