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 レビュー2件目頂きました! 本当にありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ


 読んで下さってありがとうございます!

綺堂 薊(きどう あざみ) サイド








 入学式では、在校生からの祝辞と、それに対する新入生の答辞、学園長からの有り難いお話に、知りもしない校歌斉唱と、定番を一通りやってから終わった。


 俺は、必死に眠気を堪えながら『病みと希望のラビリンス☆』の主要キャラがいるかを確認する。全校生徒を落ち着いて確認出来る機会なんて、そうそう無いからな。


 イベント進行上いてほしかったキャラから、鬱展開しか生まない害悪キャラまで全員揃っており、ゲーム時代との差異がなく、ある意味安心した。




「怠かった……」




 しかし、キャラの確認で入学式全ての時間を潰せるわけでもなく、そもそも余りキョロキョロしすぎるのは教師に目を付けられる可能性があるので、あまりよくない。


 チラ見(最低限の確認)で終わらせた後は、ひたすら拷問の如き退屈な時間を過ごした。


 まあ、それも終わった。今はクラス毎に退席を始めており、俺のクラスも呼ばれる頃合いだ。ちなみに来紅(らいく)は近くにいないので会話で時間を潰すことも出来なかった。男女で離れて座っているためだ。


 しかし、話し相手がいないのは周囲も同じである。故に、今の俺には一つのミッションがあった。


 それは、同性の友達作りだ。


 この『病みラビ』世界に転生してから来紅という、前世を含めて初めての友達が出来、当初は彼女以外に友人はいらないと思ていたが、時間が経つと欲が出て同性の友人も欲しくなったのだ。


 それに、このタイミングなら話題に困ることはない。「学園長の話し長かったよな〜」でも「あそこの教師の鼻息スゴくね?」でも色々あるのだ。


 マイナス方面の話題ばかりを選らんだのには理由がある。


 人間は共通の敵があると団結しやすいのだ。


 そして、学生の天敵と言えば教師が定番であり、ついでに話し相手の『地雷』を踏む可能性も低いと良いこと尽くめだから。


 さあ、待っていろよ未来の我が友達よ。俺はお前を逃さんぞ?


 そして、手始めに隣に座っている入学式で疲れた表情をしてるモブ男子に話し掛けた。
















「なんでだよ……」




 初日の授業が全て終わり、校舎から寮へ帰ってる道中に俺は項垂れていた。


 今日一日、俺は声を掛けた友達候補から(ことごと)く避けられたからだ。


 作戦は完璧だった筈である。


 完璧な笑顔、完璧な話題、完璧なタイミング、全てにおいて隙はなかった。特に笑顔に関しては来紅に確認してもらい、満点を出されたのだ。なのに何故。


 これが悪役の運命だとでもいうのか。




「なあ、あの極悪顔って……」



「ああ、入学早々カツアゲして周ってるって噂の」




 あっ、獲物(友達候補)発見。次こそは同性の友人ゲット(ミッション)を成功させねば。




「やあ、はじめまして。俺と友達にならないか?」



「ひっ」



「ま、間に合ってます!」



「あっ」




 酷く怯えた表情をした彼等は、呼び止める暇もなく脱兎の如く去って行ってしまった。


 ちくしょう、俺の何が悪いんだよ。最初に声を掛けたヤツなんて、何故かいきなり財布を差し出すから驚いた。皆もっと落ち着いて俺に対応してくれよ。




「あの、少しいいですか」



「もちろん大丈夫だ……っ!?」




 トボトボ一人寂しく帰っていると後ろから女性に声を掛けられた。来紅と先生を除いて今日はじめてのソレに嬉しくなり勢いよく振り返る。


 もう今日つくる友達は同性を諦めて、この声の主でいいんじゃないかと思うほどに。


 しかし、それは相手を見た瞬間に思い直した。




「……あれ? 君は今朝の人」




 そこにいたのは、今日は何かと縁がある『水雲 菫(みずも すみれ)』。


 彼女は不安そうな面持ちで、こちらを見つめていた。



「はい、そうです。トリちゃんが貴方に話があるって言ってたので、私と来て欲しいんですが……」



「トリちゃん?」




 知らない風を装っているが、(すみれ)の言う『トリちゃん』が誰かは知っている。彼女の、もう一つの人格である(トリカブト)のことだ。


 すっとぼけたのは俺が知っているのは不自然だからだ。こういうところはゲーム知識があると面倒だな。


 まあ、それはいい。彼女の言う話とは、どうせ今朝のタッグマッチのことだろう。必要以上にストーリーに関わりたくない俺としては断るべきだな。




「いや、今日は学園生活初日で色々と疲れたから遠慮しとくよ」




 そんな当たり障りのない言葉で、遠回しに断る。今日は厄日だ、早く寝よう。




「どうしてもですか?」



「ああ、疲れたからな」



「んー、それなら」




 まだ続きがあるのか、早く帰らせてくれよ。ゲームでは(トリカブト)が弱味を握った相手に言うことを聞かせる描写がよくあったが、俺は彼女等相手に弱味を握られた(そんな)覚えはない。


 (トリカブト)に出てこられても、事前に知ってる俺なら特に動揺せず対処できる。怖がる必要などなかった。




「来てくれないなら、今すぐ悲鳴をあげますよ?」



「行かせて下さいお願いします」




 前言撤回、やっぱり怖い。


 そうだった、(すみれ)はこういうところがあったのだ。忘れてた。




「では、こっちです」




 本当に今日は厄日だ。


 俺は逃げ場がないことを悟り、嫌々ついていった。

 男子寮と女子寮は離れているので、帰り道の割と序盤に来紅と薊はわかれてます。



 読んで下さって、ありがとうございました!



 下記に別の連載作品のリンクがあるので、読んで下さるとありがたいです!

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[一言] 初手脅し さて、どう弱みを作ってくるかな?
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