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《完結》聖女のはずが勇者(仮)に間違われて、魔王さまに溺愛されてます  作者: かんあずき


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3/74

2 勇者?ねえよ!そんなもん

《これまでのあらすじ》

聖女試験の当日。

誰より準備を頑張ったはずのリンに告げられたのは、「勇者認定」の一言だった。


神父の怒号、空回りの水晶、どこか胡散臭い聖女たち。

そして届いた一本の電報――

「魔王、復活」


気づけば教会の門の外。荷物だけがそばにある。

何も持たない彼女の旅が、今、無理やり始まろうとしていた。


とりあえず、金なしの金をなんとかしなければ...

勇者の仕事ないでしょうか?

昼はギルド、夜は酒場の店に顔を出してみる。


ーーー


「あんたが勇者!?ないない!」


そう言い放ったギルド長の俺の目には、驚きよりも、なに言ってるんだ?という純粋な疑問


彼女がいうには、今日国から発令されたばかりの勇者認定と魔王討伐の命令。

国はこの子が勇者が本物かなんて確認していないな。

魔王が復活した日に、偶然勇者が誕生した連絡が来たからただ命令出しただけだろ。

見ればわかる。どう見ても勇者じゃない。


しかも、あの当てにならない教会からは勇者討伐に行けと丸腰で追い出される。


こりゃ、教会の内部も、国もどうしようもなく腐ってやがる。


金も武器もパーティも討伐経験もない。

服に至っては、ただの神官服の女の子。

聖女認定試験を受けたわけだから18歳というが、見た目はかなり痩せて小柄。

18歳?そんな歳には見えない。

ちゃんと食ってるのか?


とりあえず、困っているのはわかるので話は聞いたが...


特技は家事と育児?

勇者スキルって何だそれ?って聞かれたぞ

うん、勇者の仕事はない。


「とりあえず、お金を稼がないと……何か仕事、ありませんか?」


震える声で言いやがる。

正直、酒場兼ギルドの片隅にあるこのボロボロの木の看板の下で、そんなこと言う奴はただのアホだ。


この辺は治安も悪い。

そんな若い女の子が「私は勇者だ!」なんて言ってみろ。

嘲笑されるのがオチだ。


「住むところがない」って言えば、女の子だしな。

ろくでもない奴らに絡まれて終わりだ。


「うちで雇ってやってもいいが、国からは『魔王討伐に行け』って言われてる書面もあるんだろう。止めたら国家反逆罪だ。」


そう言いながらも、体を見てみる。

こいつの腕も体も細すぎて、剣なんて持ち上げられるかどうか怪しいくらいだ。棒みたいじゃねえか。


このまま放り出したら、魔王じゃなくて人間にやられる可能性が高い。


「一晩くらい泊めてやるのは構わねえが……未婚の若い娘を泊めるのは後が怖えんだよなぁ……」


悩んでいるとき、ふといい考えが浮かんだ。


「紹介状を書いてやる。勇者で魔王討伐なら抜群の仕事だ。そこでまず話をして、雇ってもらえ。ほとぼりが冷めるまでは絶対帰ってくんなよ。」


俺は店の奥から鳥籠を持ってきた。

中には真っ黒な鳥が一羽。

艶やかな黒い目がダイヤのように輝いている。


「カラス?」


「違う。これは俺がとあるお方と連絡を取るときに使う伝書鳥だ。悪い人じゃねえ。この人なら経済力もあって、人望もある。信頼されてる。なんとかしてくれるはずだ。」


鳥の足につけたカプセルに羊皮紙を入れると、カプセルはポンッと煙とともに消えた。誰も気づかない。


「ほら、さっさと行け。あの鳥を追いかけろ!」


「えっ、あの鳥?」


「そうだ、見失ったら終わりだ!」


女の子は慌ててお礼を言い、黒い鳥を追いかけていった。

酒場の客の中には女を追いかけようとする奴もいた。


チョイ


引っ掛けてみる。

客は足がもつれて動けない。


「お客さん、飲みすぎじゃねえか?」


俺は床に転がる男たちに声をかけ、心の中でつぶやいた。


「うまくやれよ、お嬢ちゃん。」


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