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読んで下さってありがとうございます!
それと報告です。作者、明日は三回目のワクチンを打ちます。次回の更新は出来る限りやるようにしますが、出来なかったら申し訳ありませんm(_ _)m
最後に、今回あとがきは若干のネタバレ要素を含むので嫌いな方は読まないで下さい!!
◆綺堂 薊サイド
やっとの思いで、たどり着いたボス部屋。そこには俺の想像通り、魔女がいた。そこまでは良かった。そこまでは。
問題は───
「は?」
どういうことだ?
見つけ次第、殺すつもりだった怨敵の横で今もポケットの中にいるはずの友人がの光の消えた冷たい眼差しで俺を見ながら、聞いたことのない低い声で迫力を出している。
来紅が二人いる!?
俺は混乱の極みだった。一応、彼女が知らない間に俺から離れた可能性を考慮してポケットを漁ってみる。
「よしっ、いるな」
ポーション瓶を取り出して、そこに来紅の指がいることを確認し、安堵する。
ここで、ようやく答えが出た。そもそも悩む必要などなかったのだ。
いつも明るく笑顔を絶やさなかった彼女がゲームのバッドエンドでしか見なかったような目をしている上、あのような低い声などゲームですら聞いたことがなかった。
これは間違いない、魔女が見せた幻だろう。ゲームでは使ってこなかった魔法だが、恐らく当時とは違う動きをしていることと、そもそも幻の魔法の練度が低いからだろうと思われる。こうして俺に、あっさりと見破られる程度だしな。
そうと分かれば話が早い、ほぼ予定通り殺すだけだ。違うのは、より苦しめながら殺すことだけ。
俺の友人を冒涜たのだ、楽に死ねると思うなよ。
そうして、『応報の剣』を握り直し魔女へと振りかぶる。
多少の怪我ならの『HP自然回復』で即完治する上、もし万が一が起きても固有スキル【不死の鼓動】の、もう一つの効果でどうにか出来る算段はついている。
だから俺は安心して魔女へと突っ込む。
「魔女めっ! 来紅の偽物をつく……っ!?」
来紅の偽物を作り、俺へ精神攻撃を仕掛けてきた魔女へ怒りの言葉を吐きながら斬り掛かると、突如『魔女の毒霧』とは少し違う色合いの霧が俺を囲む。
出来の悪い虚像だと注意を向けていなかった来紅の幻から攻撃を撃たれたのだ。
恐らくは幻の後ろから魔女が魔法を撃ったのだろう。やつの性格の悪さが伺える。
まずい。そう思った時にはもう遅く、逃げられない距離まで霧が迫っていた。
◆雁野 来紅サイド
私は今、人生で最も怒っていると言っても過言ではなかった。
もう二度と会えない可能性まで考えていた親友が、最悪の強敵と戦っているときカッコよく(来紅視点)現れたのだ。
運命を感じるとは、このことだと確信した。
ヘンゼルが言ったことなど嘘で自分を助けに来たのだと疑わず喜びの抱擁を交わそうと彼の名を呼び駆け寄ろうとした。
なのに、これはどういうことだ。
「魔女はどこだぁぁぁっ!!」
あまつさえ、自分に気づかないどころか、他の女を呼びながら顔を上気させている。顔が赤くなるほどメリッサが好きだって言うの!?
「は?」
思わず低い声が出てしまった自分は悪くないと思う。
赤面する彼とは逆に、自分の顔からは熱が抜け落ちるのを感じた。
「よ……るな」
そうして怒りと悲しみに打ち震えていると、彼がこちらをチラチラ見ながら追い打ちを掛けるように言ってきた。
嘘よ、薊くんが私に「寄るな」なんて言うわけない。
しかし現実は残酷だった。
諸手を挙げてメリッサへと向かっていく薊。それはまるで、私を含め他の人間など眼中にないような動きだった。
気づいたときは衝動的に杖の力を振るった後だった。
カタカタと嬉しげに音を鳴らす装飾の頭蓋が、薊へと腐敗の霧を撒き散らす。
「…………っ!?」
彼は何かを言っていたようだが、私の耳には入らない。
彼は私のことを横目に一度見た後は、すぐにメリッサへ視線を戻していた。全身が腐り落ちる、その時まで。
物語は、まだ終わりませんので安心して下さい!
読んで下さって、ありがとうございました!
下記に別の連載作品のリンクがあるので、読んで下さるとありがたいです!