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《完結》聖女のはずが勇者(仮)に間違われて、魔王さまに溺愛されてます  作者: かんあずき


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19 聖女(仮)、呪いの鏡も寝相で攻略!?

リンは――

いま、大きな山に挑んでいた。


登っても登っても足場は脆い。

それでも私は、登らねばならぬ!


「なぜ山に登るの……?」

「だって、そこに山があるからぁああああ!!」


……言い切った瞬間。

岩が崩れる。足元が沈む――!


うわああああああ!!


※ ※ ※


「リン! リン!!」


誰かの声が遠くで聞こえる。

……あれ、魔王さま?


「あと少しで頂上なんです……っ」


「いや、もう超えてるから!起きて!!」


魔王さまの焦っている声が聞こえる。

聞こえる??

あれ?私、目は??


ぱち、と目を開けた。

そこには、魔王さまの心配そうな顔。


その後ろから声が!!


「お前、どこまで行ってんだよ。寝相わるすぎだろ」

ナイトキャップ姿のネズミイが、童話みたいに下で仁王立ちしていた。


あれ……ここ、どこ? 


私はキョロキョロ周りを見回す。


あれ?なぜネズミイさんを見下ろしているんだ。

ネズミイさんが、スモール化している


……って、えええ!?


(私、呪われたゴミ山のてっぺんにいる!?)


しかも手には――


メイド初日に見た、トミーさんが貼った封印の結界シールが貼られた曰くつきの鏡が!


「……あれ? これ、普通に私の顔映ってない?」


ーーー 


魔王さまと一緒にそろ〜りと山を降りる。

下で待ち構えていたトミーさんが目ざとく気づく。


「その鏡……呪いの鏡です! 自分が一番美しいと思いながら死んだ怨念が中に――」


「でも、いませんね?」

リンは何度も入念に鏡の中を覗き込む。

えいっと結界シールも剥がしてしまえ!!


「うわあああかっこ

トミーさんが驚く。だけど??何もない。


「鏡に映った人を、引き込もうとするんですけどね」


「いないね? 前はもっと鏡も黒っぽかった気がするけど……」


私も首をかしげる。どういうこと……?


「えーっと……」


魔王さまが視線を泳がせながら、もごもごと。


(ついに来たか、聖女バレ……!?)


息を呑むトミーとネズミイ。


「たぶんだけど……」


「たぶん?」


「その……リンの顔見て、びっくりして、成仏してもいいかなって思ったんじゃないかなって!」


「…………」


え、どういう意味それ?

 

「……つまり、私が……“美しさ”とかけ離れてて?」


がーんっ!


「お前ひどっ!? 俺より毒舌!」


ネズミイが思わずドン引き。


「違う違う違うっ!!」

魔王さまが慌てて前に出る。


「その、あまりにもかわいかったから……存在を前にして、負けたと思って浄化されたとか! ねっ!」


それはそれで――


「な、なに言ってるんですか魔王さまっ……!」


私、真っ赤。思わず顔を手で覆う。


 「……魔王さま、それは世のロリ……ゲフン、また誤解を招きますよ。心の声は、心の中に」


トミーの視線が刺さる。


「というか、リンさん、本当に寝相問題のほうが大変です。

 私と魔王さまで毎晩“土手”を築いてるんですよ。

私、連日連夜、リンさんの夜の進撃から何度もカウンターフックやられましたからね。」


「そ、そんなに!?」


「ええ。今日なんて土手がないからてっぺんまで登られました。まさか呪いの鏡を制覇するとは」


「ううっ、ごめんなさい……」


「大丈夫です。これからはむしろこのゴミ山を解放してあげてください」


満面の笑みのトミーさん。キランと目が光る。

なんか思いついたらしい。

狐特有の細目がさらに細くなる。


うう、17歳にもなって恥ずかしい

リンは真っ赤になってうつむいた


「リンさんには、最高の適職がありますからね。無理なく、いや、無理してでもやってください」


トミーは嬉しそうに微笑んだ。

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