第12話 潜入
「ハァ、、、ハァ、、、や、やっと着きましたね。ハァハァ、、、つ、疲れた、、、」
レイスはミケーアに入るための門を前にして、息を切らしていた。ミケーアから神の気を感じて、全速力で走ってきたために、さすがにレイスの体力も尽きた。
「ゼーッ、、、ゼーッ、、、そ、そうね、、、」
レイスの隣でフヨフヨと浮いているフレイヤも、肩で息をしていた。
「な、なんで、、、フレイヤさんも、、、疲れてるんですか、、、」
「い、言ったでしょ、、、私と、、、あなたは、、、一心同体だって、、、あなたが疲れたら、、、全部とまでは行かずとも私もある程度は疲れるのよ、、、」
「そ、そうなんですね、、、と、とにかく、、、街に入りましょう、、、み、水が飲みたい、、、」
「そ、そうね、、、早く行きましょう。」
ヨロヨロとした足取りでレイスが門の前まで歩いていく。そこで、レイスははっとした。
「い、いやいや!フレイヤさん!何浮いたまま行こうとしているんですか!!」
「え?何か問題?」
「問題アリに決まってるでしょう!地面に足つけて歩くか俺の中に入るかしてくださいよ!あなたを見たらきっと驚かれてしまいますよ!」
「大丈夫よ。今の私は普通の人には見ることはできないわ。幽霊みたいなものだもの。」
「ほ、本当ですか?」
「えぇ。見える人がいるとするならば、あなたみたいに神と融合した人か、「その資質をもった人」くらいね。」
「と、とにかく、大丈夫なんですね?」
「大丈夫だってば、信じなさい。」
門に近づくと、門番の兵士と目があった。彼は驚いた様子がなく。本当にレイス1人しか見えていないようだった。レイスはホッとして、門をくぐり街の中に入ろうとしたが、そこで、兵士に呼び止められた。
「失礼ですが、身元を確認できるもこはお持ちですか?」
「へ?み、身元ですか?」
「はい。街に入ろうとする者は1人残らず身元を確認するのが、ここの知事が定めたルールです。」
レイスはしまったと思った。国境を越えるためならまだしも、街に入るために身分証が必要だとは思っていなかった。
当然、10年も森で生活していたレイスにまともな身分証があるわけがない。一応、森での生活の中で衣服や食料を買うために、村や街で肉体労働のバイトをしていた経験はあったため、ある程度のお金は所持していたが、自身の身分を証せるものなど何一つなかった。
少し悩み、レイスは嘘八百で誤魔化すことにした。
「、、、す、すみません。私は、、、えっと、、、あの、、、どうしてもこの街に用がありまして、、、先ほど魔物に襲われて、逃げてきたところなのです。それで、、、荷物を落としてしまいまして、、、なんとか入れて頂けないでしょうか?」
イーバーンとの戦いで、服はボロボロになっていたこともあり、この言い訳でなんとかなるかとも思ったが、そんなに甘くはなかった。
「申し訳ありません。身分証のない方は入れるなという命令ですので。」
「そ、そこをなんとか、」
「いやしかし」
「どうかお願いします」
「無理です」
(参ったな、埒が明かない。一旦引くか?)
門番との問答が続き、「夜まで待ってこっそり侵入しようか」とレイスが考え始めていたその時だった。
「何の騒ぎですか?」
それを門の内側から見かけた1人の男が、2人に近づき、声をかけてきた。その男はメガネをかけて黒い神父服に身を包んでいた。年齢は20代半ばのようだが、鋭い目付きはそれ以上の貫禄を感じさせる。
「グ、グレッグ神父っ!」
門番は、声を震わせて叫ぶ。門番は明らかに、グレッグ神父という人物に対して、強い恐怖心を抱いていた。
「何があったのです?」
「ハッ!この者が、街に入りたいと言うのですが、身分証を持っていなかったので、お引き取りを願っているところであります!!」
それを聞いたグレッグ神父は、レイスの顔を見た。すると、
「おや。あなたですか。待っていましたよ。」
「え?」
初対面のグレッグがいきなり知り合いのように話しかけてきて、レイスは意味が分からずキョトンとした。
「待ち合わせの時間になっても一向に来ないので心配していました。」
「あの、、、グレッグ神父。この方はお知り合いですか?」
「はい。私の古くからの友人でしてね。この街を案内するために呼んだのですが、その様子じゃあどうやら道中トラブルがあったようですね。」
そう言うと、グレッグはレイスにウィンクをする。
「えっと、、、あ、ああ!そうなんだよ!いやーせっかく招待してくれたってのにまさか行き道で魔物に襲われるなんてさ!参った参ったハッハッハッ!」
グレッグの意図に気づいたレイスは、彼の話に合わせた。
「彼の身元は私が保証します。彼をこの街に入れて下さい。」
「か、かしこまりました!どうぞお通りください!」
こうして、レイスは謎の神父グレッグのおかげで、ミケーアに潜入することができたのであった。
少し短いですが今回はここまでです。
読んでくださりありがとうございます。




