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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第3章 失敗作の逆襲 熱戦のナロパニアン
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第78話 行く場所は同じ

ルミナが放った「プチファイヤーボール」の爆炎は1分近くも残り続け、ようやく炎が消えた時、その跡には何もかもが無くなっていた。

比喩でもなんでもなく本当に「何もかも」。

いい天気だったはずの空は夜のように暗くなり、地上の方に目を向けてみると暗闇が無限に広がっていた。

爆発によって街ごと地面が消滅し、地面に大きな穴が開いたのだが、その穴があまりにも巨大だったために穴の底も端も全く見えず、ただ暗闇が広がっているように感じられたのである。


「スッゲ!マジですごかったぜ!!」

「完全に想定外ですね。この世のものとはとても思えない。マックス。私のほうが広範囲を予想したから、勝負は私の勝ちだな。」

「ハァ?普通に二人ともハズレだろ。」

「これは、、、本当にすごい、、、すごいとしか言えない。なんてこった、、、俺の語彙力がデスターと同じレベルになっちまった。」


NCCの古参メンバーはその尋常ではない光景を見て驚嘆や畏怖の混じった感想を漏らす。そして、


「なんだか、、、俺のアイデンティティが一気に無くなってしまった気がする、、、」


炎魔法の使い手であるアイザックスはルミナが最初級の炎魔法で桁外れの破壊を起こしたのを見て自信喪失気味になってしまった。


「わ、私が、、、これを、、、うーん、、、」


張本人であるルミナは目の前の現実を受け止めることができずにめまいを起こしてフラフラと背中から倒れそうになる。


「おっと危ない。」


そんな彼女の背中を支えながら、カインは笑顔で彼女に語りかけた。


「ご、ごめんなさい、、、動揺しちゃって、、、」

「気にすんな。ぶっちゃけ俺も興奮でぶっ倒れてしまいそうだ。「宇宙最強の魔法使い」が誕生する瞬間をこの目で見れたんだからな。」

「そ、そんな、、、大げさ、、、」

「大げさじゃない。今のお前は間違いなく「最強」だ。いや、元々最強だったが今まで運に恵まれなかっただけだろう。」


カインから「宇宙最強」のお墨付きを貰って、ルミナは謙遜しつつも嬉しさと照れ臭さから顔が赤くなった。


(はじめからおかしいと思っていたさ。ライター代わりにしかならないプチファイヤーボールを大型魔物を倒せるくらいデカくするなんてな。)


カインの方はと言うと、内心注意深くルミナの能力のことを分析していた。


(神と融合した影響ももちろんあるだろう。だが、ルミナの魔力量が桁違いなのはおそらく元からだ。そうでないとプチファイヤーボールで魔物をぶっ飛ばしたりできるわけないからな。)


おそらくルミナは生まれつきとてつもない魔力を持っていた。しかし、体内の魔力があまりにも多すぎて、体そのものがついていかず、そのせいでずっと病弱だった。しかし今回、神と融合したことでその魔力に耐えられる肉体を得て、「本来の力」というべきものが発揮できるようになったのであろう。

それが、カインの立てた仮説であった。


結論を言えばカインの予想は的を得ていた。

彼女は元々、創造神によって尋常ではない量の魔力を持って生まれるよう作られた人間。

他の人間とは全く異なる次元の力を持った、宇宙のバランスを壊しかねない存在、「神の失敗作ミスクリエーション」の1人であった。

しかし、さすがのカインもそこまでは知る術がない。


「ヤバかったぜルミナ!あの魔法マジでデッカかったよなぁ!」


カインの考察をよそに、興奮した様子のデスターがルミナの元に駆け寄ってきた。


「もし普通のファイヤーボールとか撃ってたらどうなってたんだろうな?」


デスターは冗談めかして言ったが、咄嗟に渾身の魔力を込めたバリヤーを張ることで辛うじてルミナの魔法を防いだカインは血の気が引いた。


「おいおい、怖いことを言うな。これ以上強力な魔法を撃たれたら、どうなるか分かったもんじゃない。そしてルミナ。」

「は、はい!」


カインは珍しく真面目な顔をしてルミナを見る。


「今すぐじゃなくてもいいから、範囲と威力を絞れるようにしなさい。今のままだと被害が大きすぎる。理想を言えば「魔力量はそのままで範囲だけを絞る」というのが強敵相手にはベストだが、、、いきなりそれは難しい。比較的簡単な部分から少しずつ修正していけ。分かったな。」

「わ、分かった、、、」


カインの説教が終わった時、ピエールが思い出したような顔をして口を開いた。


「そういえば、、、君は結局魔法をどのくらい知ってるんですか?」


ピエールが聞いたのは、ルミナがどんな魔法を扱えるのかということだった。当然、虚弱体質の時のルミナは最下級魔法しか使えなかったが、今は別で、その魔法の知識さえあればより高位の魔法を扱えるようになるはずである。

ルミナが今後NCCの主戦力になることは明白であり、カインたちにとっても興味をそそられる話であった。


「えっと、、、知ってるのは「プチファイヤーボール」と「プチアイス」、「プチヒール」と「プチサンダー」、、、かな?」

「、、、ものの見事に基礎中の基礎魔法ばっかりだな。お前の実家確か魔導国家マドギルプスの名家だろ?勉強とかさせられなかったのか?」


それを聞いたルミナがバツの悪そうな顔をして、少しの沈黙のあとゆっくりと話し始めた。


「家では、、、どうせろくに魔法を使えないだろうって本も読ませてくれなかった、、、ナロパニアンに来て最初の頃は魔導書を買ったりしてたけど、なんか虚しくなってすぐやめちゃった。」

「うーん、そうか。勿体無いなぁ。」


ルミナの話を聞いたカインは惜しそうにそう呟いた。

最下級魔法といってもそれをルミナが放てば万物を破壊する兵器並の威力になることは証明済みだが、それだけで転移者連中に勝てるかどうかは分からない。


何より、ルミナが放つ高位魔法がどんなものかを見てみたいとという思いがあった。


「まぁ、まだ18歳だ。遅すぎるということはない。」


カインは仲間たちの方を見て聞いていくことにした。


「ピエール。お前魔法を教えてやれないか?」

「すみません。私の専門は毒と回復魔法でしてね。」

「そうか、、、それにしても毒と回復ってどういう組み合わせなんだ。マックスは?」

「正直言ってからっきしだ。家にもしかしたら魔導書があったかもしれないが、この感じだと家も無くなっているだろう。」

「うーむ、、、ザックは?」

「申し訳ないけど魔法についてはほとんど知らない。」

「デスター。」

「え?」


まさか聞かれるとは思ってなかったデスターが虚を突かれた顔でカインを見る。デスターの他にも、新メンバーのザックを除いた全員が「一体何を言っているんだ?」とでも言いたげな目でカインを見た。


「俺が魔法のことを知っているとでも?」

「、、、すまん。そりゃそうだな。」


デスターはとにかく筋肉を崇拝し「力こそ全て」を地でいく脳筋。魔法の知識などあるはずがないことは周知の事実であり、カインも「なぜデスターに聞いたのか」と瞬時に自身を恥じた。


「しかし、まいったな。俺もある程度魔法の修行はしたが、教えられるほどかというと、、、」

「総長、中途半端ですもんね。パワーはデスターに負けるし、魔力は私やルミナ以下だし、銃もマックスよりは上手くないし、固有魔法も使い所が難しいし。」

「「オールラウンダー」と言え!」


気にしていることをピエールに指摘されたカインは珍しく感情を露わにして激怒した。


「フー、、、まぁいい。次の目的地はもう決まった。ちょうど、「世界征服」と「ルミナの魔法強化合宿」の両方ができる絶好の場所がある。飛行機はなんとか無事だし、これで行こう。」

「どこ?」


はたしてそんな都合のいい場所があるのか、全員イマイチピンとこなかった。


「お前の故郷、「魔導国家マドギルプス」だよ。」




「魔導国家マドギルプス?」


レイスは聞きなれない単語を耳にして、フレイヤが言ったことをオウム返しする。


「ええそうよ。このまま真っ直ぐ行ったら神都に着く前にマドギルプスを抜けることになるわ。転移者の襲撃があるとすれば多分ここでしょうね。」

「マドギルプス、、、知ってるか?」

「いいえ。」


レイスはグレッグを見るが、彼は首を横に振った。元役人とは言っても末端だったグレッグは、さすがに帝国の中枢の様子は知らなかった。


「俺は少し知ってる。」


その直後、ノルがレイスの疑問に答えた。


「NCCの幹部にルミナっていう、めちゃくちゃ強い魔法を使う魔法使いがいて、マドギルプスは彼女の故郷だ。確か、国民の多くが強力な魔法使いとか、、、」

「その通りよ。」


フレイヤはコホンと咳払いして補足を開始した。


「魔導国家マドギルプスは「12都市」の一つにして、創造神様が作った宇宙の中でも特に「魔法が発展した次元」を無数にくっつけて作られた「魔法大国」。全宇宙の魔法技術が集まるまさに「魔法の総本山」よ。」

「「12都市」ってなに?」


初めて聞く単語を耳にして、レイスはフレイヤに質問をする。


「「12都市」は「神都カエラム」の周囲にある、「皇帝ユウヤ」を除いた「12人の転移者が直接支配する地域」の総称でね、彼らが気に入った世界をそれぞれくっつけることで今も拡大を続けている、いわば彼らの「活動拠点」にして「遊び場」よ。転移者の力と権威の象徴でもあるから、当然規模は今までと段違い。創造神様が作った全次元の実に「3分の2」以上がこの12都市に集められているわ。」

「なんか、、、前も似たようなことを聞いた気がするけど、、、すごいっすね。遊び感覚でそんな次元同士をくっつけるって。」


レイスは相変わらずな転移者の遊びのスケールに引いた。だがそれ以上にレイスが気になったのは、転移者がそれぞれ直接支配しているということであった。


(つまり、その12個のどれかにコウガがいるのか。)


レイスはその場所をすぐに聞き出したくなったが、さすがに話の腰を折ることになってしまうと思い、ひとまずフレイヤの話を最後まで聞くことにした。


「ただ、このマドギルプスを越えるのは絶対に一筋縄じゃいかない。転移者が直接襲いかかってくることは覚悟しておいた方がいいわ。」

「問題なし。むしろ望むところですよ。」

「手っ取り早く俺の名をあげるチャンスだ!」

「、、、どうせいずれは戦わなきゃダメですしね。」

「それじゃあ善は急げね!午後には飛行機に乗って向かうわよ!」



図らずも、レイスらとNCCは、目的地が「魔導国家マドギルプス」で一致することとなった。

読んでくださりありがとうございます。

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