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17 魔王さま、メイドのボタンはアウトです

《これまでのあらすじ》

魔王城の正面、噴水広場は今や瘴気の沼地。

ぷかぷか浮くゴミに紫の靄、そして虫の大群――これは掃除どころか、討伐クエスト!?


リンは、水の精霊ウンディーネ、そしてネズミイと共に、“呪われた噴水”の大掃除へ!

謎の魔石を拾ったら、今度は風の精霊エアリアまで爆誕!?


水と風の精霊、そしてなぜか職人肌のネズミと一緒に、

魔王城の廊下に“初めての光”が差し込む瞬間がやってくる――!


でもその頃、台所では……

魔王とウンディーネが、リンの「嫁問題」について真剣会議中だった。

「なんか、外が騒がしくないですか」

トミーはメガネを外して、耳をそばだてた。

キツネのもふミミがピクピクうごく


「リンがきて、ネズミイもウンディーネも楽しそうだね」


魔王も、髑髏マグでコーヒーを飲みながら微笑む


「そりゃ、私たちも一緒です。寝るスペースもない状態から、こんなに空気がいい環境にかわったんですから」


この屋敷で瘴気がないのは久々ですよ」


トミーはそういいながら、台所の扉を開けると



「うわー!わわわわわわ! 廊下が……! ひかってる!」



トミーが目を丸くして、ぴかぴかの床と真紅の絨毯を見つめる。


「トミー、“わ“が多いよ」


笑いながら廊下に近寄る魔王さまも目を見張る



まるで魔界じゃないような明るさと空気の清涼感。


そこに、


「魔王さまー!」


びしょ濡れのリンが、うれしそうに振り向いた。


足元までずぶ濡れ、


スカートも張りついて、


足がぴっちりあらわになっている。 



「リン……!!」




魔王さまがダッと駆け寄る。



「いけません!そんな格好でいたら風邪を引く!」




真顔で、焦った様子で、


魔王さまはリンのメイド服の前ボタンに手をかける



「えっ……? ま、魔王さま!?」



「ああっ、もう……とにかく脱いで!拭いて、あたためなきゃ!」


「ストップー!!」




バシャァ!





ウンディーネの水流が、見事なタイミングで魔王さまの頭上から降り注ぐ



「それ、完全に変態!!!」



「あああああああああ!?!?」


トミーは耳まで真っ赤になって顔を両手で覆い、


ネズミイは壁に頭をぶつけて転げた。




「ま、ま、待って、これは違うんだ……リンが、濡れてて……だから」


「待ちません!だからって自分で脱がさない!まだ、嫁の候補でしょ。人前でなにやってんの!」



ウンディーネの鉄槌のごときツッコミに、魔王さまも赤くなる



「わ、わたし……まさか、魔王さまに脱がされそうになってた……!?」



ようやく事態に気づいたリンが、顔を真っ赤にする。

いや、なんだったら、言われるがまま疑問も持たず、脱いでた



「い、いえ……ありがたいんですけど……でも……そやの……!」


「違う、リン。私は本当に、体を冷やすのが危険だと思っただけで……」


魔王さまの声はいつになく真剣で――

でもそれが逆に、すごく恥ずかしくて。


「まだ嫁候補だろ!」


ネズミイが起き上がって抗議する。


エアリアがくすくす笑いながら、ふわっと風を起こして、リンと魔王二人の濡れた服を乾かす。


「魔王さま、そっち系統の興味ないんだと......ふふっ、少しだけ、すけべになったね?」


「違います!すけべじゃないです」


「言い訳がすでに、むっつりです」

トミーとネズミイとウンディーネ、見事なハモリで総ツッコミ。


ふと、リンが小さく笑った。


そうだ!最初から乾かして貰えば良かった


今までずっと孤児院の子達と水遊びしても、気にしたことも気にされたこともなかった。



もう少し大人っぽかったら、ここが違うんだろうな

なんかぐやしい!!


でも、なんだかんだで、この魔王城。

やっぱりちょっと、居心地がいいかもしれない。




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