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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第3章 失敗作の逆襲 熱戦のナロパニアン
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第74話 ナロパニアン最終決戦(6)

「いや、えっと、、、あなた誰ですか?」

「?」


グレッグの当然の疑問に対し、当のレイスは自分の体の変化に気づいていないようで、グレッグの言っていることが理解できずキョトンとした。


「、、、、、、」

サラ サラ


しばらくしてからレイスは自身の長い赤髪に気づき、背中から前に持ってきて手でその髪を撫でた。


「、、、鏡とかある?」

「え、、、?あ、、、どうぞ、、、」


グレッグは困惑しつつもマジックバッグから手鏡を取りだしてレイスに手渡した。


「おー、、、」


鏡に写る自身の姿を見たレイスは、グレッグ達の予想に反して意外と薄いリアクションであった。驚いてはいるものの、ある程度は「予想通り」だったとでも言うように、興味深そうに長い髪や先ほどよりも明らかに細くなった体を見渡す。


「、、、兄貴そっくりになったな。」


小声でつぶやいたレイスの言葉に、グレッグとノルは気づくことがなかった。


「なぁ、、、念のため聞くけど、、、本当にレイス?」


いまだに目の前の人物がレイスだと信じきれないノルは疑わし気に質問をする。

ノルが信じられないのも無理はなかった。何しろレイスは顔こそ面影があったもののそれ以外はまったくの別人と言ってもいいくらいに姿が変わっている。

特徴的だった赤髪と白髪が混じった髪は真っ赤なロングヘアーに変わり、筋肉質だった体は一転してスレンダーな体型になっていた。

それこそレイスと一緒にいたフレイヤとレイスがちょうど混じりあったような、見た目をしている。少し距離を取ったところから見れば、誰もレイスを男だと気づくことができないだろう。


「え?決まってるだろ。見て分からないのか?」

「見て分からないから言ってるんだよ!、、、このノリはレイスっぽいな、、、」

「ええ、なんかレイスっぽいですね、、、」


見た目はともかく、話し方がレイスそのものなので、二人はだんだんと目の前の人物がレイスだと受け入れられるようになってきた。


「でも、どうやって?確かに息をしていなかったはず、、、」

「まぁまぁ、そんな話はあとにしてとりあえず、、、」


レイスは落ち着いた様子で起き上がりつつあるランドに目を向けた。


「あいつを片付けてくる。今度こそ。」

「いけるのか?」

「大丈夫。少なくとも今は負ける気がしないから。」


自信満々でレイスが歩いていくが、その背を見届けるノルには不安があった。


(いや、、、見た目明らかに弱体化してるじゃねーか!)


攻撃の要であったガントレットが両腕から消滅し、筋肉質だった体が見るからに華奢になってしまったレイス。あんな状態になって戦えるのかと思わずにはいられなかった。





(何が、、、起きた、、、?)


これまでに感じたこともない衝撃に襲われたランドは混乱していた。しかし、彼を混乱させたものはダメージではなかった。


(攻撃が見えなかったのか、、、この俺が、、、?)


この戦いで、ランドは何度もレイスの攻撃を受けた。しかしそれはどれもこれも弱すぎる敵に対する「お情け」によるものであり、ランドが認識できない攻撃など一つとしてなかった。

しかし今回は明らかに違った。ランドは「いつの間にか」攻撃を食らっており、気づいたときには地面に倒れていた。


「相手の攻撃が見えない」


それは長く最強として君臨してきたランドにとって初めての経験であった。


「、、、、、、」


ランドは立ち上がると、つい先ほど自分を攻撃してきた人物の前に立った。その見た目はまるで別人かと思うほどに変わっていたが、ランドには目の前の人物が誰なのかすぐに分かった。


「レイスか。よかったな、生き返ることができて。」

「ん?なんかいろいろ聞きたいこととかないのか?」


色々と疑問を投げかけてきたグレッグ達と異なり、一瞬ですべてを理解したかのように受け入れるランドの様子にレイスは違和感を覚えた。


「別にどうでもいい。無くしたと思ってたオモチャが戻ってきて、喜びこそすれその理由を深く追及する子供などいないだろ?「レイス・ビネガーがはるかに強くなって生き返った」。要はオモチャがさらに面白くなって手元に戻ってきただけのことだ。」

「それは違うな。」

「なに?」


相変わらずレイスを自分のオモチャ扱いするランドの言葉を、レイスはきっぱりと否定する。


「これからはもう楽しむ余裕なんかないぞ。」

バキッ!


その言葉とほぼ同時にレイスは高速で突進し、勢いそのままにランドの腹部を蹴り飛ばした。


「ッッ!!?」

(また見えなかっただと!?)


先ほどのこともあり、ランドは油断をしていなかった。にもかかわらず、ランドはレイスの動きをまるで認識できなかった。その事実がダメージ以上にランドを動揺させた。


「ク、、、!」


何とか倒れず地面に着地したランドが慌てて前を向くが、そこにはもうレイスの姿はなかった。


「こっちだ!」

「!」


ランドが声のしたほうを向こうとしたときにはすでにレイスの肘がランドの顔に刺さり、彼は顔を変形させながら吹き飛ばされる。


「この、、、!」

(「60」、、、いや!「70%」だ!!)

「くらえ!!」


反撃に転じてランドは高速の突きを次々と繰り出すが、レイスにはかすりもせず全てよけられてしまう。


「なんだと、、、!」

「フンッッ!!」

ボゴォッッ!!


反対にレイスの拳はランドの顔面に深くめり込み、彼はなすすべもなく地面と平行に飛ばされる。



「ス、スゴイ!信じられないほど強い!これ勝てるぞ!!」


レイスの猛攻を見てノルは大興奮であったがグレッグは神妙な面持ちでレイスたちの様子を観察し、ノルをたしなめた。


「まだわからない。あの男の言葉を信じるなら、、、あいつはまだ「100%」の力を出していないのだから。」




「ガ、ガハ、、、ッ!ハァ、、、ハァ、、、!!」

ボタボタッ ボタボタッ


折れた何本もの歯、止まらない鼻血、呼吸は荒く視界がぼやけ足に力が入らない。これまで「最強」として君臨してきたランドにとって何もかも初めての経験であった。


(この小僧、、、いったいどうやってこれほどの力を、、、!!)

「「遊び」は終わり!ここからはガチの「戦い」だ!「全力」でかかってこい!」

「全力、、、全力か、、、」


ランドは自分の傷を回復魔法で治しながら立ち上がるとフゥと息を吐いた。


「俺はこれまで、、、全力など出したことがない、、、そんなことをしなくても終わっていたからな、、、」


そう言いつつ、ランドは上着を破いて筋肉質な肉体を露にすると、無から先端に巨大で鋭い刃がついた、豪華な装飾の槍を出現させてそれを手に取った。


「いいだろう見せてやる。生まれて初めての、俺の「100%」を!!ハァァァァァッッッ、、、!!!」


ランドが力を込めると、彼の魔力が急激に高まり始める。


「クッ!ヤバい!」


ただならぬものを感じたレイスは大急ぎでグレッグとノルの元へ向かい、二人を抱きかかえた。


「え!?どうしたんですか!?」

「踏ん張れ!!」


直後、





「ハァァァーーーーーッッッッ!!!!」


ランドの絶叫と同時に彼の全身から魔力が放出され、台風のように荒れ狂う。


「うわぁぁぁッッ!!!」

「な、何だコレは!!」

「く、、、ッ!!すさまじい!!」


レイスですら吹き飛ばされないようにこらえるのがやっとの魔力の嵐は数十秒に及び、彼らが目を開けた時、地面のあちこちに陥没したような不自然な大穴が無数にできていることに気づいた。


「これは、、、」


この災害の中心人物、ランドの姿を見たレイスたちは一瞬言葉を失った。片手に槍を持ち、全身から凄まじいとしか言いようがないほどの魔力を放つ男。彫刻のように立つその神々しさすら感じる姿に、レイスたちは思わず目を奪われたのだった。


ランドはふわりと浮き上がるとレイスたちの前に降り立った。


「待たせたな、これが俺の魔力を全て解放した状態、、、俺の「100%」だ。これ以上俺に「手札」はないし、強化もない。紛れもない「全力」だ。これほどの高揚感は生まれて初めてだよ。」


全力を出したランドが放つ桁外れの存在感にグレッグは圧倒される。


(熱い、、、まるで目のまえに太陽があるようだ、、、!)


レイスは二人から手を離すとゆっくりと前に進み出てランドの前に立つ。


「一歩前に出れば互いの間合い」


そこまで近づいたところで、二人の間にはピリピリとした異様な雰囲気が漂う。

この場にいる誰もが確信していた。レイスかランド、どちらが勝つにしても勝負が一瞬で終わることを。



「そういえば言ってなかったな。俺の名前はジェフリー・ランド。この名前を脳にしっかり焼き付けて今度こそ逝くがいい。」

「丁重にお断りする。人生最後に聞く人の名前がお前なんてごめんだ。」

読んでくださりありがとうございます。

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