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第7話 実技中に、トラブル発生?


 私たちは森の奥にある湖へ向かっている。

 魔法の杖を取ってくるというのが私たちペアのミッションだ。


 配布物の中に地図や方位磁石があるため、特に予備知識がなくても行けるのがありがたい。

 そこまで難しくない授業なのだろうか。

 

 「デイジー、止まって」

 前を歩かれていたセオドア様が、私の前に腕を伸ばして、私を止める。

 

 「なにか地図に仕掛けがある気がする」


 私たちは道の真ん中を歩いていたのを、道のすみの木のそばまで行って、座り込んで地図を広げ、地図を挟んで向かい合った。


 セオドア様は、何か考えこんでいる。

 私が、考えている表情もやっぱり格好いいな、と思っていると、セオドア様はおもむろに地図に魔力を注がれた。

 

 ……何も起こらない。


 「ただの地図だし、仕掛けなんてないんじゃ?」

 と私が言うと、

 「デイジーも注いでみて」

 とおっしゃるので、しぶしぶ私も注ぐ。


 私が地図に魔力を注ぎおわると、地図から絵柄が一瞬消える。

 「えっ? これ?」

 「やっぱり」


 次に絵柄が出現した時には、先程の地図に、トラップの場所が追加された絵柄に変わっていた。


 「何か地図触ったらピリピリするなって思ったんだよな。これ一回目の花の時の仕組みを使ってるな」


 「セオドア様、凄っ!」

 セオドア様ってやっぱりできる男だ。

 私が感心していると、


 「キャーーーー!」

 急に悲鳴が聞こえてきた。


 悲鳴の方を見ると、遠くにある木の上に、ペアが魔法網にひっかかっていた。


 トラップにかかったペアは、何度も魔法を掛けて網から脱出を試みているが、強力な魔法網のため、全てポンと魔法が消され、諦めたようでホイッスルを鳴らしていた。


 「わぁ……」

 トラップにひっかかったら失格確定だった。

 地図の謎を解かないとクリアできないようになってるんだ。

 少し背筋がヒヤリとする。


 「俺たちはとりあえずトラップにはひっかからずに済みそうだな」

 セオドア様が堂々とした顔でおっしゃるので、なんだか安心してしまう。


 ……セオドア様ならトラップの方から逃げてくれそうな気もする、と少し思ったのは内緒だ。


 私たちは地図のおかげでトラップにはひっかからずにどんどん進む。


 ほとんどのトラップは道沿いにあって、トラップのある箇所だけ道のない場所に出るようにすればひっかからなかった。

 道沿いに比べて足元は悪いがトラップにひっかかるよりはマシである。


 ほとんど2人きりみたいな状況なので、以前されたように、セオドア様にふいにキスとかされるんじゃないかと少し思ったがそんなことはなかった。


 私は期待してるわけではない……。よね?


 そんなことを考えて少しボーっとしてしまい、気がつけばセオドア様と随分離れてしまった。


 「あ、セオドア様! すみません! 待って……」

 とセオドア様に少し待ってもらおうと呼びかけたその時。


 私は誰かに腕をつかまれ、道のないところへ連れ込まれた。


 そのまま何かよくわからないまま、羽交い締めにされて、近くの洞窟へ連れ込まれる。


 真っ暗なので、どうにか最近覚えたライトの魔法をかける。

 周りがフワっと明るくなったと同時に私を連れ込んだ人たちが見えた。


 彼らは同じクラスのキラキラ一軍メンバーである、リタ・バイドラー伯爵令嬢と、ジョシュア・マーティン伯爵子息だった。

 確か、お二人はいつもセオドア様やポージー様に引っ付いていたような気がする。


 「……どうして?」

 こんなことをするなんて、他ペアの邪魔をする指令でもあったのだろうか? なんてことを考えていると、2人が話し出した。


 「ポージー様とセオドア様の邪魔をするからよ!」

 「そうだ! そうだ!」

 

 ポカンとしてしまう。

 これは唐突すぎだ。


 私が何も言えないでいると、

 「お邪魔虫を排除する機会を伺ってたのよね。セオドア様と離れてくれてよかった。マーガレットさん、あなた、さっさとセオドア様とのペアを解消しなさい。約束してくれるなら悪いようにはしないわよ」

 リタ様がおっしゃる。


 私は、確かにセオドア様から逃げたいあまり、ペアを解消したいとは常々思っている。

 

 だけど、こうやって連れ去られて、脅されて解消しろと迫られるなんて、それはなんだか腑に落ちない。

 

 そもそも、なんでこの2人にペアを解消しろなんて命令されないといけないのだ。


 なんだか少し腹が立ってしまって、

 「嫌です! セオドア様とペアは解消しません!」


 そう私は、はっきり言った。


 「子爵令嬢如きが何偉そうに言ってんのよ! どう考えてもポージー様とセオドア様の方がお似合いでしょうが! ジョシュア、やっちゃって!」


 「えっ? やっちゃってって……」

 ジョシュア様が慌てて、私にこっそり言ってくる。

 「適当でいいから解消するって言ってくれよ。リタって2人のかなりの信者でさ。頭に血が上ったら何するかわかんないんだよ、頼むよ」

 

 ジョシュア様、何故だかリタ様の言いなりになってるみたい。

 でも、そんなこと言われても嫌なものは嫌だ。


 「嫌です! 解消はしません!」

 私は、リタ様にも聞こえるように言ってやった。

 

 リタ様の顔が怒りで真っ赤になったのがわかる。

 

 ジョシュア様が諦めたようにため息をつくと、私に拘束魔法をかけられる。

 私は両腕と両足が魔法の縄のようなもので縛られた。


 私はうまく立てずにコロンと転がってしまう。

 地面に顔を打ち付けて擦りむいて痛い。

 この2人に囲まれて動けないのも怖い。


 私はそうなって初めて、解消しますって言っておけば良かったかもしれない、と後悔した。


 ……ほんの少しだけど。


 ジョシュア様の手に魔法の力が込められる。

 緑色でなんだかビリビリしているあれはおそらく、雷の魔法だわ。


 ああ、絶対痛いやつ……。


 私は衝撃に耐えようと、目を閉じて、全身に力を入れた。


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[一言] 三下だなぁ
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