第9話
舞台はかわりここはグランドキングホテル…日本屈指の最高級ホテルだ。
白を貴重とした壁に黒をアクセントとしてとても落ち着いたデザインに仕上がっている。
内部も華やか過ぎず、かと言って質素な感じではなく上品な安らぎの空間を作り出すこのホテルはやはり最高級といえるものだ。
そんなところにとても場違いな少年…如月晃はいた。
「こちらでございます」
そう言って案内されるのはそのホテル最大であるロイヤルホールに通されてしまい思わず唖然としてしまう。
美しい白い龍をモチーフにしているそのホールは雄大であり目を見張るものがある。
「どうかされましたか。如月様」
「あぁ、あの龍に驚かされただけだよ」
そういうと近くにいた黒服の人があわてて何かを従業員らしき人に指示をしている。
大変だなぁとのんきに見ているとおいしそうな料理を見つけた。
テーブルにはローストチキンやステーキがきれいに並べられていて脇にはたくさんの種類のサラダがある。
それらは自分の素人目からみてもすばらしいものだ。
庶民の自分には驚くことが多いこのホテルであったがこんなおいしいものを見ると食べたくなってしまうのが俺というもの。
今ここで俺のひとつのスキルである「天才つまみ食い師」を発動!!
テーブルの近くにいる従業員の死角を突き相手に悟らせないようにすべるように移動
しかし…
「如月様」と声が聞こえた
……ミッション失敗だと!
まさかの事態にあわててしまい、しかもここは俺の存在は場違いである。
つまり…追い出される!
あまりの事実に近くにあった水をこぼしてしまった。
ここはやはりスルースキルを発動させてやりすごすしかないか
ここで俺は相手が山田さんだということに気がついた。ここはあれで逃れるしかないか
「ははは…山田さんではないですか。おっと、そういえば私は雑用のアルバイトですよね…こんなところにいてはすばらしいパーティーが台無しになってしまいますね。では私は皿洗いにいきますよ」
「……わかりました」
山田さんの顔は険しいものになっていた。
危ないところだった。さすがにつまみ食いと水をこぼしたのはまずかったか。
山田さんもこの顔を見る限り怒っているなぁ。
さっさとここは退散して裏方の仕事をやりにいきますか
それにしてもお腹へったなぁ。はぁ…