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第23話 アイラのグッドアドバイス


 私たちは、別邸の外の、広大な土地の前に立っている。


 ここは昨日飛行魔法でたっぷり遊んでもらった場所だ。

 

 「飛行魔法は、体全体に風魔法での魔力を行き渡らせる感じなんですけど」

 とジェームズ先生がおっしゃって、私にもわかるように色味を強くつけて、ご自分の体に魔力を行き渡らせてくれる。


 使おうとしている魔法によって、他の人の目にも見える魔法もあるのだが、セオドア様や飛行魔法を使ってる他の人を見る限り、飛行魔法を使用している人が纏わせている魔力は、私には見えたことはない。


 なので、先生がわざわざ色味をつけてくれていることがわかるのだが、これができるということは、逆もできるということで、先生が魔法のすごい使い手であることが窺い知れた。


 私も最近ようやく使い方を知ったばかりである、風魔法の魔力を体全体に行き渡らせる。

 シュワシュワする感覚が体全体を覆う。

 ……風魔法はシュワシュワする気がする。


 「あ、少し浮いてます」


 私は先生に言われて、ほんの少しだが飛行魔法が成功したことがわかった。


 でも浮いてるのが浮いてないのか、わからないレベルだ。

 

 凄いスピードで移動できるセオドア様って、一体どうなっているのだろうか。


 彼が何度もやってくださったのを知っているだけに、その凄さがようやくわかった気がする。

 

 セオドア様は先生の指導の下、今の力でどこまでスピードを出せるかやってみるのだという。


 「ちょっとそこで練習してもらえるかな、私たちは少し一周してくるから」

 というや否や2人はあっという間に見えなくなった。

 

 あまりの速さに、速すぎるだろ、と心の中でつっこんでしまった。


 あまりの格の違いに少し消えた方向を眺めていたが、ようやく私は1人で、飛ぶ練習をしてみることにした。


 おそらくだが、5センチほど浮いたのではないかと思う。


 回復魔法と違ってできていないわけではないので、ここから伸ばせるだろうし、少しやる気がでてきた。


 しかし、何度も体に魔力を纏わせていると段々疲労感が溜まってきた。

 汗もボタボタ落ちてくる。

 相当なカロリーを消費していそうだ。


 「ふぅ、疲れた」

 と言うとアイラがすぐに水とタオルを差し入れてくれる。

 仕事が早い。


 「この水、塩と砂糖が入ってしかも少しレモンの味がする。めっちゃおいしい!」

 ゴクゴク飲める。

 汗のかいた体に水分がどんどん吸収されるようだ。


 モンゴメリー家すごい。

 アイラ凄い。

 

 「たくさん汗をかかれると思いましたので準備しました。レモンはスッキリ飲めると思って。お気に召していただけてよかったです」

 アイラが、可愛く笑う。


 これ男子なら完全に好きになっちゃうだろうな。


 昨日会ったばかりの私に純粋に良くしてくれるアイラに、人見知りなはずの私もすでに安心している。

 これが侍女というものなのか。


 「私も実は少し飛行魔法は使えるんです。マーガレット様はきっと変な力入ってると思うので、リラックスして、そしてすごく速く飛んでる自分を想像したら飛べるかもです。私想像ではすごく速く飛んでるのですが、実際は歩いてる方が速いレベルなんですけど」

 

 「確かに変な力入っているかも。アイラ、ありがとう!」


 私は、力を抜いて、セオドア様に一緒に飛んでいただいた時のイメージをする。


 昨日、セオドア様が何度もやってくださったお陰で、凄い速い飛行魔法のイメージなら、すぐにできる。


 セオドア様に抱きしめてもらいながら飛んでいた自分を想像した途端、私の体は急激に浮き上がったと思ったら、すごいスピードで進んだ。


 (うそ、どうしよう止まらない)

 

 セオドア様に掴まって飛んでいた時は安心して楽しいだけだったが、私はどうやらコントロールが全くできないようだ。

 しかも、止まれなくなっていた。


 こんな広大な土地で、広々とした空中はたくさんあるにもかかわらず、なぜだか私の目の前にはどんどん木の幹が近づいてくる。


 (ぶつかる。絶対痛い)

 あまりの怖さで目を瞑る。


 走馬灯のように幼少期からの自分が浮かんできて。

 ああ、これって死ぬときに見るという自分の人生振り返るやつじゃない?


 すごく短い時間なのにすごく思い出されてきて、全然木の幹にあたらないし、最期はスローモーションのようになるって言うけど本当だったんだ。


 しかもなんだか抱きしめられているような感じだし、死ぬときって暖かいものなのね。

 

 ……でもなかなか当たらなすぎるような?


 私はおそるおそる目を開けると、

 「デイジー、間に合ってよかった」

 私はなぜだがセオドア様に抱きしめられていた。


 「あれ? なんでセオドア様が? 一周まわられていたんじゃ」

 私は目をパチクリさせてしまう。


 「ペアの効果で思った以上に早く戻って来れたんだ。君がすごいスピードで飛んでいるの見つけたとき、先生がとっさにスローモーションの魔法をかけてくれたんだ」

 セオドア様が、よしよしと頭を撫でてくださる。


 「マーガレット君、よかった……」

 ジェームズ先生も来られて、ほっと肩を撫で下ろしていた。


 セオドア様に抱きしめられたまま戻ると、可愛いアイラの目には涙がいっぱい溢れていて、

 「まさかこんなことになるなんて……ごめんなさい」

 そう言って、頭を下げた。


 「セオドア様が助けてくださったから大丈夫よ。むしろすごいいいアドバイスだったみたい。ありがとう」

 アイラのアドバイスが良すぎたのかも。


 ジェームズ先生がアイラがどんなアドバイスをしたのかを確認されると、

 「なるほど。納得できました。ペアの効果もあったみたいですね」

 ふむふむとおっしゃる。


 「ペアの効果?」

 私が聞きかえすと、

 「セオドア君のことを思って飛んだことで、ペアの効果が発揮できたのかもしれないね。だけどあまりにコントロールが悪すぎる。こんな広大な土地でわざわざその木の幹にあたりに行けるなんてむしろ才能だね。今度はコントロールの勉強にしよう。一旦休憩しようか」


 アイラがあまりのショックでぐったりしてしまったので、ミーシャが部屋に下がらせてくれ、彼女がお茶セットを用意してくれる。


 ミーシャが気を利かせて冷たいアイスティーにしてくれる。

 ミントの香りがとてもさわやかだ。

 

 「しかし、デイジー、僕のこと考えながら飛んでくれたんだね。とても嬉しい」

 あんなに早く飛んでいたはずなのに、汗一つかいていないセオドア様がキラキラと笑う。


 「私別に考えてないです!」

 つい反射的に言ってしまう。

 考えていたけど、私がセオドア様のこと考えてたなんて、先生やミーシャの前で言われるのは恥ずかしい。

 やめてほしい。

 

 私はとても恥ずかしくてアイラに貰ったタオルで顔を隠してしまったのだった。

 

デイジーはどうにか飛べました。

運動神経は良い子です。

アイラは運動部のマネージャーをイメージしています。


読んでくださってありがとうございましたm(_ _)m

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[一言] ある意味才能 ほめてるのかな?
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