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1 準備期間

家に帰った正義は、とりあえず情報を整理してみた。

恐らく異世界、もしくは平行世界へと来てしまったこと、そしてその異世界の舞台が恐らくはソ連であること。現在はこんなふわっとした情報しかないのがはがゆい。

あ、それとお母さんが言っていた

「明日からはまた学校にいくことになるんだから、今日のうちにしっかり体を元気にしておくんだよ」

という言葉から察するに俺は学生なんだろう。年は同じなのかな、と自室にある教科書を漁る。

「ん…?これ教科書か?」

正義は思ってもみない物を見てしまった。持ち帰っていた教科書は国語、歴史、数学とそこまでは順調なのだがそこからは魔導、魔導応用、スターリン学とめちゃくちゃだ。

「まじかよ…。ほんとに異世界じゃんか…あとスターリン学ってなんだよ!」

そう言いつつ正義は名前欄を見てみる。どうやらここでの俺の名前はジャスティ・ルミナと言うらしい。

無駄にかっこいいな、と思いつつこれからはジャスティと名乗ることを決意する。そうしないと不自然だと思ったからだ。

「さて…。俺には魔法の知識なんかないぞ…」

そう言いつつ教科書をパラパラとめくってみるが何を書いてるかあまり理解できない。

「あ、そうか…俺、文字の読みもできないんだっけ…。いやこれ無理ゲーじゃん…」

こういうの異世界に送り込む前に神様とやらがなんとかするんじゃないのか、そうも思ったがこの世界での神は多分スターリンだろう、ジャスティは神に頼るのをやめた。

「おじゃましまーす」

急に自分の部屋のドアが空き、人が入ってきた。

「え?誰?」ジャスティは腑抜けた声で言う。

「ごめぇ〜ん。言語設定ちゃんとしてなかったぁ〜。今直すからちょっとまってねぇ〜」

「え?誰?」

「うっさいなぁ〜。誰でもいいでしょそんなの」

「いやよくないんすけど。誰ですか住居不法侵入で訴えますよ」

「はい、今言語設定直したからね!あと、お詫びとしてちょっとだけ魔法の知識あげちゃう!それじゃ!」

「だから誰ですかって。さっきからわけのわからんことをペラペラと…」

「僕の話した内容で分かるでしょ、あっ、さては察し悪いんだな!じゃあ教えてあげよう!僕はこの世界の神的な存在で君をこの世界に送り込んだ張本人だ!」

そう少女体型の神とやらは言った。

「…え?は?じゃあお前がこのよーわからん世界に俺のこと連れてきたの?」

「え?そうだけど?何か問題が?」

「問題だらけだよこの野郎」

そう言ってジャスティは少女体型の神のほっぺを引っ張った。

「ちょ、痛い痛い痛い!タンマタンマ!ちゃんと1から説明するから!ちょ!」

「いーや、お前はなんか信用できん、あと30秒くらいする」

いやぁぁぁ、という甲高い声が部屋に響いた。


「で?なんで俺がこんな世界に来ちゃったんだよ。幼女。」

そう言うジャスティの前に座っている少女体型の神とやらのほっぺは赤くなっている。

「幼女じゃねえし!神だし!…まぁそれはどうでもいいか。とりあえず僕のことは神、もしくはエデンって呼んで。そんな変態みたいな呼び方じゃなくて」

「わかった、幼女エデン。で?なんで俺は異世界転移されちゃったの?」

「だから呼び方!…はぁ。神に向かってそんな態度を取ったのは君で2人目だよ…。」

「んなことどーでもいーんだよ。で?なんでなの?」

「それは…気分?」

「は?」そう言うとジャスティはまたエデンの頬をつねる。

「ちょ、痛い痛い!わかった、ちゃんとしっかり話すから!だからやめてそれ!痛いから!」

「いーや今のでだいぶ信頼度が落ちた。あと1分ね。」

「やだぁぁぁぁぁ!!」

1分30秒ほど経った。また2人は対面して座った。

「さて、今度こそ真面目に教えてね?」

「うぅ…。わかったよ…。ちょっとだけ長くなるよ?」

「いーよ別に1時間くらい使ってくれても。さ、話してくれ。」

「わかった。じゃあ…話すよ。目をつぶって?」

そう言われたジャスティは目をつぶる。すると、なぜか頭の中に知らない映像が流れ込んできた。

「今、君の精神にわかりやすいように映像を送り込んでいるよ。見えてる?」

「あぁ、見えてる。すごいなこれ」

「じゃあ、今映ってる人は誰か分かるかな?」

ジャスティは映像を見る。しかし誰か分からない。

「わからん。誰なんだ?」

「これはね、スターリンだよ。」

「え、これが?だいぶイケメンじゃないか」

「この世界の補正が多分入ってるね」

「多分って…この世界、お前が作ったんじゃないのか?」

「それが違うんだよ…友達の神に300年前ぐらいに譲り受けて今は僕が管理してるんだけど…このスターリンってやつがありえんくらい強くてね…このままだと他の世界線や異世界にも危害が加わりそうなんだ。だから君にはこいつを倒してほしいんだ」

「え〜?なんで俺が?てか、神様なら自分で倒せよ」

「僕は武闘派じゃないの!それに譲り受けたものだから神の権限もほんのちょっとしか使えないし…」

「神の権限って何だ?」

「神の権限っていうのはその世界を管理している神がその世界に使うことのできる力のことだよ。そうだな…君のいた星を例に挙げると産業革命とかブルーアーカイブのリリースも神の権限によって起こったよ」

「へぇ〜。で、お前はこの世界でどんくらいの神の権限が使えるんだ?」

「君にやったことぐらいだよ。魔法を少し習得させたり、字が読めるようになったりとかだけ。どれだけ頑張っても世界全体を変える出来事を起こせる権限はないみたい。だから権限は使えても1人に対してが限界」

「それじゃあスターリンをその権限で殺せば万事解決じゃないのか?」

「スターリンは影響が強すぎて干渉できないんだよ。まぁ、この映像も見て。」

そう言って映像が切り替わる。それはこの世界の魔法についての映像だった。

「これがこの世界にある魔法。攻撃系はあんまりないけど人からの信頼度を一時的に高めたり物が消せたりとか変わったのが多いね」

「ふーん。これ、どうやったら使えるようになるんだ?」

「それは魔法の勉強をしないと。勉強したら魔法ポイント、というか魔法を覚えれる脳の容量が上がるんだ。あ、これ挙げれるのは18歳までね。あと、魔法によって使う容量が変わるから慎重にね。」

「へぇ〜。なかなか面白そうじゃん」

「とにかく、これを駆使してなんとかスターリンを倒してね!がんばってね!」

「あ、結局聞けてないけど、なんで俺なんだ?」

「ふぇ?」

「いや、なんで俺が選ばれたんだって。」

「あぁ…それは…」

満面の笑みでエデンは言う。

「適当だよ。」

そんなんだからスターリンが強くなるんだぞ、とジャスティは思った。


「はい、これ僕のライン!一応交換しとこ!」

神様もラインするんだ…。そう思いつつジャスティはラインを交換する。

「なんか知りたいことがあったら聞いてね!多分返信しないから!」

殴りてぇ、そう思った。だがここはこらえる。

「じゃ、明日からがんばってみるわ」

「うん、頑張ってね!それじゃ!」

そう言うと神様は窓から飛んでいった。いや、ドアから出ないんだな…。そうジャスティは思った。

てか、学校どこだろう、調べておかないとな…。そう思い、ジャスティは明日の準備を始めた。


コツコツ、と廊下に足音が響く。その音が反発し、重厚感のある響きとなっていた。

トロツキーはコンコン、と大きなドアにノックをする。

開けろ、その言葉を聞きトロツキーはゆっくりとドアを開け、中に入った。

「さて、本日はどのようなご要件ですかな、同志スターリン。」

「まぁかけろ、トロツキー」

そう言われ、トロツキーはそばにあった椅子に腰掛けた。

「今回お前を呼んだのは他でもない、我が国の民にマスクを2つプレゼントしようと思う。その一切の管理を任せようと思う」

「なんですかそれ。そんなことして何の意味が」

「口答えするな粛清するぞ」

「冗談でもやめてください同志スターリン。私1回あなたに粛清されてるんですから」

「あぁ、そんなこともあったな。まぁ生きてるからいいじゃないか」

「いやほんともう勘弁してくださいね…。マスクの件に関してはなんとかします」

「よし、任せた。ではまた。」

「あ、同志スターリン。納期については?」

「ん?何を言っている同志トロツキー。納期など当日に決まっているだろ」

「…まじすか。」

その日、トロツキーは部下20名を使って12時間ぶっ通しでようやくマスクの配布準備を終えた。

「やべぇ…これ粛清の方がよかったかも…」

トロツキーは枯れた声でつぶやいた。

新生茶んです。

なにかけばいいかわからんですねこれ。

この機会にソ連の勉強をします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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