地下鉄運営会社の闇
ピピ! ピピピ! ピピピピピピピピピ!
スマホの目覚ましのアラームで目が覚めた。
「もう朝か?」
って、周りはまだ暗い、誤作動かと思い手に持っていたスマホに目を向けたら、時刻は何時もの起床時間AM5∶30を表示している。
それじゃなんで暗いんだ? とスマホの懐中電灯で周りを照らす。
アレ? 此処自宅じゃ無い、此処って地下鉄のホームか?
驚いて身体を起こし立ち上がろうとしたらホームのコンクリートの上で寝ていた所為で、身体が強張っていた。
それでも何とか立ち上がり背広やズボンを叩く。
何で此処にいるんだ? と昨晩の事を思い起こす。
会社近くの飲み屋で痛飲し、酔っ払ってマンションの最寄り駅の此処で電車から降りたが眠くて眠くてしょうがなく、ホームのベンチにもたれて眠ってしまった。
途中駅員に「駅を閉鎖するから出てください」って言われたような気がするけど、その声を無視して眠り続けたのだろうか?
何時もなら担ぎ上げられ駅から地下通路に放り出されるのに、今回は何故か放置されていたらしい。
それに此の駅の始発は朝5時の筈なのに、暗いままで人の姿が無い。
おかしいなって思いながら階段を上がろうとしたら、階段の前のシャッターが下りたままだった。
え、もしかして駅のホームに閉じ込められている?
地下鉄運営会社に電話しようとしていたら耳に、片側のトンネルの先から何か複数の獣の叫び声らしき物が聞こえて来るのが入った。
そちらに目を向けると、複数の小さな赤い点々がドンドン近寄って来るのが見え、その直後、トンネルから大量のネズミが溢れ出て来る。
溢れ出て来たネズミの大群に、悲鳴を上げる暇も与えられ無いまま飲み込まれ食われた。
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地下鉄運営会社が運営する路線の大半が繁華街の地下を通っている、その為にネズミが大量発生して線路内だけで無く、ホームでもネズミの姿が散見されるようになる。
運営会社はその対策として5〜6年に1度の割合で路線を全て閉鎖、超音波でネズミを殺鼠ガスで満たした場所に追い込むというやり方で一網打尽にしていた。
此れが行われる半年ほど前から、テレビや新聞にネットで閉鎖する事を告知するのだが、告知しているにも関わらず、毎回閉鎖される日の夜にもホームで眠り込む酔っ払いがでる。
だから駅員が声がけしたら素直に従う酔っ払いは連れ出す。
だが、従わない酔っ払いはそのまま放置するようになった、迷惑なネズミと同じく迷惑客も一緒に駆除する為に。




