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第43話 獣王レオンハルト(2)

「ヌアアアアアッ!!」


立ち上がったレオンハルトは何度も何度もグレッグに攻撃を繰り出し、その度に地形が変わるほどの破壊が巻き起こるが、その爪はグレッグにかすりもしない。


「ハァッ!!」

ドゴッ!

「グゥッ!?」


レオンハルトの攻撃を避けたグレッグの攻撃を顔に受け、彼は呻きながら後ずさる。


「ウオリャァァァッッ!!」


その隙を見逃さず、グレッグは飛び上がると次々と神との融合で強化された打撃を彼の顔に浴びせていく。


「グッ、グウゥッ!」


幾度も顔に打撃を受けたことで、レオンハルトは体のバランスを崩して尻餅をついた。


「お、おのれ、、、」

「言ったはずだ。私はお前などに負けるわけにはいかん。悪いがさっさと倒させてもらうぞ。」

「ク、ククク、、、ハハハハハッッ!!」


先ほどまで血管がちぎれそうなほど怒っていたレオンハルトが、突然大笑いし始めた。


「貴様ごときが儂を倒すつもりとは、、、ずいぶんと大きく出たものだな。」


地面に投げ出されたレオンハルトはいたって冷静な様子で起き上がる。てっきり先ほどのように怒り狂ってすぐに飛びかかってくるものと思っていたグレッグにとっては、レオンハルトの様子は不気味に映った。


(なんだ?この余裕は?)

「ククク、、、本当はあの()()()を殺すときまで取っておくつもりだったが、、、よかろう、貴様にいいものを見せてやる。」


そう言うとレオンハルトは立ち上がり、指を一本たてたかと思うと、それをヒュンと横に振った。


「ッッ!!」


攻撃が来るのを感じたグレッグは、迫り来る衝撃波を拳で弾き飛ばした。


「、、、今のは「爪斬(つめきり)」。指に力を込めて一気に振ることで、爪から衝撃波を発射する、「獣爪拳(じゅうそうけん)」の最も基本的な攻撃。」

「知ってるさ。それがどうした。」

「「獣爪拳(じゅうそうけん)」を作ったのは儂の遠い先祖、レオンハルト一世だ。この発明により狩りの効率は飛躍的に上がり、戦闘力が上がった獣人は人間とも渡り合えるようになった。」


レオンハルトは誇らしげに語るが、その意図はグレッグには分からず困惑した。


(、、、急になんだ?)

「獣人の輝ける未来を作り出したのは我がレオンハルト王家だ!儂の真の力を今から見せてやる!!」


そう言ったレオンハルトは、先ほどと同じように、指を振る。


(またか。)


グレッグも同じように、迫り来る衝撃波を迎撃する姿勢をとる。それをみたレオンハルトの口角がわずかに上がった。


ドシュッ!

「ッッッ!!!」


グレッグの腕は衝撃波を弾ききれず、胸元を大きく切り裂かれて大量の血が吹き出した。


「う、うわぁぁぁっっ!!」


パニックになりそうになるのを堪えて、グレッグは自身の傷口に回復魔法をかけて瞬時に傷を塞ぐ。


「ほぅ、やはり便利なものだな。」


グレッグの魔法の回復力には、人間を見下しているレオンハルトも素直に感心するほかなかった。


「だが、はたして真っ二つになっても自分に魔法をかけることができるかな?」


牙を出してニヤリと笑うレオンハルトに、グレッグは思わず気圧される。


「ハァ、、、ハァ、、、クッ、、、!」

(なんだ今のは、、、?指の動きはさっきとまるで変わらなかったのに、威力が桁違いだった、、、!)


そのわけがわからない現象が解消されるよりも先に、レオンハルトは次の攻撃の準備を始めていた。


「さぁ、これが避けられるかな?」

「クッ、、、!」

(落ち着け、、、確かに威力はすごいが今の私なら避けられない速度じゃない、、、今度は弾かずしっかりと避ける。)

「ヌンッ!!!」


レオンハルトがその巨大な手を力強く振り下ろした。それによって衝撃波が地面を裂きながら猛スピードで迫り来る。


バッ!


間一髪のところでレイスが横に飛び、その衝撃波をかわした。衝撃波が飛んでいった方向をチラリと見た時には、地面に幅だけで十数メートル、長さ数十キロにのぼるであろう超巨大な爪痕ができていた。


「ち、地形が変わってしまう、、、恐ろしい攻撃だ、、、」


グレッグはその威力に戦慄したが、直後、それよりももっと恐ろしいことが起きた。


ドシュッ!

「なっ!?ウワァァァッッ!!!?」


いつの間にか、彼の両足が切り飛ばされていたのだ。


ドサッ!

「ぐぅぅっ、、、!」


着地する術を失ったグレッグは地面にそのまま墜落しゴロゴロと転がる。


(ば、馬鹿な、、、!間違いなくかわしたはずなのに、、、!)


即座に回復魔法をかけて足を生やしたが、立て続けに受けた大ダメージは確実にグレッグの体力と精神を消耗させていった。


「おっと惜しいな、胴体から真っ二つにしてやったと思ったのに。」

「、、、へっ。お前の獣爪拳が大したことないってことじゃないのか?」

「ククク、、、その減らず口がいつまで続くか見ものだな!!」


レオンハルトは再び手を振り下ろす。そしてまたしても巨大な衝撃波がグレッグに迫り来る。


(見ろ!しっかりヤツの攻撃を見るんだ!!)


レオンハルトの攻撃には絶対何か秘密がある。そう確信したグレッグは、今度は避けてる最中も彼の技から片時も目を離さなかった。


そして直後、グレッグは目を疑った。なんと、その衝撃波が放たれた地点の側面あたりから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「なっ!!!?」


空中で必死に身をよじり、なんとかかわそうとしたが、やはり避けきれず胸に大きな切り傷を作った。


(こ、攻撃が、、、増えた、、、!?)

「まだまだいくぞ!くらえ!!」


レオンハルトは何度も手を振り下ろしていき、その度にレオンハルトが手を動かした回数より明らかに多い攻撃がグレッグに迫る。


「クッ!クソォッ!!」


グレッグは急いで立ち上がり、なんとか攻撃を避けるために一目散に駆け出した。その間、レオンハルトの衝撃波は軌道を変え、まっすぐグレッグ目掛けて地面を走った。


(やっぱり、私を追ってるのか!?)


「どこまで逃げても無駄だ!!逃れることなどできはせんぞ!!」


その時、グレッグの前方からも、レオンハルトが放った攻撃が迫ってきていた。


「し、しまった!!」


後ろにばかり気を取られていたグレッグは、前から迫る攻撃には直前まで気づくことができなかった。彼はすでに、レオンハルトの強大な爪の斬撃の挟み撃ちにあっていたのである。





ドゴオオオオオオンッッ!!!




爪の斬撃同士がぶつかった瞬間、大爆発を思わせる轟音とともに、半径数十キロ範囲にあるもの全てを破壊し尽くしてしまうほどの大規模な破壊が巻き起こった。

植物のみならず、「コウガランド」が未来永劫反映していくように、特別頑丈な素材で作られた遊具や建物が爆発の威力に耐えられずガラガラと崩れ去ってしまう。


「フン、勝負あった。「チェックメイト」というやつだな。」


勝利を確信したレオンハルトはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

読んでくださりありがとうございます。

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