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ワクチンの副作用から復活しました! 更新遅れて申し訳ないですm(_ _)m
それと、ブクマ100件いきました! ブックマークして下さった方は勿論、感想やレビューを書いて下さった方も本当にありがとうございました!
これからも頑張って更新します!
◆綺堂 薊 サイド
復活した意識の中、腐って崩れた体が、だんだんと修復されるのを感じた。
痛みも無ければ、再生する音もない。全身の感覚が蘇っていくのを感じるだけだ。
俺は完全に復活するまでの間、体を動かせないもどかしさを感じながら来紅が無事でいてくれることを願っていた。
攻撃を受けた直後の一瞬しか見ておらず、腐敗という現象を考えれば有り得ないことなので絶対とは言い切れないが、魔女の魔法攻撃は無機物も腐らせていたように思う。
ポーション瓶に入れていた来紅に逃げ場はなかった。仮に逃げられたとしても強敵の多い『魔女の工房』で生き残るのは至難の業だ。
ああ、それでも。たとえ、どんなに絶望的だったとしても、生きていてくれ。あと少しだ。あと少しで、もう一度守りに行けるから。どうにか持ちこたえてくれ、来紅。
◆ヘンゼル サイド
突然の侵入者と討伐。その間に起きた出来事も含め怒涛の展開に皆が硬直していた。
自身が殺した相手の残骸をジッと見据える来紅。
周囲に隙を見せないようにしつつ、来紅と腐敗した肉塊を交互に見ながら首を傾げるメリッサ。
侵入者が肉塊となった今でも、何故か強い警戒心を露にするグレーテル
そして、少し前に自身の片腕を奪った憎き相手の死に喜ぶ自分。
無様だね、お兄さん。僕に酷いことをするから、そんな目に遭うんだよ。
ヘンゼルは今すぐにでも、薊を嘲笑し、愚かな死に様を馬鹿にしたい気分だった。
しかし、そんなことで敵の気が逸れてる時を逃すのは勿体ないなさすぎる。
ヘンゼルは素早く周囲の状況を見渡し、不意打ちをする相手と方法を考え出す。
狙いは先程、憎き相手を殺してくれた相手だ。
敵の敵は味方だなんて聞いたことはあるが、そんな訳もなく、仮にそうだとしても共通の敵が消えた今は敵である。
おまけに彼女は妹のグレーテルに重症を負わせただけでなく、自分に腐食部の切断までさせたのだ。とても許せる相手ではない。
都合がいいことに、来紅からヘンゼルは見えにくい位置となっている。後衛職な上、戦闘慣れしてない彼女の不意打ちは容易いだろう。
そのまま、相棒であるグレーテルにもバレないように脚に力を込め極力、音を消ながら駆け出す。
ニィィ、とヘンゼル自身も気づかぬ内に頬をが吊り上がった。
誰もが硬直して動けない中、自分が最初に動き出し場を動かすのは、何とも言えないない優越感がある。まるで、この場の誰よりも自分が優れているように思えた。
───バイバイ、お姉さん。
内心、殺せることを確信しながら剣を振り被る。
そのまま脳天へと剣を叩き付けようとした時、来紅の陰から何かが飛び出してヘンゼルにの顔面を鷲掴みにし、後方へと押しやる。
「ぐっ。なんだよ、いきなりっ!」
ヘンゼルは想定外の事態に狼狽た。感触的に自分の顔を掴んでいるのは人間の手のように思われる。しかし、部屋の人間の位置は把握していた。誰にやられているのか分からない。
だが、そんなことよりも先ずは現状を脱するのを優先するべきだ。
しかし、手を外そうと藻掻くが外れる様子は無い。ちくしょう、掴まれた時に剣を落とさなければ、かなりマシだったのに。と後悔するが後の祭りだ。
ついさっきまで、自分が狩る側だと信じて疑わなかった彼は油断していたのだ。
周りの誰かが何か言ってる気もするが、何を言ってるか分からないし、聞こうとする余裕もない。
顔を掴む相手はヘンゼルの問に答えることなく首筋に噛み付き血を啜る。
ここまでされて、ようやく誰が自分にアイアンクローをしているのか理解した。
しかし何故? と、同時に思う。
確かにヤツは桁違いの回復力を持っていた。しかし、その回復力以上のダメージで全身をグチャグチャの腐肉にされて死んでいた筈なのに。
血を吸われる強烈な不快感と命が失われていく恐怖の中、全身を青白い枯れ木のようにされたヘンゼルは死んだ。
最後まで、何も分からないまま。
読んで下さって、ありがとうございました!
下記に別の連載作品のリンクがあるので、読んで下さるとありがたいです!