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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第3章 失敗作の逆襲 熱戦のナロパニアン
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第53話 早々の災難

レイスたちが乗った飛行機は少しずつ降下していき、やがて森の中の少し開けた場所に着陸した。

ついにレイスたちが新世界に降り立つ時が来たのだ。


「やっと着いたな。それじゃあ出発だ!」

「待ったレイス、これを渡しておきます。館にあったのを拝借してきました。」


グレッグが金属の板のようなものを渡してきた。手のひらほどの大きさの板は、片面がモニターのようになっている。


「、、、何これ?」

「スマホです。」

「すまほ?」

「はい。アルフガンドに「マジックポン」って道具があったのを知ってますか?」

「え?あぁ、、、魔力で動く、遠くと連絡を取るためのアイテム、、、だよな?うちにもあった。」


魔法をまるで使えないレイスには無縁であったが、なんとなく便利そうだったのでレイスはよく印象に残っていた。


「これはそのマジックポンの小型版です。転移者が政権をとって以来、国内で急速に広がって、今では人々の生活に欠かせないものになっています。もしもの時の連絡手段として渡しておきます。これも絶対に無くさないでください。」

「う、うん。でも俺、使い方全く分からないんだけど、、、」


10年以上も山で生活してきたレイスには、側面のボタンを押したら何やら時刻らしき数字が表示されるその機械をどのように使ったら良いのかなど、皆目見当もつかなかった。


「安心してください。移動しながら教えますよ。」

 


彼らが話をしている最中、彼らの様子を伺いつつ機体からこっそりと出ていく影があった。

この3日間、飛行機の倉庫で缶詰になっていたアイザックスである。


「ハァッ、、、ハァッ、、、よ、ようやく外に出られた、、、!辛かった、、、!ほとんど身動きも取れず、夜中にこっそりと食べ物やトイレを拝借する毎日、、、!それがようやく終わった、、、!」


3日ぶりの外の世界に、アイザックスは感動のあまり年甲斐もなく涙を流しそうになったが、彼らに見つかるわけにはいかないので、涙を堪えて急ぎ、近くの木の裏側に身を隠した。


「とりあえず奴らにひっついてうまく別の世界にくることは出来た。奴らとはここでお別れだ。」


アイザックスが飛行機に乗っていて、たった今出て行ったことなど夢にも思わず、客席ではグレッグによるスマホ基本操作の講義がレイスに対して行われていたのであった。



「、、、というわけで、この番号を押したら私に繋がります。いいですね?」

「あ、、、まぁ、、、うん、、、なんとか、、、」

「、、、ホントにわかってます?まぁいいや、分からなかったらまた聞いてください。」


レイスの目は明らかに分かってなさそうだったが、ここで永遠に時間を使い続けるわけにはいかない。

最低限のことは分かったのだろうと判断して、一向はマジックバッグから取り出した車に乗り換えて街に向けて出発した。


「このまま真っ直ぐいけばすぐにナロパニアンの街のひとつに着くはずです。ナロパニアンは数多の都市で構成された都市国家なんですよ。昔はたくさんの国があったみたいなんですが、それらも全て「都市」とひて統一されたみたいです。」

「ふーん。ここから地図が見えるのか。」


運転するグレッグの隣で、レイスはもらったばかりのスマホを興味深そうに眺めていた。

オープンカーの上で、指2本で摘んでプラプラと動かしているのが、グレッグやフレイヤから見ると実に危なっかしかった。


「、、、しつこいようですが、絶対に絶対に無くさないでくださいよ?今後の必需品になるんですから。」

「分かってるって。」


自信満々に答えるレイスであったが、こういう時に限って何かトラブルが起こりそうな気が、グレッグにはしてならなかった。

そんなグレッグの心配をよそに、レイスはスマホを眺めたままフレイヤに質問をする。


「それで、これからどうすればいいんでしたっけ?」

「そうね、一旦は観光客でも装って街に入り込み、うまく支配者のところまで行ってそいつを撃破、可能ならそいつのチートスキルを破壊して無力化するのが望ましいわね。」

「それはどうやって行くんですか?」

「それはウチの最高戦力のレイスに任せるわ。」

「、、、そうですか。」


しれっと丸投げされたが、正直レイスもそれくらいのことは想像の範囲であったため、特に何も言い返すことなくわずかなため息と共に短く返事をしただけであった。

しばらく走っていると、地平線まで続いていそうな細長い壁らしきものが建っているのが見えた。


「なんだ?あれ?」

「街を囲む城門ですね。あの城門を見た感じ、街の規模はミケーアと比べてむしろ小さいくらいみたいです。まぁ、街が広すぎても不便ですしね。」

「街に入る方法は?さすがに検閲とかがあるだろうけど、」

「それについては大丈夫です。私たちにはこれがありますからね。」


グレッグが懐から取り出したのは一枚のカードであった。


「、、、何それ?」

「これは「グローバルパス」といって、統一国の政府職員であることを証明するカードです。これさえあれば大抵の街にはたいした取り調べもなく入ることができますよ。」

「おぉ、、、さすが元政府の神父、めっちゃ頼もしい、、、」


その後、レイスの予想通り、街に入るための見渡す限り壁が広がる巨大な門を通る必要があったが、その重々しい雰囲気とは対照的に、グレッグがグローバルパスを門番に見せたことで、拍子抜けなほどあっさりと街に入ることができた。


「もうすぐ街に着きます。この辺りからは歩いていきましょう。」


グレッグの提案に従って、車を降り、城門の通路を進んでいくと、やがてナロパニアンの街の光景が広がった。



「これはなんと言うか、、、すごい。」


街に着いたレイスが発した言葉がそれであった。街並みの雰囲気自体はミケーアと似たような雰囲気であったが、大きく違うのは、その人口である。

様々な商店や屋台が並んでいる市場だからと言うのもあるのだろうが、ひっきりなしに人が行き来しており、足の踏み場もあるのだろうがという印象である。

レイスも父や兄に連れられて都市に行くことはあったが、そこと比べても人口密度は桁違いであった。


「おっと、市場が目の前にある入り口だったようですが、これはなかなかですね、、、離れないように気をつけて行きましょう。」


多少人混みに慣れているのか、グレッグはスルスルと人混みの中を進んでいくが、そもそも街にあまり慣れていないレイスは人の波に流されそうになる。


「あぁ〜グレッグがどんどん遠くなる〜。」

ドンッ

「おわっ!?」


ふらふらとしていたため、レイスは前から来ていた人とぶつかった。


「おっと!ごめん!」

「あぁ、いや、こちらこそ。」


その後、どうにかこうにか進んでいき、ようやく市場が終わって少し開けた空間に出てグレッグと合流できた。


「フー。やっと地獄が終わった。」

「お疲れ様です。ここからは地図を見ながら進みましょう。とりあえず宿を探さないといけません。練習がてらレイスのスマホでやってみましょう。出してください。」

「うん。」


レイスは自分のスマホを取り出すためにポケットを探る。しかし、


「ん、、、?あれ、、、?」

「どうしました?」


ポケットの中には何も入っていなかった。


「なぁグレッグ、、、スマホとやら無くしたかも。」

「、、、、、、はいっっっっ!!?数分前に無くすなっつったでしょっっ!!?」

「、、、ごめん。」


新世界の街に来て早々、レイスはスマホを紛失するという災難に見舞われたのだった。

読んでくださりありがとうございます。

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