表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/51

26  

 ワクチンの副作用から復活しました! 更新遅れて申し訳ないですm(_ _)m


 それと、ブクマ100件いきました! ブックマークして下さった方は勿論、感想やレビューを書いて下さった方も本当にありがとうございました!


 これからも頑張って更新します!

綺堂 薊(きどう あざみ) サイド








 復活した意識の中、腐って崩れた体が、だんだんと修復されるのを感じた。


 痛みも無ければ、再生する音もない。全身の感覚が蘇っていくのを感じるだけだ。


 俺は完全に復活するまでの間、体を動かせないもどかしさを感じながら来紅が無事でいてくれることを願っていた。


 攻撃を受けた直後の一瞬しか見ておらず、腐敗という現象を考えれば有り得ないことなので絶対とは言い切れないが、魔女の魔法攻撃は無機物も腐らせていたように思う。


 ポーション瓶に入れていた来紅に逃げ場はなかった。仮に逃げられたとしても強敵の多い『魔女の工房』で生き残るのは至難の業だ。


 ああ、それでも。たとえ、どんなに絶望的だったとしても、生きていてくれ。あと少しだ。あと少しで、もう一度守りに行けるから。どうにか持ちこたえてくれ、来紅。









◆ヘンゼル サイド








 突然の侵入者と討伐。その間に起きた出来事も含め怒涛(どとう)の展開に皆が硬直していた。


 自身が殺した相手の残骸をジッと見据える来紅(らいく)


 周囲に隙を見せないようにしつつ、来紅と腐敗した肉塊を交互に見ながら首を傾げるメリッサ。


 侵入者が肉塊となった今でも、何故か強い警戒心を(あらわ)にするグレーテル


 そして、少し前に自身の片腕を奪った憎き相手の死に喜ぶ自分(ヘンゼル)


 無様だね、お兄さん。僕に酷いことをするから、そんな目に遭うんだよ。


 ヘンゼルは今すぐにでも、(あざみ)を嘲笑し、愚かな死に様を馬鹿にしたい気分だった。


 しかし、そんなことで敵の気が逸れてる時(絶好のチャンス)を逃すのは勿体ないなさすぎる。


 ヘンゼルは素早く周囲の状況を見渡し、不意打ちをする相手と方法を考え出す。


 狙いは先程、憎き相手を殺してくれた相手(お姉さん)だ。


 敵の敵は味方だなんて聞いたことはあるが、そんな訳もなく、仮にそうだとしても共通の敵が消えた今は敵である。


 おまけに彼女は妹のグレーテルに重症を負わせただけでなく、自分に腐食部の切断(後処理)までさせたのだ。とても許せる相手ではない。


 都合がいいことに、来紅からヘンゼルは見えにくい位置となっている。後衛職な上、戦闘慣れしてない彼女の不意打ちは容易いだろう。


 そのまま、相棒であるグレーテルにもバレないように脚に力を込め極力、音を消ながら駆け出す。


 ニィィ、とヘンゼル自身も気づかぬ内に頬をが吊り上がった。


 誰もが硬直して動けない中、自分が最初に動き出し場を動かすのは、何とも言えないない優越感がある。まるで、この場の誰よりも自分が優れているように思えた。




 ───バイバイ、お姉さん。




 内心、殺せることを確信しながら剣を振り被る。


 そのまま脳天へと剣を叩き付けようとした時、来紅(標的)の陰から何かが飛び出してヘンゼル(自分)にの顔面を鷲掴みにし、後方へと押しやる。




「ぐっ。なんだよ、いきなりっ!」




 ヘンゼルは想定外の事態に狼狽(うろた)た。感触的に自分の顔を掴んでいるのは人間の手のように思われる。しかし、部屋の人間の位置は把握していた。誰にやられているのか分からない。


 だが、そんなことよりも先ずは現状を脱するのを優先するべきだ。 


 しかし、手を外そうと藻掻くが外れる様子は無い。ちくしょう、掴まれた時に剣を落とさなければ、かなりマシだったのに。と後悔するが後の祭りだ。


 ついさっきまで、自分が狩る側だと信じて疑わなかった彼は油断していたのだ。


 周りの誰かが何か言ってる気もするが、何を言ってるか分からないし、聞こうとする余裕もない。


 顔を掴む相手はヘンゼルの問に答えることなく首筋に噛み付き血を(すす)る。

 

 ここまでされて、ようやく誰が自分にアイアンクロー(こんなこと)をしているのか理解した。


 しかし何故? と、同時に思う。


 確かにヤツは桁違いの回復力を持っていた。しかし、その回復力以上のダメージで全身をグチャグチャの腐肉にされて死んでいた筈なのに。


 血を吸われる強烈な不快感と命が失われていく恐怖の中、全身を青白い枯れ木のようにされたヘンゼルは死んだ。


 最後まで、何も分からないまま。

 読んで下さって、ありがとうございました!





 下記に別の連載作品のリンクがあるので、読んで下さるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 不味そう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ