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 総合ポイント100越えました!


 皆さん評価やブクマ、本当にありがとうございますm(_ _)m

 現在、俺は来紅(らいく)とした約束を後悔していた。


 不幸中の幸いで、約束の後は直前まで感じていた来紅の恐ろしさが嘘のように消えたので無事に昼食を終えることが出来た。


 そんな俺達は、最初の宣言通りに来紅の行きたい店へと向かっていた。まあ、俺は場所を知らないので、ついていってるだけだが。




「なあ、何処に向かってるんだ?」



「んー、色々?」




 なんで疑問系?


 抜けたところのある彼女に全てを任せるのは不安だ。




「その、大丈夫か?」



「絶対大丈夫だって、私にまかせて」




 恐る恐る聞いた俺に対し、来紅は軽く返答するが不安は余計に募るだけだった。


 ここは諦めて、素直に腹をくくるしかないみたいだな。


 そして俺達の露店巡りは、今度こそ始まった。














「ねえ見て! あの御札(おふだ)スゴいよ!」




 俺の心配を余所(よそ)来紅(らいく)主導の露店巡りは順調だった。最初は女の子らしく普通の服やアクセサリー(何故か特に指輪)を見て周ったが、今は冒険者志望者らしく武器や戦闘で使うアイテムを見ている。




「おっ、確かにスゴいな」




 彼女が指で示したのはゲームでも出てきたアイテムで名称は『妖精の祝符(しゅくふ)』。効果は『百秒の間、パーティーの魔法攻撃力を百%上昇』だ。


 この店だけでなく、他の店を含めても似たようなアイテムは五十%上昇がせいぜいなので、たしかにスゴいアイテムである。


 いまのところ、攻撃魔法を持っていない俺とゲームでは攻撃魔法が得意では無かった彼女には、あまり必要のないアイテムではある。しかし、いつか攻撃魔法を覚えるつもりの俺としては買っておきたい。




「ただ、値段がなぁ」



「高いよね……」




 手が出せないほど高いわけでは無いのだが、気軽に出せる金額でもないという中途半端な値段だった。


 入学までレベル上げをしたい俺としては『清めの塩』を買う事に金を使いたい。すぐ必要なアイテムでもないしな。




「……諦めるか」



「私もそうする」




 俺は渋々と、来紅はあまり未練がなさそうに購入を見送る。あれ、そう言えば。




「来紅は攻撃魔法を使うのか?」




 ゲーム時代は攻撃魔法が得意ではなく、時期を考えれば一つも覚えていない筈の彼女が『妖精の祝符(しゅくふ)』を欲しがる事に疑問を覚えたので聞いてみた。




「御札に描いてあった妖精さんのイラストが可愛いから欲しかったの」




 と言うことらしい。使いもしない高額の戦闘用アイテムを『可愛い』で欲しがるとはさすがだなと思った。
















 あの後も俺達はダンジョンで使えそうなアイテムや武器、防具を見て回った。


 彼女は指輪系アイテムを除けばナイフや短刀などの小型刃物を見る事が多く、それらはサブウエポンにするのかと思えば、ポーション作成で使うのだそうだ。


 彼女は細かい使い方を濁していたが、彼女独自のポーションレシピを知ってる俺には無意味だ。うっかり使ってる場面をイメージしてしまった俺は、質問したことを後悔した。




「そろそろ暗くなってきたし帰るか?」



「そうだね。あっでも最後に、あそこ行きたい」




 彼女が言った店は露店市場では珍しく小さな小屋借りて物を売ってる店だった。古びた外観で全体的に暗い色をした小屋は御伽話(おとぎばなし)で魔女が住んでそうな見た目である。




「あれ?」



(あざみ)くん、どうしたの?」




 小屋を見た時、なぜか既視感を覚えた。


 それがゲームだったか転生後だったかは分からない。だが思い出させないって事は、そんなに重要でも無いだろ。露店市場で鬱展開も特に無かったはずだしな。そう考え気にしない事にした。




「いや、なんでもない」



「そうなの? じゃ、行こっか」




 そう言って扉を開けて店に入った来紅に続き、俺も入ったのだが、とても不思議な内装をしていた。


 そこには店員はおろか、レジや商品すら存在せず床と壁は黒一色で染まっていた。


 光源は奥にある通路から漏れるロウソクの灯りのみで、それはまるで先へ進めと言われているように感じた。




「変わったお店だね、せっかくだし奥に行ってみよっか」




 少し不審に思い「帰ろう」と言いかけた時、来紅が先に行ってしまう。


 俺も、そこまで帰ることに拘りがあるわけでもないので、「まあ、いいか」と自分の気持ちにケリをつけ彼女の後を追った。




「何があるか楽しみだね」



「そうだな。あと少し暗いから気をつけろよ」



「わかって……痛っ」




 言った傍から転ける彼女に苦笑した。相変わらずの天然っぷりに。




「大丈夫か?」




 そう手を伸ばそうとし彼女を立ち上がらせた後、ふと違和感を感じた。


 おかしい、外から見た時は小屋だったはずだ。それも真っ直ぐ歩けば数歩で壁にぶつかる程度の狭い小屋。俺達が歩いた距離を考えるとまだ行き止まりになっていない事が不自然だ。




「あっ」




 そこで俺は思い出した、この小屋に入った時に覚えた違和感の正体を。ここは露店なんかじゃない。




「ここは不規則出現迷宮(ランダムダンジョン)か」




 引き返そうと後ろを見るも、俺達が入ってきた筈の入口は無い。


 それが自身の推理の正しさを証明しており、激しい後悔に襲われる。なにせゲームではクリアするまで出られない仕様だったのだから。




「やっちまったな」




 これじゃあ来紅を笑えないなと、自嘲した。

 読んで下さってありがとうございました!

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[一言] 地雷がどこにあるかわからないデート 別の意味でドキドキしちゃうわ
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