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 すみません、リアルの都合で更新も新作の投稿も出来ませんでした。


 今は若干マシになったので、これからは三日に一度の更新でやっていこうと思います。新作は来週の土日には投稿できると思います。


 ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでしたm(_ _)m

雁野 来紅(かりの らいく)サイド








「そろそろかね」




 来紅が杖の扱いに慣れてきた頃、メリッサがそう言ったかと思うと、これまでとは違うお菓子ではなく石で造られた一本道の廊下へ入って行った。


 明かりはケーキを飾り付けるようなファンシーなロウソクから粗末な松明へ、廊下に転がっているのは肉片や十字架から白い石とパン屑に姿を変えた。


 この先には、これまでとは違う『何か』がいる。楽観的な来紅でも思わず警戒を強めるほどの激的な変化だった。




「師匠、この先に館を奪った相手がいるんですか?」




 自分で質問しておきながら愚問(ぐもん)であることを自覚する。


 初めはメリッサの説明されるのを待とうとしていたが、場の雰囲気に飲まれた来紅は緊張感に耐えきれず会話で誤魔化そうと、そんな質問をした。


 そんな来紅を茶化しもせず、メリッサは真剣な眼差しで答える。

 



「そうだよ、『おそらくは』だがね」




 ならば以前メリッサが言っていた工房があるのだろう。そこが、この館を制御する上でもっとも都合がいいらしい。


 肯定されたことで緊張は高まるが、気を紛らわしたい来紅は会話を続けた。




「館を奪った相手って、どんな人なんですか?」



「子供二人さ。ありゃあ多分、双子かねぇ」



「えっ、それって金髪で嫌な感じに笑う子達ですか?」



「そうだよ。あんた知ってんのかい?」




 それは来紅を館へと案内した二人だった。今まで忘れていたが、あの二人に声を掛けられた途端、身体が

自由に動かなくなり歩きたくない方向へ歩かされた。その時の恐怖を思い出して少し震える。


 もし双子が、こちらの身体を自由に動かす能力を持っているなら勝てないのでは? と思い、その事をメリッサに告げると問題ないと言う。




「それは多分、双子の能力じゃない。ダンジョンになった館の独自能力だろうね」



「ダンジョンの独自能力ですか?」




 まだ父から冒険者の知識を学んでいない来紅はダンジョンに化物(モンスター)や宝を産み出す以外の能力があると聞いて驚く。


 ここがダンジョンだというのも初めて知ったが、それ以上に、世間一般でダンジョンは化物(モンスター)が無限に湧き出る施設のような扱いをされているからだ。


 その考えをメリッサは、やんわりと否定する。




「ダンジョンごとの独自能力は『ルール』と言ってね、そこまで珍しいもんじゃないよ。聞いた限りじゃ『強制入場』と『退場禁止』ってとこかね。まあ、独自能力なんて言っても他と被る事はある、ここの『ルール』は珍しくない部類さ」



「ほへー」




 来紅は目をパチパチさせて感心半分、情報過多による困惑半分で間抜けな声を出した。


 そんな彼女を見てメリッサは説明を区切り、少し強引に纏めることにした。




「そんな感じだから双子に勝てないなんて事はないと思うよ。そもそも、あたしから館を奪った時は自由を封じる能力なんて使ってなかったからね」



「なら安心ですね」




 納得した様子の来紅を見てメリッサは安堵の息を零す。


 徐々に弟子の扱いが分かってきて静かに喜びを()み締めるメリッサだった。









綺堂 薊(きどう あざみ)サイド








 左手の法則を(もち)いた『お菓子な魔女』の攻略はトラップに引っ掛かる事を除いて順調に進んでいた。


 そして順調なのは攻略だけではなかった。




「やっと終わったか」




 それは攻略ではない。ヘンゼルと戦いの後から実感していた吸血鬼化の終わりだった。


 ステータスで確認したから間違いはない。薊は『吸血鬼:下級』へと変化した。


 理性ある吸血鬼としてはランクが一番低いものの、前種族である人間や『吸血鬼:低級』よりも優秀なのは間違いない。




「吸血鬼すげえな。種族変わっただけでステータスが、かなり上がってる」




 吸血鬼は紙装甲、高火力の種族である。また、紙装甲と言っても同レベルの人間より(はる)かに厚く、そもそも吸血鬼は『HP自然回復』を持っている場合がほとんどの為、弱点にならない。


 なにより───




「『攻撃』が段違いだ」




 ステータスの表記は『HP』『MP』『敏捷』『器用』があり他には物理、魔法それぞれの『攻撃』『耐久』項目がある。


 吸血鬼は『物理攻撃』『魔法攻撃』のどちらも優れており、薊の弱点である低火力は、ほぼ完全に克服されたと言っていいだろう。




「準備は整ったな」




 長い時間を掛けるか、強敵の血を吸えば『中級』以上にもなれるが、ゲームでは『下級』から『中級』になるには、よほどの事がなければ短くとも数ヶ月は必要である。


 流石に相手が待っているとは思えず、ここのダンジョンの雑魚敵では数ヶ月を数日にするほどの強さがあるとは思えない。


 故に薊はボス部屋である『魔女の工房』へ向かう事を決意する。




「月が綺麗だ」




 今までは不気味としか思わなかった外の紅い月を美しく感じた。これも吸血鬼になった変化なのだろうか。


 ステータスを見たときには何も感じなかったが、自身の心の変化を自覚し、僅かな悲しさを覚えた。

 用語を少し変更しました。これからは『研究室→工房』でいきます。分かりにくくなり申し訳ありませんが、こっちの方が魔女らしいと思ったので変更しました。



 読んで下さってありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 リアルが大事なのでリアル優先は大事ですよ。 [一言] 遂に完全に吸血鬼化してしまった! これからどうなっていくのか楽しみですね (っ'꒳'c)ワクワク
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