第8話
「こんにちは、君が如月君かな?」
さてやっと話を詰めて、私と山田が彼に会うことをきめた。
「はぁそうですけど」
「私は浅田っていうんだけど少し君に頼みたいことがあるんだけど…ちなみにこっちは山田というものだ」
「山田です」
「そういえば今日は虫が多いですね。とくにあそこには…」
何っ、もうばれたのか。あそこには田中氏と私の護衛の三人が隠れていることに…
これは早めに交渉をしたほうがいいか…おっと、ついつい表情を険しくしてしまったか。彼もそれに気づき何やら考え込んでるらしい。なんていう洞察力なんだ…
「いやいや私が頼みたいのは…その…裏のほうなんで…」
これで彼は気づいたはずだ…
「裏ですか…いやぁ~その僕も学生ですし…一体なぜ僕にそれを頼むんですか。もっと専門がいるでしょ」
今の状態は学生とこの部屋には関係者しかいないのにその注意深さには感心するしかない。確かに私の言葉は軽率だったな。
以後気をつけなければ…彼は学生のふりをしているんだからな
「学生ですか…確かに今はそうですね。しかし私はあなたの後の力量をみこんで話をつけさせてください
ここまでの人材を逃すわけにはいかない。たとえ情報クラスlevel5というリスクをおかしてでも価値はある。
「わかりました。では僕の立場があるんで条件として不干渉でお願いします」
条件…この言葉で部屋の空気が冷え込む…と思われていた。しかしその条件が不干渉というのにはあまりにも相手の利益がないと思うが一体どういうことだ?
しかも僕の立場といってることから彼自身はとても心優しいのだろう……だが…
そうすると私たちが如月 晃がどういう人物か探っていることもばれていながら…こんなやさしい条件を出すのか?
あまりにも謎で一体何がしたいのか…何かかくしているのか?それとも……
いやいや、私たちが頼んだのだからそんなことを探るのは無理か…
どちらにしろこの条件はのまないといけないだろう。
「……わかりました」
さて、なんとか切り札を手に入れることができたがこれが吉とでるか凶とでるか…
まぁどちらにしろこれしか方法はないからな…
しかし最低限の警戒をしなくてはならないか。
「ではこれで、後日迎えのものがこちらへくるので話しはそのときにお願いします」
まぁ彼を味方につけたと思うしかないな。もしかしたら川田のことを探ろうとしているのかもな。