第67話 栄光の始まり(3)
それからNCCの5人はほとんど休む間もなく、街を見つけては襲撃し滅ぼすのを繰り返していった。そして現在五人は、六つ目に滅ぼした街の領主の屋敷で、領主一家や使用人や守備兵の亡骸に囲まれながら高価な酒や食材を取りだして宴会をしていた。
「ハッハッハ!おいピエール、この街を落とすのにかかった時間は!?」
「はい、ちょうど30分です。」
「いい調子だお前たち!よーしこのまま張り切って10分切りを目指していくぞ!何事にも目標を持っておかないとやる気は出ないからな!」
「「「「おー!!」」」」
学生のようなテンションでさらなる殺戮行脚に出ようとした一行の耳に、大勢の人が歩く音が聞こえてくる。
「ん?なんだ?」
カインが窓から外の様子を確認すると、そこにいたのは重厚な鎧を身に纏った兵士たちの軍勢であった。高台にある屋敷から景色と一緒に一望できるその軍勢は明らかに街の守備兵などとは質の時点で異なっており、かなり精強な兵士なのが一目で分かる。加えて、そのうちの百人ほどは「神域武具」を装備しているように見えた。
「NCC残党諸君!そこにいるのは分かっている!大人しく投降しなさい!」
魔法によって声量を上げた声が周囲に響き渡った。ワイワイと酒盛りをしていた四人(ルミナは未成年のため当然ジュースである)も、いったい何事かと窓のほうに集まってきた。
「おっと、、、これはこれは、、、「街落としゲーム」はいったん中断だな。」
「しかし、いったいどうやってあの数が急に、、、ワープストーンでも使ったのか?」
デスターは軍勢を見て好戦的な笑みを浮かべ、マックスは軍勢が突如現れたことを不思議に思っていた。
「千人くらいはいますかねぇ、、、いかがいたしましょう?逃げますか?」
5人の中では一番慎重寄りの性格であるピエールがリーダーに対して撤退案を出すが、当のカインはその提案を鼻で笑い飛ばした。
「んなわけねーだろ!千人くらいって言ったか!?それじゃ一人200、、、いや、ルミナは魔法を使ったばかりだから使い物にならないとして、一人たった250人くらいだ!やるぞ!」
「ケホ、、、ッ みんな、ごめんなさい。」
「なぁに気にすることはない。正直、手ごたえがなさ過ぎて退屈していたところだ。少しくらいは難易度が上がったほうがいい。」
冷静沈着に見えて実は好戦的なマックスは口角をわずかに上げながらライフルに大量の弾丸を込めていく。ほかの面々も戦闘準備を整えていき、それを見たピエールもやれやれといった様子で短剣を取りだす。
「よっしゃー!行くぜ!気合を入れろ!!」
カインの号令で4人は一斉に窓を割って屋敷から飛び出し、軍勢に突っ込んでいった。
それから約1時間後、、、
「ハァ、、、ハァ、、、ハァ、、、」
夥しい数の死体が散乱する戦場で、体中に切り傷や打撲痕を作ったNCCの4人だけが立っていた。
「さすがに、、、あの数はちょっとばかりキツかったな、、、」
「だが生きてる!ハーッハッハッハッ!!」
「やはり、天は我々の味方だ。」
「、、、他愛もない。」
疲労困憊の4人は戦いを終えて各々一息つく。口では強がっているが、百戦錬磨のNCC幹部といえど、神域武具で身を固めた大軍を相手にするのは骨が折れ、すでに魔力を使い果たしているルミナも含めて彼らにはもう戦う力がほとんど残されていなかった。
「よし、、、ハァッ、、、少し休んだら、、、また、、、出発するぞ、、、」
しかし、すでに死の覚悟すら決めている5人の戦意はまるで衰えることなく、ナロパニアンすべてをめちゃくちゃにしてやるという野望に燃え、痛む体にさらに鞭打って立ち上がっていく
それを遠くから見つめる集団があった。
「フフフ、、、お楽しみはこれからだ。」
直後、巨大な岩が隕石のように次々と彼らめがけて降り注いできた。
「危ない!!」
一番体力が余っているデスターが、近くにいたマックスとピエールを抱えて隕石を避けていく。
「な、なんだなんだ!?」
「ク、、、ッ!新手の敵だ!!」
カインは隕石を避けながら、攻撃を仕掛けてきた相手を探してあたりを見渡す。すると、はるか遠くの高台に、数人の集団が立っているのが見えた。
「あ、あれか!?」
カインが集団を認識したその直後、
「目は悪くないようだな。」
カインのすぐ目の前に黒い肌で鋭くとがった耳をしたダークエルフの女が現れた。反撃の隙も与えず彼のみぞおちに強烈な蹴りを食らわせる。
「カッ、、、ハッ、、、!」
体内の空気をすべて吐き出させられたカインはそのまま吹き飛んで大岩に激突した。
「カイン!!」
デスターは抱えていた2人を下ろすとカインを攻撃したダークエルフに向かっていった。
「おのれ!この女!」
「おっと!あんたの相手はアタシだぜ?」
今にもダークエルフにつかみかかって首をへし折らんとしていたデスターの前に野性味ある赤い髪色の虎獣人の女が現れ、彼の手をがっちりと掴んだ。
「お前、、、俺と力比べでもしたいのか?身の程知らずめ!」
デスターは両手に渾身の力を込めて、獣人の女をねじ伏せようとする。しかし、
「フン!こんなものか?」
「な、なに!?」
獣人の女は、デスターの力ではびくともしなかった。
「今度はアタシの番だ!ハァァァァァ、、、!」
獣人の女は怪しげなオーラを全身から放つと、筋肉が膨れ上がり、額に2本の大きな角が生えた。
(この姿、、、それに、このパワーはなんだ!?)
「オリャァァァァッッ!!!」
「グハッ!!?」
完全に力負けしたデスターはそのまま投げ飛ばされ、彼女は倒れ伏すデスターの腹部に追撃の膝蹴りをお見舞いした。
「うわぁぁぁぁッッッ!!!」
内臓がすべて破裂してしまったような錯覚さえ感じるほどの激痛に、デスターはたまらず絶叫する。
「おいおい、その筋肉は見かけだけか?」
女の挑発に対し、声を出すこともできないデスターは血を吐きながら睨むことしかできなかった。
「なんてことだ、、、デスターの馬鹿力が通用しないだと、、、?」
「何やってんだデスター!お前からパワーとったら何が残るんだよ!」
普段はデスターの単細胞ぶりに呆れたりするものの、そのパワー自体は信用しているマックスとピエールは驚愕に目を見開いた。
「よそ見をしている場合か?」
そんな2人の背後から声が聞こえてくる。振り返ると本当になぜここまで接近されていることに気づかなかったのかというほど近い位置に斥候のような服装をした男が立っていた。
「!」
マックスは即座に立ち上がると有無を言わさぬスピードで彼の頭めがけて魔力を込めた弾丸を放った。しかし男は一瞬で横に移動して弾丸を躱した。
(避けた!?)
今まで経験したことがない事態に、マックスは目に見えて動揺する。その後何発も弾丸を放つものの、一発も当たることなく接近してきた男の一撃で倒れた。
「クソ!」
ピエールも黙って見ておらず男の背中にナイフを振り下ろさんとするが、振り返った男に難なく手首をつかまれて止められてしまった。
「う、、、」
「ナイフにまとっているのは「毒」、、、なるほど、毒魔法の使い手だったか。」
ピエールの戦法を看破した男はマックスと同じように成すすべもなく倒される。
「みんなやられちゃった、、、こうなったら、せめて一人だけでも、、、!」
領主の屋敷で様子をうかがっていたルミナは最後の力を振り絞って魔法を放とうとするしかし、
「おっと、悪いコがいるな。」
マックスとピエールのところにいた男がいつの間にかルミナのすぐ後ろに来ており、彼女の首にナイフを突きつける。結果、ルミナは何もできずカインたちのところまで連行された。
こうして、NCCの幹部5人は、たった3人に壊滅させられた。
数分後、体中を痛めつけられて満身創痍の5人が鎖で縛られ横一列に並ばされた。彼らを襲撃した集団は待機していた者たちも含めると全部で20名。その全員が自分たちを痛めつけた3人と同じくらいの実力であることをカインは見抜いていた。今まで数が多い相手には質で対抗してきたNCCの幹部たちにとって、数でも質でも負けている、初めての完全敗北であった。
(なんだコイツらは、、、見たところ冒険者みたいな服装だが、ソニック以外でこんなレベルの冒険者がいるなんて聞いたことがない、、、)
「な、何者なんだ、、、お前らは、、、」
「答える必要はない、、、と言いたいところだが、冥土の土産に教えておいてやる。我々は「コウガ様」より「中央」から派遣された「特級冒険者」だ。」
集団の1人が言った名前に、カインは聞き覚えがあった。
「「コウガ様」、、、?10年位前にナロパニアンに降り立ったっていう神様の名前か、、、?」
(思えば10年ほど前からやたらと冒険者の立場が上がったような気がする、、、)
「ナロパニアンの混乱の様子はちゃんと「中央政府」に届いている。ここにコウガ様が寵愛する「タマ様」を殺害した怨敵「レイス・ビネガー」がいることもな、そこで、聡明なコウガ様は我々を派遣なさった。ちなみに、さっき軍勢が現れたのは俺のチートスキル「瞬間移動」の能力だ。」
「言ってることはよくわからないけど、要はあんたらの狙いはレイスってことじゃないのか?俺たちに何の関係がある。街を壊したから怒っているのか?」
もしも自分たちの悪行が「中央政府」とやらにまで届いていて、それが理由で処刑されるのならばそれはそれで本望だと思っていたカインであったが、男の返答は彼の想像を超えていた。
「別にそれはどうでもいい。こんな「小規模地区の街がいくらつぶれたって。」
「何、、、?じゃあなぜ?」
「強いて言うならレイスを仕留める前の「準備運動」だ。まぁ、実際はそれにすらならなかったがな。」
「準備運動?」
その言葉にデスターがキレた。
「ざっけんな!んな理由で殺されてたまるか!せっかくなら「正義の鉄槌」とかにしてくれよ!」
「そうとも、こんな横暴は天が許さないぞ。」
ピエールの抗議に対して男は鼻で笑った。周りの冒険者たちもくすくすと笑っている。さながら子供の強がりを聞き流すように。
「天が許さなかったらなんだというのだ。我らの主は天などよりもはるかに偉いお方だというのに。さて、御託は終わりだ。一人ずつ仕留めてやろう、誰からにしようかな?」
男は懐から銃を取りだして並べられた5人に順番に銃口を向けていく。
5人はガチャガチャと鎖を破ろうとするが鎖はびくともしない。
「チクショーッ!!こんな理由で死んでたまるかー!!」
「せめて私の実家を見返すまでは!!」
「主よ、、、」
「たとえ命尽きても呪い殺してくれる!!」
仲間たちがそれぞれ叫ぶ中で、カインも怒りの炎を燃え上がらせていた。彼は社会のはみ出し者である自分たちを小さい存在として見られることを何よりも嫌う。「準備運動」で処刑されるというのは、彼にとって最大限の侮辱であった。
「許さねぇ、、、てめぇら、、、絶対許さねぇ!全員ぶっ殺してやる!!!」
不完全燃焼、未練、屈辱、怒り、恐怖、、、
彼らの中の「負の感情」が最大値に達した。
その時だった。
ドクンッ!!
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」」」」」
5人全員が、自分たちの中に「何か」が入り込んできたような感覚に襲われ痙攣する。
「な、何!?」
その予想外の事態に、男は撃とうとしていたのを忘れ呆気に取られていた。
その間、彼らの頭には洪水のようにたくさんの情報が流れ込んでいた。
転移者のこと、チートスキルのこと、転移者に支配された宇宙のこと、そして、自分たちと融合した「神」のこと。
「そうか、、、分かった、、、俺の、俺たちのすべきことが。」
そう呟くとカインの体から黒いモヤのようなものが出てきて、難なく自分と仲間達を縛りつけていた鎖を粉砕した。
「何!?バカな!ウォーレン様がお作りになった鎖が!」
「特級冒険者」の集団は驚愕した。転移者の一角、ウォーレン・クラフトの魔力が込められた鎖を破壊されるなど思ってもいなかったからである。
「クッ!総員構え!」
集団はここに来て初めて明確な戦闘態勢をとり、全身から強烈なプレッシャーを放つ。
しかし、並の人間ならそれだけで死んでしまうような威圧感も、今のカインたちにとってはそよ風以下の存在であった。
「おい、お前たち。どんな感じだ?」
「正直まだ分かりませんが、なんか強くなった気はします。」
「この力、こいつらで試してみようぜ?」
「そうだな、「準備運動」だ。やるぞ。」
5人は集団を放っておいて呑気に会話をした後、彼らに目を向ける。その目はつい先ほどまで追い詰められていた時とは全く異なり、まるで「お前たちは俺たちのオモチャだ」と言わんばかりの自信に満ち溢れていた。
「私から少し試してみてもいいですか?」
「おっ、珍しいなピエール。どーぞどーぞ。」
「よっしゃ、どれにしようか、、、」
カインの許可を得たピエールは好戦的な眼差しで「特級冒険者」の集団を見渡した。
「決めた!」
ピエールは1人の冒険者に狙いを定めると素手のまま突っ込んでいった。
「バカめ!武器も持たずに!」
冒険者は剣を抜いてピエールを迎え撃つ。ピエールは振り下ろされた剣をそのまま掴んだ。
「ハハハ!マヌケが!」
そのままピエールの手を切り飛ばそうと剣に力を込めるが、彼の「毒の手」によって触れた部分が腐り、剣が真っ二つに折れた。
「な、何!?」
「タッチだ。」
ピエールはそのまま指先を男の胸に当てると濃い紫色の液体が付着した。
液体はジワジワと侵食していき、あっという間に男の全身を覆う。
「ヒアッ!ハッ!アアア、、、ッ!!」
全身に激痛が走った男はその場に倒れ込んだ。すると、あっという間に彼の体が崩れ出して、鎧ごと紫色の液状化してしまう。
「ヒ、ヒィィッ!」
そのあまりに無惨な光景に、冒険者たちは一斉に距離をとる。当のピエールは自分の手のひらを見ながら呟いた。
「うーん、、、もう少し毒の強さを調整したほうがいいな。」
そんなピエールの様子を見た虎獣人の女は彼を背後から仕留めるために爪を伸ばして飛びかかろうとした。
そこへ、
「おっと、お前の相手は俺だ。」
いつの間にか彼女の背後に接近していたデスターに頭を掴まれ、力任せに地面に叩きつけられる。
「カハ、、、ッ!」
「第2ラウンドだ。かかってこい。」
「クッ!このヤロ!!」
デスターは女に対してクイクイと手招きする。挑発された女は怒りすぐに起き上がると、チートスキル「鬼神化」を発動し、額に角を生やし筋肉を膨れ上がらせると彼の体にパンチを叩き込んだ。しかし、
「な、、、!」
胸を完全に貫くつもりで放った一撃は彼の尋常ではない硬さの胸筋に阻まれた。「転移者の側近と遜色ないパワーを持つ」と言われた彼女にとって、それは初めての経験であった。
「今度はこっちの番だ。」
デスターは手をプラプラさせながら、動揺して動けなくなっている女の腹部に軽いジャブを打つ。
ボンッッ!!!
「カ、、、ッ」
その軽いジャブは一瞬で女を腹部を吹き飛ばしてしまい、それだけにとどまらずその余波ではるか遠くにあった巨大な山脈が跡形もなく消し飛び、大きな砂煙が巻き起こる。おそらく、ジャブの余波だけでその直線上に位置していた街がいくつも消滅しただろう。
腹部を吹き飛ばされて上下二つに分かれた女はその場に崩れ落ちた。
「わ、、、スッゲ、、、」
そのあまりの破壊力に、特級冒険者の集団やNCCのメンバーどころか、攻撃を放ったデスター自身も引いていた。
「ハ、、、ハハ、、、ハーハハハッッ!!」
直後自分のパワーに浮かれハイになったデスターは何も考えず集団に飛び込んでいく。そこから始めったのは一方的な殺戮であった。特級冒険者たちはデスターの圧倒的な暴力に文字通り粉砕され、次々と命を落としていく。
あまりにも楽しそうなので、ピエールも「好きにさせてやるか」といった様子で距離を取ってデスターの殺戮を眺めていた。
「バ、バケモンだ、、、!」
「逃げろ!!」
仲間を半分以上失った段階で冒険者たちが撤退を開始する。しかし、逃げる彼らの背をマックスの無情な弾丸が貫いた。
「今更どこに逃げようというんだ?」
「ク、クソッタレ!」
集団の中でもリーダー格だった男が、チートスキル「瞬間移動」を使って逃亡する。
「おいマックス!逃げられたぞ!」
カインは取り逃したマックスを咎めるが、マックスはまるで慌てていない。
「問題ない。感じる。奴がどこに行ったのかが。」
そう言ってマックスは明後日の方向に銃を向ける。
「外す気がしない。」
ズドンッ!
男は何度も「瞬間移動」を使用して、ナロパニアンを越えた遠く離れた地に逃げていた。
「よし、ここまでくれば」
ドスッ!
安心したのもつかの間、男ははるか彼方から飛んできた弾丸に背中を撃ちぬかれた。
「な、なぜ、、、」
自分がなぜ撃たれたのか理解できないまま、男は倒れ息絶えたのであった。
「さて、残りはお前だけだな。どう料理してやろうか。」
「ヒ、、、!」
カインは、最後に生き残ったダークエルフの女に近づいていく。しかし女にはもはや戦意が残っておらず、早々にその場から逃げ出した。
「おいおい、逃げても無駄なのは分かっているだろ。手を出すなよマックス、、、ん?」
カインが呆れながら追いかけようとしたとき、女が逃げる方向に一人の人間がいるのが見えた。
「貴様!どけ!」
女は目のまえに立ちふさがる男を切り裂くためにナイフを取り出すが、それよりも速くその男は女の顔を掴んだ。
「は、放せ!」
「悪いが、俺は亜人に手加減をするようにできていないんでな。」
そう言ったのと同時に彼の手が急に熱くなり、女は一瞬で焼き尽くされ炭になった。
男は遺体をごみのように投げ捨てると、カインらのほうへ近づいていく。
男にただならぬものを感じたマックスとルミナは、彼に銃と杖を向けたまま下ろそうとしなかった。
「、、、君は?」
5人を代表してカインがやたらと明るいオレンジ色の髪をした男に質問する。
「名前を聞いているのなら俺はアイザックス。立場を聞いているのなら、少なくとも君たちの敵ではない。強い戦闘力が集まっているんで見に来てみたら、こんなに面白いものが見れるとは正直思わなかった。」
「簡潔にどーも。それで俺たちになんか用か?」
「君たち全員、神と融合したな?」
「!」
自分たちでさえ理解しきれてないことを言い当てられてカインたちは驚いた。
「もしや君も?」
「ああ、幸運にも君たちと同じく、土壇場で融合することで生き延びた。君たちも融合によってある程度「現状」は知っているだろう?率直に言えば俺はこの宇宙を支配している「ロディニア帝国」を潰す同志を探している。」
今の説明と先ほど見せたダークエルフを一瞬で焼き尽くした能力から、嘘ではないと判断したマックスとルミナは若干警戒を緩め、少しだけ武器を下ろした。
「お前は何のためにロディニアを滅ぼすんだ?」
「俺の目的は一つ。亜人どもを滅ぼして人間だけの世界を作ることだ。そのためには亜人を優遇するロディニアは邪魔だ。それさえ受け入れてくれるなら、俺を仲間に入れてほしい。ともに戦ってくれる者が必要なんだ。」
アイザックスは彼に向けて手を差し出した。それを見たカインは笑みを浮かべる。
「なるほど。まぁ、個人の主義主張は勝手だし否定はしない。それに、俺たちははみ出し者の集まりで身体能力の高さで優遇されがちな獣人やエルフはぶっちゃけ相性が悪い。世界をめちゃくちゃにしたいのも一緒だしな。」
カインは笑顔でアイザックスの手を握り返す。そこに至ってマックスとルミナも完全に警戒を解き、武器を下ろして笑顔を見せた。
「NCCの新幹部として我々は君を歓迎しようミスターアイザックス。融合についてもいろいろと教えてくれ。」
読んでくださりありがとうございます。




