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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第4章 対転移者戦争開戦
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第80話 開戦宣言

「ったく、どうなってる。今まであったか?こんな連続で呼び出されるなんてよぉ?」


沈黙の中、転移者の1人カズキはテーブルに足を乗せながら面倒くさそうに発言した。


「うるっさいね。何かしら事件があったんだろうからしかたないでしょ。そして机に足を置くのをやめなさい。」


同じく転移者の1人ミリアンがカズキの態度を嗜める。しかし、彼の言葉は多かれ少なかれ、その場にいる転移者全員がの心情を代弁することであった。

数日前転移者が招集されたのはアルフガンドが陥落したため。

本来、ロディニア全体から見れば辺境のちっぽけな小国にすぎないアルフガンドごときが落とされたからといって、転移者全員が集まることなどない。

にも関わらず転移者が集められたのは、そこがコウガの出身地で、尚且つコウガの妻の1人であるタマがアルフガンドの支配者だったからである。


今回またしても転移者全員が集められたということは、それに匹敵する重大な事件が起きたということだろうと、転移者たちは若干の緊張を孕んだ面持ちで皇帝であるユウヤを待っていた。


やがて、コツンという足音とともにユウヤが部屋に現れて、椅子に座る。


「ご機嫌よう諸君。変わらず元気そうでなによりだ。」

「前の会議から3日も経ってないだろ。」


ユウヤのややズレた社交辞令に、10代前半くらいの少女のような見た目の転移者ルルが男性のような口調でツッコミを入れた。


「たしかにそうだな。では前置きはこれくらいにして、、、いきなり本題から入ろうと思う。我が帝国の南端が消滅した。」

「ハァッ!?」


予想を遥かに超える大きなニュースに、転移者たちは思わずざわめき、カズキに至っては叫び声をあげた。


「消滅ってのはどんなふうに?」


転移者たちの中で1番冷静さを保っていた美咲がユウヤに質問をする。


「都市や自然が跡形もなくなって、焦げた地面だけがその場に残っているという状態だ。」

「規模は?」

「正確には算出できていないが、「創造神の創造」十万年分以上はあるだろう。もっとかもしれない。」

「フーム、にわかには信じられないな。そんな威力の破壊が俺たち以外にできるなんて。あるいは、、、」


カズキは独り言を装いながらコウガのほうを見る。


「本当に俺たちのうちの誰かがやったとか?」

「、、、おい。何が言いたい。」


カズキの視線をコウガも感じ取り、テーブルを挟んで睨みあう。ほかの転移者たちはまたかといった様子で心の中でため息を吐いた。


「南端って言ったら「アルフガンド」とかいうお前の別荘地があるところじゃないか。そこでお前のカスみてーに弱い嫁さんが1匹死んだんだろぉ?お前が癇癪起こしてやっちまったんじゃないのかぁ?お前メンタルクソ雑魚のガキだしなぁ。」

「この野郎、、、言わせておけば!!」


カズキの挑発に激高したコウガは立ち上がって剣を抜き、カズキも狂暴な笑みを浮かべながら立ち上がって構えを取る。


「や、やめなってば!」


最も温厚な転移者のカイトが数日前の会議と同じように2人を宥めるが、ただでさえ不愉快な出来事が続いていたコウガは、もうその程度で止まる気はなかった。

2人はほぼ同時に机に上るとコウガはカズキに剣を振り下ろし、カズキはコウガの顔めがけて拳を突き出した。


(マズイ!)


椅子に座ったままの転移者たちは青ざめた。転移者2人の本気の攻撃。それが真っ向からぶつかれば、どれほどの破壊が引き起こされるかわかったものではない。

神都カエラムの消滅は避けられず、下手をすると周囲にある12世界にも甚大な被害が出てしまうかもしれない。

その危険性を一切考慮しないコウガとカズキのそれぞれの攻撃がぶつかりそうになった時、


「やめ。」


ユウヤが2人の間に割って入り、彼らの全力の攻撃をそれぞれ片手で、それも指三本だけを使ってつまむように止めてしまった。

その光景にコウガとカズキは一瞬硬直し、ユウヤはそんな2人に対して腹部に打撃を浴びせていく。


「カハ、、、ッ!」

「グ、、、ッ!」


強烈な打撃を受け、2人は倒れそうになる。しかしここで奇妙なことが起こった。2人は確かに自分たちが机の上で倒れるのだろうと思ったが、実際にはそうはならず、机の上にいたはずの2人は元の位置で椅子に座っており、そこから机に突っ伏す状態になった。


(いつの間に、、、?)


コウガもカズキも、自分がいったいいつ再度椅子に座らされたのかが全く分からなかった。彼らはユウヤのスピードを全く認識できなかったのである。


「いい加減自分の立場をわきまえろ。我々はそこらの子供や居酒屋のおっさんのように喧嘩をできる身分ではないのだ。」

「、、、。」

「チ、、、。」


ユウヤの桁外れの力を思い知った2人は何も言い返さなかった。部屋が静かになったのを確認したユウヤは「ようやく会議の始まりだ」と宣言するように大げさに咳ばらいをしてから話し始めた。


「それでだ、カズキが先ほど言ったことも全く関係がないわけではない。これを見ろ。」


ユウヤの言葉と同時に3人の人間の立体映像が机の上に映し出される。転移者たちは全員、3人のうち2人に見覚えがあった。何しろ彼らはほんの数日前に転移者たちの議題に上がったばかりなのである。


「こいつは、、、!」


3人のうちの1人、レイス・ビネガーの顔を見たコウガは怒りで顔を歪めた。


「焼け野原になった南端部の上空を飛行機で移動するこいつらが確認できた。災害はほぼ間違いなくこいつらの仕業だろう。ナロパニアンのソニック総督も、キーレ総督もやられたとみて間違いない。どうやらこいつらはまっすぐ神都を目指しているらしい。」

「そうかそうか。ならば話は早い。」


ユウヤの言葉を聞いたコウガが立ち上がった。


「どこに行く気だ?」

「そこらの総督が役に立たないのなら僕が自ら成敗するまでだ。僕を怒らせた報いを受けさせてやる。」

「ムキになっちゃって、、、ククク、、、」

「なんだと、、、!?」


再度カズキが挑発し、2人の間にまたしてもピリピリとした緊張が走る。


「いい加減にしろ!!もう一発食らいたいか!!」


ユウヤの一喝が部屋全体に響き渡る。先ほど制裁を受けたばかりのコウガとカズキはわずかに怯え、いがみ合いを中断せざるをえなくなった。


「コウガ、やる気があるのは結構だが、話はまだ途中だ。」

「ク、、、」


コウガは渋々着席し、ユウヤは話を続けた。


「コウガが言ったように彼らにそこらの総督をぶつけても相手にならんだろう。下手をすれば帝国がさらに破壊されるかもしれん。やはり、我々が直接相手をしてやるべきだ。」


ユウヤはそう言うと椅子から立ち上がり。転移者全員を見渡す。


「聞け。そして肝に命じるのだ。我々に逆らうものなどあってはならない。我々を脅かす力もあってはならない。我々は神に選ばれ、その神を超越したのだ。我々より「上」などこの世に存在しない。」


ユウヤが喋るたびに彼の体から放たれる威圧感が増大していき、部屋を満たしていく。


「これは戦争だ。殺せ。こいつらを全員殺せ。跡形もなくこの世から消滅させろ。持てる最大の戦力を使って、気の毒になるほどの圧倒的な力の差を見せてやるんだ。我々に歯向かったことの愚かさを細胞の一片に至るまで染み込ませるように。」

「了解。」

「、、、分かった。」


ユウヤの命令に対し素直に返事はするものの、レイスへの怒りに燃えるコウガを除いたほとんどの転移者たちは「ユウヤは何を真剣になっているのか」と内心冷ややかだった。


自分たちを脅かす存在などいるわけがない。


どうせ指一本動かすだけで終わるに決まっている。


転移者のほとんどがそう思っていた。

長らく絶頂の中にいたことで、誰の目にも明らかなほど彼らは驕っていた。

その驕りを知ってか知らずか、ユウヤはどこか楽し気にワインを入れたグラスをかかげた。


「ではここに、戦争の開始を宣言する。各々、最強の布陣を作り備えるように、乾杯。」


「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」

「乾杯。」


ユウヤに合わせるように他の転移者たちもワインを口にする。

この時をもって、レイスと転移者による戦争が始まることになった。


読んでくださりありがとうございます。

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