表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/81

第42話 獣王レオンハルト(1)

数分後、、、


「ハァ、、、ハァ、、、どうだ!!恐れ入ったか!!」


グレッグの前では、ボコボコにされた獣人たち数十人が積み上がっていた。


「ち、ちくしょう、、、」

「人間がこんなに強いなんて、、、」


グレッグはフゥと息をつくと、背後に目を向けた。


「こっちはなんとかなった。あとは、、、」


後ろを見た時、グレッグは思わず言葉を失った。


「ハァ、、、ハァ、、、」

「う、うぅ、、、」

「フン。虫ケラどもめ。」


生き残った人間たちはほとんどレオンハルトによってバラバラにされており、かろうじて生き残っているアイザックスとビューフォードも、全身に切り傷ができて夥しいほどの出血をしていた。


「貴様らは楽には死なさんと思っていたが、まさか虫ケラどもの体がこうも脆いとはな。それで我らに逆らおうなどとよくも思えたものだ。その愚かさと身の程の知らなさは驚愕すら覚える。劣等な虫ケラは虫ケラとしての立場をわきまえて我ら上位存在に使役されるという光栄な役目を果たしておけば良いものを。」


レオンハルトは勝ち誇った表情で、アイザックスたちに侮蔑の言葉を捲し立てる。


「く、、、」


もはや完全に敗北を確信したビューフォードは、力なく呻くばかりであった。しかし、アイザックスは違った。


「チッ、、、口を開けば、、、「劣等種」だとか、、、「虫ケラ」だとか、、、ワンパターンなやつだ、、、」

「ム?」

「テメェらは、、、人間の真似して服を着て、、、人間の真似をして家を建てて、、、人間の真似をしていばり腐ってるだけだろうが、、、!というかこの遊園地が1人の人間を崇めるものだろうが!!自分を鏡で見やがれこの「()()()()()」っっ!!!」

「貴様っっ!!」


血を吐きながら、最後の力を出し切って、アイザックスは思いつく限りで一番の侮辱の言葉をレオンハルトに浴びせた。

我ながら幼稚な言葉だと思ったが、その言葉はまさしくレオンハルトの逆鱗に触れた。今までとは明らかに違う勢いで放たれるレオンハルトの振り下ろしは、この上なく無礼な物言いをしたアイザックスを粉微塵にするのみならず、周囲一体を跡形もなく吹き飛ばすはずであった。しかし、


「うおおおおおっっ!!」


いつのまにか、グレッグがレオンハルトとアイザックスの間に割り込み、レオンハルトの攻撃を受け止めていた。彼の左腕はレオンハルトの鋭く、巨大な爪がめり込み、血がドクドクと流れ出ているが、彼はそのまま押しつぶされることなく立ち続ける。


「ヌゥッ!?」


ただの人間が自身の渾身の一撃を止めたことに、流石のレオンハルトも動揺を見せた。その隙をグレッグは見逃さなかった。


「フンッ!!」


レオンハルトの腹部目掛けて、腰の入ったパンチをくり出した。


「チッ!」


しかし、レオンハルトはその動きに反応して、自ら爪をグレッグの腕から引き抜くと大きく後ろに飛んだ。そのおかげで、グレッグの拳が当たることはなかった。


「クッ、、、外したか、、、2人とも安心して!すぐに治す!」


レオンハルトに攻撃を当てられなかった悔しさもそこそこに、グレッグは重い傷を負った2人に意識を向けると、どこからともなく巨大な杖を取り出して、それを振った。

すると、杖からは緑色の魔法が放たれ彼らを包み込み、彼らの傷を瞬く間に治した。


「こ、これは、、、!」

「あれほどの大怪我が一瞬で、、、」


全身血まみれになっていた2人が一瞬で治り、その回復に驚愕しながらも2人は立ち上がった。


「なるほど、やはり貴様はただの虫ケラではないようだな。儂の攻撃を受け止めるとは、そこらの獣人では相手にならんわけだ。」


レオンハルトは背後に積み重なった獣人たちをチラリと見ながら言った。


「それに貴様のその態度。先ほどのような臆病者ではない。明らかに自信に満ち溢れている。」

「当然。今の私には「神のご加護」があるからね!」

「神だと?何を戯言を。」

「信じようが信じまいが構わない。だがこれだけは言わせてもらう。今の私はお前なんぞには負けないし、負けるわけにもいかない。」

「ほぅ、言ってくれるな。」


「お前に負けない」という言葉を聞いたレオンハルトの目つきが変わる。彼は人間に見下されることを何よりも嫌うからである。


「戯言をほざく余裕があると言うならば、その余裕を儂の力でもって完全に消し去ってくれる。

ハァァァァァ、、、!!」


レオンハルトが全身に力を込めると、空気がビリビリと振動し、地面がひび割れていく。何かただならぬことが起ころうとしていることは明白だった。


「お二人とも!早くここから離れてください!!」

「わ、分かった!おっちゃん行くぞ!」

「あ、あぁ、、、。」


グレッグに促された2人は急いでその場を後にする。そして、この場所で立っているのはレオンハルトとグレッグのみになった。


「グゥァァァァァッッッ!!!」


直後、レオンハルトの体が光り、凄まじい突風が巻き起こった。砂埃が晴れた時、グレッグの目の前にいた獣人は、もはやレオンハルトとは別物だった。


「グゥゥゥゥッッ、、、!」


低い唸り声をあげるその獣人は、元のレオンハルトよりも二回りは大きくなって衣服はほとんど弾け飛び、体毛も伸びてより野生感溢れる姿となった。側から見たら完全にライオンの魔物である。


「グハハハハッ!!儂の本当の姿を見て恐ろしくなったか!!」

「これが噂に聞く「覚醒モード」か、、、化け物みたいだな。」

「貴様ら虫ケラの脳では到底理解できまい。この圧倒的な力をな。」


そう言うとレオンハルトは僅かに体を倒した。


「ッッッ!!」

「ヌゥンッ!!」

バチィンッ!!


攻撃が来る。そのことをグレッグが悟った時にはすでに遅く、さらに巨大になったレオンハルトの手は、グレッグの顔を捉えていた。


「うわぁぁっ!!」


グレッグは音速を超える速度で吹き飛ばされ、数百メートル先にあった観覧車の中心に激突した。

高さ200メートルはある巨大な観覧車は、その衝撃によって粉々になりガラガラと崩れた。


「クゥゥ、、、ッ 痛い、、、でも、、、死んでない、、、さすが神様の体、、、」


地面に倒れながらも、グレッグは神の体の頑丈さに感心した。もし融合状態でなかったら、レオンハルトの攻撃を受けた瞬間、塵になっていただろう。


「ほぅ、まだ原形を留めていたか。」


いつの間にか接近していたレオンハルトも、グレッグが死んでいないことには驚いた様子だった。しかし、彼の顔は余裕で満ちていた。すでに、グレッグが自分より圧倒的に格下であることを確信しているかのようであった。


「私達を舐めてると、、、痛い目を見るよ、、、」


その考えを察したグレッグは、悪態をつきながらも立ち上がる。


「ほざけ。いきがろうがこの圧倒的な力の差はどうすることもできん。この姿はまさしく獣人が最も優れた種族であることの証!我らがこの世を統治するべきという神のご意志そのものだ!」

「なるほど、、、獣人が世界を統べるべきか、、、おめでたい御仁だな、、、」

「なんだと、、、?」

「ここがどこかとか考えたことは?ここは「コウガランド」り「コウガ」っていう「人間」を神様みたいに讃えるような遊園地。そしてお前たちはそんな場所を作るために毎日働かされている。」

「、、、、、、」


グレッグの言葉を聞いた途端、レオンハルトは無言になった。


「お前は現場から目を背けてる。そして、人間を痛ぶることで必死で自分を誤魔化してるんだ。獣人がコウガ(人間)の奴隷にすぎないということのな。お前など全く偉くも格好良くもない。現実逃避に必死なだけのただのジジイだ。」

「貴様っ!!!」


怒り狂ったレオンハルトがグレッグに飛びかかる。しかし、今度はグレッグはその動きをはっきりと捉えることができた。


「フンッッ!!」


グレッグは横に移動してレオンハルトのパンチを避けると、その腕を掴んだ。そして、


「ウオオオオッッ!!!」


勢いそのままに、レオンハルトの巨体を思い切り背負い投げた。


「ヌグゥッ!!?」

ズズゥゥンッ


地響きを立てながら地面に倒れ込む。長らく攻撃をまともに受けなかったレオンハルトは目を丸くした。

呆気に取られているレオンハルトに対して、グレッグは片手で自身の傷を治しながらクイクイと手招きをする。


「私はもう逃げない。目も背けない。もう2度と。

かかって来い!」

読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ