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封印の伝え  作者: RR
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魔力の使い方

俺達はあの後森から歩いて村まで無事に帰ることができた。

しかし、俺の心の中は敗北感と悔しさでいっぱいだった。

(まだ早いとは思っていたが、これほどとは...)

夕暮れ時に家に到着しギルに声をかけられた。


「レント、初めての実戦はどうだった?」


「..怖気づいて一体も倒せなかったよ。父さん」


「そうか。でもガロに聞いたが動きは良かったそうじゃないか。実戦でまともに動けただけでもよしとしておけ」


ギルの俺のことを気遣った発言に少し救われたが、俺の頭の中はどうやって生き物を殺せるようになるかでいっぱいだった。

ガロが言っていたように、この世界では魔物を殺せなければ生きていけないのだ。

山に入れば山賊だっているし海には海賊なんてのもいる。

力が正義のこの世界で生物を殺すことができないのは死活問題なのだ。

次の日、俺とベクトはまたいつもの丘の上で訓練をしていた。

しばらく打ち合っていると、ガロが俺たちのところにまた来ていた。


「レント君、昨日の怪我の具合はどうだい?」


「ニナさんが治癒魔術を使ってくれたおかげで全く問題ありません。」


「そうか、しばらく見ているからいつも通り稽古をしていなさい」


そう言われガロが近くの木の根元に腰かけたので、俺たちは訓練を再開した。


「行くわよ」


その声とともにベクトが凄まじく低い姿勢で走り出し、そのまま横薙ぎの一撃を放ってきた。


(交わして姿勢が崩れたところを狙う)


そう思い、攻撃をギリギリまで引き付けたところで体を半身ずらして攻撃を躱すと、ちょうど前のめりになっているベクトの首筋が見えた。


(これなら取れる!!)


そう思い俺が剣を振り下ろした瞬間、ベクトは恐ろしく早い反射神経で前に飛び、

俺は背後を取られた。

まずい!と思って振り返ったが、そこにすでにベクトはいなかった。

ベクトは、俺の振り向きに合わせて前面に移動していた。

完全にベクトを見失った俺はそのまま胴体に一撃をもらい、敗北した。


「また私の勝ちね、レント」


昔は剣の実力に差はあれど、まだまともに戦うことができていた。

それが最近では正直手も足も出ないほどに差が開いてしまっていた。


「レント君、魔力の操作は意識しているかい?」


唐突にそれまで黙って俺たちの訓練を見ていたガロが声をかけてきた。


「魔力の操作って何ですか?」


俺がそう答えると、ベクトとガロが急に押し黙ってしまった。

何かまずいことを言っただろうか。俺がそう考えていると。


「君は、魔力の操作をせずに龍人であるベクトとまともに打ち合えているのかい?」


驚いたようにガロが俺に言った。


「だが、私の眼には君が全身を魔力で覆っているように見えるがこれはいったい?」


そう言って顎に手を付けてブツブツと何かを言いながら考え込み始めた。

しばらく考えた後に彼は


「少し気になることがあるからギルとトリスさんと話をしてくる。二人は稽古を続けていなさい」


そう言って俺の家のほうに走っていった。

一体何なのだ、何が始まってしまうのかわからず不安感が俺に襲い掛かってきた。


「ねえレント、本当に今まで魔力を操作せずに戦っていたの?」


「少なくとも俺は今初めて魔力操作っていう言葉を聞いたよ。」


「ふ~ん、そっか...」


そういうとベクトは何か悔しそうに俯いた。

その後は普段と変わらず一本も取れないまま一日の稽古が終わった。


次の日に丘の上に行くと、またガロがベクトと一緒に来ていた。


「レント君、君の話とギルの話を聞いて一つ考えたことがある」


そう言ってガロは俺の魔力について説明を始めた。


「まず初めに、この世界では皆生まれながらに魔力を持っていて、意識せずともそれをほんの少しだけ体に纏うことはできている。そして幼少期に魔力の扱い方、所謂魔力操作を学ぶんだ。つまり魔力操作とはその纏う出力や部位を選ぶことだね。でもレント君は無意識化で纏っている魔力の量が人よりもずっと多いんだ。だからベクトとまともに戦うことができたんだと思う。それに、その量の魔力をずっと垂れ流しにしていたら魔力が切れるはずなのにぴんぴんしてるってことは魔力の総量もかなり多いと思うよ。」


聞いたことのない単語がたくさん並べられたために俺の頭はパンク寸前だった。

しかし、要約すると人は意識せずともごく少ない魔力をを体に纏っている。

だが俺の場合だとその出力と総量が人よりもずっと多いということらしい。

そして俺くらいの年齢には皆魔力操作が当たり前にできるようになっているらしい。


(そう考えると俺めちゃくちゃ不利な状態で戦ってたんじゃね?)


「だからこれから魔力操作を私が教えていくんだけど,,,」


そこで急にガロが言いよどんだ。

急に黙らないでくれよ。不安になるから。

険しい顔をしながらガロが口を開いた。


「魔力操作は感覚に頼る部分が大きいから幼少期にみっちり練習をするものなんだ。つまり今から始めるとかなり時間がかかるかもしれない」


おそらくこれは前世で例えると別の言語の習得に近しいものがあるのではないかと思う。

感覚ではなく理論で英語の文法を学ぶのは時間がかかるように、

本来感覚で学ぶ魔力操作を俺はこれから理論立てて学ばなければならないのだ。

ガロが難しい顔をするわけだ。

ちなみに魔力操作は遅くとも皆四歳頃までにマスターするらしい。

そして次の日から木刀を使ってのベクトとの訓練ではなく、

ガロとギルとの魔力操作の訓練が始まった。




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