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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第3章 失敗作の逆襲 熱戦のナロパニアン
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第64話 闇の奥から来る悪魔

「ハァ、、、ハァ、、、ハァ、、、」

「お、おい、あんた大丈夫か?」

「うるさい!ほっとけ!!」


命からがら戦線を離脱したソニックは何とか自身の居城がある首都まで帰ってきた。道行く人は誰も、ボロ雑巾のような体を引きずる男がナロパニアン総督スターことシャイン・ソニックであることには気づかない。

それもそのはずで、ナロパニアンの住人にとってソニックは「完全無欠の超人」。そんなソニックが重傷を負った状態で街を練り歩くなど、住人たちにとっては想像することさえできなかった。


(クソ、、、この俺が、、、なんというザマだ、、、)


そうこうしているうちに、ソニックは何とか重たい体を引きずって、城門までたどり着いた。城門に近づくと、彼は鎧を着た二人の門番に引き留められる。


「止まれ!!」

「、、、何のつもりだ、どけ。」

「ここをどこだと思っている!ここは恐れ多くも総督閣下がおわす総督府だ!貴様のような薄汚い馬の骨があ知数いていい場所では」

ヒュンッ!


門番が言い終わるのを待たず、ソニックは一センチ四方に細切れにしてしまった。


「ヒ、ヒィッ!貴様!」


顔面を蒼白にした門番が腰を抜かしながら槍をソニックに向ける。ソニックはそんな門番を冷たく見下ろしながら言った。


「愚か者め、上官の顔を忘れるなど。」


ソニックの言葉を聞いた門番は、注意深く彼の顔を見る。そして、その正体に気づいたとき、一層蒼白になって慌てて敬礼した。


「か、閣下!!申し訳ございません!!」

「さっさと門を開けろ。」




入城したソニックは速足で進んでいき、書記官の執務室に入っていった。


「閣下!!そのお怪我は!?」


ソニックがナロパニアンを支配する前から城で働いている壮年の指揮官は、ソニックが重傷を負って帰ってくるというあり得ない光景を見て困惑する。

ソニックはそれを無視して彼のすぐ前まで歩いて行った。


「「闇の間」に行く、ついて来い。」

「な、何ですって!?」

「聞こえなかったか?あそこを開けるにはお前の指紋がいるのだ。さっさと来い。」


書記官は自分の耳を疑った。「闇の間」とは、城から数億キロも地下にある、大昔には政治犯を収容していたとされている、一切の光も入らない牢獄。

とっくの昔に廃れてしまった「闇の間」に行く理由は、一つしかない。


「まさか、、、「ランド」を出すというのですか、、、!?」

「そうだ、分かっているじゃないか。ヤツにレイスを始末させる。」


ソニックの目的は、「闇の間」にただ一人だけ収容されている囚人、「ジェフリー・ランド」を解放することであった。


「い、いけません閣下!!それだけは!!」


ソニックのその言葉を聞いた書記官が怒鳴る。ナロパニアンにおいて、ソニックの発言を否定するというのは考えられないことであったが、そうせざるを得ないほど、ソニックの発言は彼にとって常軌を逸したものであった。


「ヤツを牢から出してはなりません!!そもそもヤツがおとなしく牢にいるのだってヤツの単なる気まぐれにすぎないのです!!下手にヤツを戦わせて、「やる気」にさせてしまったら手が付けられません!!ナロパニアンどころか宇宙すべてが滅ぼされます!!」


書記官は懸命にまくしたてた。何も知らない人が聞けば大げさだと鼻で笑うような言葉であるが、書記官はいたって真剣であった。彼は「ランド」がいかに恐ろしい男であるのかをよく知っていたのである。


「やむを得ん。このままではナロパニアンが陥落する。もしおめおめ逃げようものなら、我々が転移者様に処罰されるのは避けられん。分かったらさっさと来るんだ。それとも命令に逆らう気か?」

「、、、、、、!」


書記官は血の気が引いた。それはソニックの最後通牒であった。これまでに、ソニックの命令に背いて命が助かった者はいない。ソニックは、自分の言うとおりにランドを解放するか、それとも死ぬか、その二択を書記官に突き付けたのであった。

書記官は少し悩み、それからゆっくりと口を開いた。


「、、、私は先王陛下の時代からこの国に仕えております。この国を愛しております。私の手でナロパニアンを滅ぼすことはできません。」

ヒュンッ

ゴトッ


直後、ソニックの手によって書記官の首が床に落ちた。


「臆病者め、もういい、お前の手さえあれば関係ないのだからな。」


ソニックは書記官の手を切り落とすと、それを使って、城で働いている者ですらほとんど知らないような場所に隠されているエレベーターに乗り込んで地下に向かった。







それから、約20分かけて、エレベーターは「闇の間」にたどり着いた。しっかり目を凝らしても全く見えない、まさに「漆黒」。そのような異質な空間を、ソニックはライト片手にゆっくりと進んでいく。

やがて彼は、大きな鉄格子の前にたどり着いた。ライトを照らして中を確認するが、光が牢屋の奥にまで届かず何も見えない。


「ジェフリー・ランド!いるか!?」


ソニックが大声で問いかけると、彼の声が暗闇の中で反響した。しばらく待っても返事がなく、ソニックはもしや牢の中ですでに死んでいるのではないかと思ったが、




「いるか、といえばいるとも。」


直後、暗闇の中から声が聞こえてきた。ソニックは声のした方向へライトを向けるが、相変わらず闇が映し出されるだけで、その姿は確認できない。


「ランド、私は」

「シャイン、ナロパニアンの総督様ともあろう御方がずいぶんこっぴどくやられたものだ。レイスにつけられた傷はまだ痛むだろう。」

「!!」


ソニックがひとまず名乗ろうとしたとき、それにかぶせるようにランドが語り始めた。ごく当然のように自身とレイスの名前が出てきたことにソニックは驚愕する。ナロパニアンに来たばかりのレイスはもちろんのこと、ソニックも直接ランドに会うのは初めてで、本来名前を知っているはずがないからである。


「馬鹿正直に正面から突っ込んで、次に安易に側面から、、、そしてそれを見抜かれてカウンター。己のスピードを過信しすぎるからそうなる。おまけに、能力は使い続ければ成長するのを知っているのに、先日レイスを逃がした兵士を処刑するために「電光石火」を使用したのが実に117日ぶり、、、それではせっかくの「俊足」も「電光石火」も泣くというもんだ。ついでに、本来非戦闘員のグレッグも仕留められちゃいない。」

「な、なぜそこまで知っている!!」

「暇すぎてな、「探知魔法」で外の様子は常に把握している。」

(馬鹿な、、、!ここからレイスたちがいたところまでどれほど離れていると思っている、、、!それにここは地下深くなんだぞ、、、!)


事も無げに言うランドにソニックは絶句した。そもそも探知魔法は、ナロパニアンの大抵の人間が使える基礎魔法で、主に索敵のために使われる。

しかしその精度には限界があり、最高峰の冒険者であるSランク冒険者でも、50匹ほどのゴブリンが住む中規模の巣をマッピングして、大まかな敵の位置を掴むのが精々。チートスキルによって人外の力を得たソニックでも、住んでいる城の内部の様子を探るくらいしかできない。

「探知魔法」は極限まで鍛えたとしても大体そんなもの。

それが常識である。

しかし、ランドが何気なくやってのけたことは、その常識を完全に無視してしまうことであった。

ソニックが圧倒されていると、闇の中からゆらりと人が出てきた。ボロボロの麻の服を身にまとった、長い白髪白髭の瘦せこけた老人。浮浪者のような見た目の彼こそが、ジェフリー・ランドその人であった。


「お前の望みは分かっている。レイスを儂に始末してほしいのだろう。」

「そ、そうだ。話が早いな。」

「それで、お前は儂に何かをしてくれるのか?」

「、、、私がお前に対してしてやれることはない。だが、お前は「刺激」を求めていたはずだ。違うか?レイスはお前にとっての刺激になる。」


それを聞いたランドは少し考えてから、ゆっくり口をひらいた。


「あんな小僧が儂にとっての刺激になるとも思えんが、、、まぁ、実際にやってみなければ分からないとも言うな、、、いいだろう、久々の運動をするとしよう。」

「よし、だが条件がある。私やこの国に何も被害を出さないこと。そして、ことが終わればまた牢に戻ることだ。」

「いいだろう。」

「交渉成立だな。」


ソニックは笑みを浮かべると、牢を開けてランドを出した。そして二人は、エレベーターに乗って地上に向かっていったのだった。

読んでくださりありがとうございます。

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