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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第4章 対転移者戦争開戦
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第81話 多難すぎる前途

「うん、、、うん、、、分かった。そっちは無事なんですね?よかった。うん、、、こっちも大丈夫です。また連絡します。それじゃあまた。」


電話を切るとグレッグは、フーと安堵のため息を吐いた後、座席で心配そうにしているレイスに報告した。


「ミアと連絡が取れました。どうやらアルフガンドは無事のようです。」

「そうか!よかった!」


現在レイスたちはナロパニアンの城から頂戴した最新飛行機に乗って上空を飛んでいる。これまでとは比べ物にならないほどの速度で北へ北へと向かっているのだが、時折速度を落として地上の様子を見てみても、地上には真っ黒に焦げた地面が地平線の果てまで広がっているだけで、街どころか植物の一つとて見当たらない。

その地獄のような光景が果てしなく広がっているのを見て、レイスとグレッグは故郷のアルフガンドが心配になり、ミケーアにいるグレッグの幼馴染ミアに連絡を取ったのである。

その結果彼女が住むミケーアおよびアルフガンドが無事であることが分かり、アルフガンドが故郷であるレイスとグレッグはほっと胸を撫でおろした。


「そりゃめでたい。良かったな。」


隣でしゃべるノルの声を聞いて、2人は失言に気づいた。ノルはつい先日、故郷が跡形もなく消滅してしまったのである。


「、、、ごめん。デリカシーが無かったね。」

「いやいいよ。気にするなってば。俺はもう故郷に未練はない。本気でお前らの故郷が無事でよかったと思ってるよ。マジで。というかそんなことよりも、」


自分のせいで空気が悪くなってしまうのを察したノルは強引に話題を変えようとする。


「いったいいつまで真っ黒な地面を見てなくちゃいけないんだよ。とっととスピードを上げてマドギルプスとかいうところに行こうぜ。」

「それも、、、そうだな。頼めるか?グレッグ。」

「おまかせあれ。」


グレッグは飛行機の設定を変えるためにコックピットに向かっていった。


「作戦とか立てなくて大丈夫?」


レイスの隣に座るフレイヤが不安そうに呟いた。


「あんな無茶苦茶なのに作戦とかまともに通じるわけありませんよ。とにかく迅速に突撃するのが奴らの虚を突くという意味でも一番効果的なはずです。」

「それはそうかもだけど、、、」

「それに、今の俺ならならそう簡単にやられはしませんよ。俺にはフレイヤさんがいるんだから。そうでしょ?」


不安そうなフレイヤを安心させたいという思いも込めて、レイスは自信満々の表情で微笑んで見せた。


「え、えぇ!もちろん!!当然!!この「武の女神フレイヤ」がついてたら百人力どころか百億人力よ!!安心しなさい!!」


レイスのおだてにフレイヤはすっかり気分がよくなり大きく胸を張った。

そうこうしているうちに操作を終えたグレッグがコックピットから出てきた。


「終わりました。このままワープを繰り返していって、待っていればそのうちマドギルプスにつくでしょう。」

「よし、それじゃあビビってても始まらないし、トランプでもするか。」


ノルがそう言って懐からトランプを取りだす。ところが、


「悪い、俺はちょっと遠慮しとくよ。戦いに備えないと。」


トランプが好きなはずのレイスは断り、それっきり個室の中にこもってしまった。


「、、、あいつどうしたんだろ?」

「、、、きっと彼も内心は緊張しているんでしょう。以前聞きましたが、転移者の1人は彼の家族の仇だそうです。、、、私も今回は遠慮しておきます。」


そう言ってグレッグもレイスに続き個室へと向かっていく。


「おいおいアンタもかよ。一体部屋で何するんだ?」

「魔法の勉強でも少ししようかと。これ以上戦力外のままでいたくないのですからね。」


ノルは一人座席に残される。広い空間の中にたった一人という状況に、ノルは一層の寂しさを感じる。


「なんだよ、、、つれないなぁ。」


文句を垂れながらも、ノルはグレッグの「戦力外のままでいたくない」という言葉が頭に残った。


「、、、まぁ、暇だしな、、、魔導書でも読んでおくか、、、」






それから何事もなく3日が過ぎ、レイスたちは黒焦げになった南端部をとっくに過ぎて転移者の本拠地である「12世界」の1つに近づいていた。


「なんか、、、本当に不気味なほど何もなかったな。」

「あぁ、てっきり刺客とか来るものかと。」


ここ数日緊張していたレイスとノルはあまりに何事もなく日が過ぎたことに拍子抜けしていた。


「それは当然ですよ。」


2人の会話を聞いていたのか、コックピットからグレッグが出てきて2人の疑問に答えた。


「この飛行機は常にワープしながら移動しています。いくら彼らだって亜空間を捉えて攻撃するなんてできっこありませんよ。それよりもみんな気を引き締めてください。いよいよ12世界に突入します。準備はできていますか?」

「とっくにできてる。」

「一応。」

「それでは、昨日私とフレイヤ様で練った作戦をおさらいします。」


グレッグが大きな紙を広げると、そこには複数の丸だけで作られた極めて簡潔かつ大雑把な地図があった。


「一番真ん中にあるのが神都カエラム。そして三角形に神都を囲むようにある特に巨大な三つの丸が、12世界の中でも特に巨大な通称「三大世界」です。我々の一旦の目的地としている「魔導国家マドギルプス」はこのうちの一つにあたります。そしてこの三大世界の外側にくっつくようにある三つずつ、合計九つの世界があります。三大世界を含めた合計12の世界はそれぞれが転移者の直轄地となっています。」

「、、、こうしてみると転移者の間でも格差がある印象を受ける。」


ノルの疑問はもっともであった。地図を見ると、明らかに三大世界とその周囲にある九つの世界で大きさが異なっている。


「ご指摘の通り、私も詳しいわけではありませんが、三大世界は転移者の中でも特に強力な力を持った人物が治めているようです。もっとも、全員強大なことには変わりありませんが。」

「ところでコウガがいるのはどこだ?分かるか?」


レイスからすれば、家族の仇であるコウガの居場所が知りたくて仕方がなかったが、レイスの言葉を聞いてグレッグはバツの悪そうな顔をした。」


「その、、、申し訳ないのですが、12世界のうちほとんどが詳細不明なんです。どこがどの世界か、支配者が誰なのかはまるでわかりません。スマホで調べようにも、実際に中に入ってみないとその世界の情報は分からないのですよ。」

「俺も、マドギルプスについて知ってるのは魔法が強いってことくらいだ。それ以外の世界のことなんてさっぱりだな。」

「私もあまり分からないわ。マドギルプスは12世界の中でも特に有名だからなんとなく知ってるってだけで、、、」

「、、、そうか。」

(焦ることはない。どうせ全員倒すつもりだ。それに、間違いなくヤツのほうから来るはずだ。)

「、、、話の腰を折ってごめん。続けて。」


はやる気持ちを落ち着かせたレイスは続きを促した。


「はい。それでですが、我々にとって一番最悪なのは転移者が一致団結して一斉に襲い掛かってくることです。フレイヤ様によればその可能性は低いとのことですが、、、」

「えぇ、彼らは全員異常なほどエゴが強いからね。」

「それでも、万が一ということもあります。我々が行うべきなのは転移者のスピーディな暗殺です。12世界は全て馬鹿馬鹿しくなるほど広大ですが、転移者が直接支配できる範囲はやはり知れています。内部に突入したらまず転移者がいる場所をスマホで調べ、一直線にそこへ向かい転移者を撃破からの離脱、これを繰り返してマドギルプス及びその周囲の三世界を制圧。これによって残った八つの世界は連携がとりにくくなるはずです。あとはマドギルプスを拠点としてそこから順次左右に出撃していって電撃的に残る八つの世界の転移者を撃破。作戦というにはあまりにも単純で、机上の空論というのもおこがましいほどですが、これ以外に勝ちの目はまったくありません。失敗すれば死ぬだけです。」


畳みかけるようなグレッグの説明に、レイスとフレイヤは納得した様子であったが。ノルはその無謀にも近い作戦を聞いて内心青ざめていた。


(嘘だろ、、、俺いったいなんて危ない橋を渡っちまったんだ、、、!)


ノルの絶望を知ってか知らずが、グレッグは早々に作戦説明を切り上げた。


「それでは、先ほどの説明通り、まずは転移者がいる場所を確認しましょう。そろそろ12世界の1つには突入したはずです。」


グレッグを追って、レイスとノルもコックピットに入る。


「やはりもう領域内には入ったようですね。あとは転移者の居場所を調べて、、、」

ビーーーッ!! ビーーーッ!!


グレッグがスマホで調べようとしたその時、けたたましい警告音が鳴り響いた。


「え!?何!?」


突然のことに驚いたレイスは耳を押さえながら叫ぶ。


「これは、、、マズイ!!」


レーダーを確認したグレッグが蒼白になる。


「何かがこっちに向かってきます!!」

「ハァッ!?お前ワープ空間では攻撃されないとか言ってなかったか!?」

「作戦失敗です!修正しなくては!」

「早くない!?「この作戦で行くぞ!」の数秒後にもう失敗するとか初めて聞いたんだけど!?」


ノルが怒涛のツッコミを入れている間に、謎の攻撃が迫ってきてついに、飛行機に直撃した。

飛行機はワープ空間の中で大爆発を起こしてバラバラになり、レイスたちは生身のままワープ空間に放り出される。


「「「うわぁぁぁぁっっ!!」」」





同じくワープ空間内で、


「お見事ですルル様。命中です。」

「当然だ。飛び立った奴らを回収しろ。」


レイスたちのいた場所よりもはるか前方に巨大な戦艦が待ち構えていた。


その戦艦の中には多数の角の生えた人間に似た風貌の「魔族」や魔物がいた。

そして、その一団の司令官として君臨するのは、派手な服を着た少年とも少女ともとれる、一見すると場違いにも感じられる風貌の人物であった。


「中々の快進撃だったようだが、ツケを精算して頂こう。」


レイスたちは、彼らの気づかないうちに、転移者の一角「ルル・ルーン」の投げた網にかかっていたのである。


読んでくださりありがとうございます。


「12都市」を「12世界」に変更します。


順次修正していきますので、もし抜け落ちている部分があればご指摘してくださると嬉しいです。

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