第四話 エンペラーと対峙
俺はエンペラーが住んでいる洞窟の前にいる。
どうやってきたかって?
俺は新しく【索敵】というスキルを創造したのだ。
このスキルは倒したことのあるモンスターが自分から半径3kmまでならどこにいるか分かるそういうスキルだ。
しかし、倒したことのあるモンスターだけ、それ以外は反応があるだけでどんなモンスターかは分からない。
しかし、エンペラーの傍にはいつもゴブリンキングがいる。
俺はさっきキングを1体倒したからもう1体残ったキングを探せば必然的にエンペラーに会えるというわけである。
(それじゃあ、行きますか)
俺はエンペラーの住む洞窟に足を踏み入れる。
パキッ
「えっ?」
俺の間抜けな声が漏れる。
なんと、びっくりここに住むエンペラーさん器用に洞窟に罠を仕掛けてました。
「ヴゥオオォー」
エンペラーの雄叫びが聞こえる。
それと共に俺に近づいてくる反応が2つ、1つはキングで間違いない。
もうひとつは、もちろんエンペラーです。
完全に失敗しました。
【隠密】スキルでも創造してサクッと倒す予定でした。
もう遅いみたいです。
雄叫びが近づいてくる。
「ヴゥァァァーウルォーー!!!!!!!」
「こうなったら正面からぶっ飛ばすしかないな!」
(まずは一撃でかいのをお見舞してやるか)
「炎帝飛龍火炎!!!」
俺のスキルで1番強いものを放つ。
洞窟の中で使うと俺自身にも危険が及ぶため外に出てから使用している。
エンペラーとキングが洞窟から出てくる手前で攻撃があたる。
「「オオーォーヴゥァァァ!」」
バタッ
今の一撃キングが倒れた。当たり前だ俺の最高火力だぞ。
しかしエンペラーは、倒れない。
「おかしいな…俺の最高火力のはずなんだけどな…」
「ニンゲンヨ、、オレヲナメテイルヨウダナ、、」
「しゃっ、しゃっべった?!」
「ナニヲ、オドロイテイル、キサマニモ、ゲンゴリカイガ、アルノダロウ」
「そ、そういう事か【言語理解】ってモンスターの言葉が分かるのか」
実際にはこちらの世界に住む全ての生き物の言語が理解できるのだが夏飛はまだ人と出会っていないためモンスターの言語が理解できると思っている。夏飛は、この事実に気づいていない。
(あれっなんでこいつ俺に【言語理解】があること知っているんだ)
「ナゼ、オレノ、、スキルガワカルノダ、ソウオモッテイルノダロウ、」
エンペラーが誇らしげに
「オレニハ、スキルカンテイガンガアル!」
そういう。
(どっ、どういうことだこの前鑑定した時はそんなスキル持っていなかった、この数日で手に入れたのか!?)
「ヌッ、キサマ、、アマリオドロイテイナイナ、」
「どういうことだ、この前鑑定した時はそんなスキル持っていなかっただろ!」
「キサマ、、、マサカ、カンテイガンヲ、モッテイルノカ?!」
「えっ?持ってるっていうか創ったけど?」
「ツクッタダト?!ナニヲ、イッテイル、スキルヲソウゾウスルナドカミニノミ、デキルミワザダゾ、!」
「えっ?そうなの?」
俺はとんでもないことをしているのかもしれない。
「キサマノ、ショクギョウ八、ナンダ、、?」
「職業ってなんだ?」
(こっちに来て人と出会ってないんだぞ、そんなこと知るかよ)
そんなことを思っての返答だった。
「ショクギョウトハ、ソノモノガショウガイ、カエルコトノデキナイジブンニテキシタ、ノウリョクノコトダ、」
(ひょっとして、固有能力のことか?これって言っていいのか?
でもなんか悪いやつじゃ無さそうだしな、大丈夫か)
「俺の能力は【スキル創造】だ」
「?!!?!、ナルホドソウイウコトカ、キサマハコノ、セカイノニンゲンデハ、ナイナ」
「そ、そうだけど」
「ヤハリカ、ナラバナットクガイク」
「で、お前はこの数日で【鑑定眼】を手に入れたのか?」
「チガウ、キサマノカンテイガン、マダツカイキレテイナイヨウダナ、オレハインペイトイウスキルヲ、モッテイル」
「いんぺい、隠蔽か、」
「ソウダ、オレ八コノモリノ、シュゴシンデアリ、キンコウヲタモッテイルモノダ、フダン八、カクレテイルガ、スウジツマエ、ゴブリンキングガ、アバレテイルトイウホウコクヲウケテ、トメニイッタガソコヲミラレタヨウダナ、」
「えっ?そうなの?」
(じゃあ、あの荒さはキングを鎮めていたからってことなの?)
「あの〜ひょっとしてその姿も違っていたりします?」
(なんか、ゴブリンに守護神って似合わないもんね。)
俺の疑問にゴブリンエンペラーは、
「ムッ、ヨクワカッタナ、コレハカリノスガタダ、ホントウハ」
そう言うとゴブリンエンペラーの姿がみるみる変わっていく。
そして、
「本当はこういう姿だ。」
「おっ、おぉ〜、イケメンだな〜」
(思った10倍かっこよかった。ゴブリンからの変化が凄まじいな)
ゴブリンエンペラーだったと思われるイケメンは、
身長2m程度、長い髪だかツヤがある
目もでかいは、声もいいわでなんなん、俺に恨みでもあんの?
(くそっ、まさかこんなにイケメンだったとは、日本にいたら間違いなくモデルだったろ!)
「俺はこの森の均衡を保っている。だが最近、森の魔物の活性化が著しい。あんなゴブリン久しく見ていなかったな。もう一体いたはずだか…」
「あっ、そいつなら俺が倒しちゃいました」
「なにっ?!そうか結城夏飛が倒したのか。感謝する。」
「夏飛でいいですよ」
俺が一応言っておく
「あれを倒したとなると夏飛も相当腕がたつようだな」
「あの、守護神さんってどれくらい強いんですか?」
「俺か、分かった、夏飛なら見せても大丈夫だろう、」
「【隠蔽】を解除した俺のステータスを【鑑定眼】で見てみろ」
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【カルハ・ユグドラシル】
【種族 妖精】
【10725歳】
【Lv700】
【MP300000/300000】
《スキル》
【鑑定眼】【隠蔽】【変化】
【転移Lv100】【インベントリ】【言語理解】
【凪】【竜巻】【風神】
【葉龍】【葉龍・リーフストーム】【葉龍・暴風龍飛影】
【世界樹・ユグドラシル】
《固有能力》
【風魔法Lv500】【世界樹魔法】【Lv上昇】
《職業》
【森の守護神】
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「レベル700?!!いや、高すぎでしょ」
「そうか、夏飛だって200を超えているではないか」
「いや、そうなんですけど、それはスキルの恩恵があってといいますか」
「まぁ、レベルが200を超えていれば大抵のモンスターには勝てるだろうな」
「はー、そういうもんですか」
「夏飛はまだ17歳だろう、まだまだ伸びるであろうな!あっはは!俺のことはカルハと呼んでいいぞ!」
(カルハさんが笑ってるよ…さすがに1万歳越えの人のことを呼び捨てにはできないよ…ていうか人じゃなくて妖精か)
「夏飛、お前は俺を倒しに来たのだったな!やってみるか!」
「すみません、勘弁して下さい!」
「よしっ!俺も出来れば戦いたくなどない。俺はそもそも均衡を保つものだ、無駄な戦いは好まない」
「ありがとうございます」
「うむ、気にするな。ところで夏飛。こちらに来てまだ人に会っていないのか?」
「あぁそうなんです…気が付いてらこの森だったんですよ」
「そうか、異世界から来るものは召喚と決まっているが気が付いたらこの森だったか、」
「あの、召喚ってなんですか?」
「こちらの世界だと魔王討伐のため数十年に一度、勇者召喚といって王都で召喚の儀が行われる」
「へー、そうなんですか」
「だが、どの勇者も例外なく魔王に敗北している。俺はこの森の守護神だから詳しいことは知らないが今でも魔王が健在なところをみるとそうなのだろうな」
「へーちなみに魔王ってどれくらい強いんですか?」
「少なくとも俺よりは数倍強い」
「げっ、それって誰も勝てないじゃないですか」
「だから魔王なんだよ夏飛」
異世界に来て数日、俺は魔王の恐ろしさを知った。
魔王やばいって!
「とりあえず今は魔王に関わらない方がいい。そう覚えているといい」
「そうします…」
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情報を取得
こちらの世界に合わせてステータス表示を変更します
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(おっびっくりした。っていうか誰なんですかねあなた。)
返答はなかった。
この、あきらかに自我がありそうなスキルはなんなのだろうか
「これからどうするんだ?俺はとりあえず聖域に戻るが」
「あっ、俺はとりあえずこの森での目標は達成したんで街をみつけて冒険者になろうかと」
「なら、この森を出て1000kmほど離れたところに街がある。一番近いのがそこだ」
「1000kmですか…だいぶ遠いですね」
「俺の【転移】で送ってもいいがせっかくの異世界だ道中も楽しめ!」
「そっそうか!ここは異世界だった!きっと道中も楽しいに決まってる」
「そうだ!その意気だ!あっはっはっ!」
「じゃあ俺も準備して明日にでも街に向けて出発します」
「ちょっとまて夏飛、そこにあるゴブリンキングの核を持っていくといい。いい金になるぞ」
「えっ?そのよく分からない石みたいなのって核だったんですか」
「そうだぞ、知らなかったのか」
(俺としたことが、完全に眼中になかった!!正直レベルアップにハマっててそんなこと考えたこともなかった)
夏飛はやはり、アホだった。
「持っていきます」
「そうするといい!」
かくして、俺のゴブリンキング討伐は終わった。
それにしても知らないことがいっぱいだな。
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