表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まだ心臓は動いてる  作者: zelda
2/2

第2話

「助けなきゃ。凛は絶対に俺が助けるんだ。また2人で一緒に遊園地に行こう。そのためには、誰かが脳死しなきゃいけないんだ」


そんな考えが結矢の頭をよぎった。


今日は天気がいい。みごとなまでの快晴だ。

春にしては少し暑いが、通学路は静かで心地良い。

「結矢ぁぁぁぁぁおはよぉぉぉぉぉ」

前言撤回。静かではなかった。

彼は香狩(かがり) 駿(しゅん)

テストではほぼ毎回学年1位、模試では県内で一桁順位に入ったこともあるほど頭がいい。そして、いつもよく分からない発明や実験を繰り返している。ちょっと変な人だ。


学校に着いた。チャイムが鳴る。

「ねぇ、お兄ちゃん、私、死んじゃうのかな…」

凛の声が聞こえる。

「おい結矢起きろ!授業中だぞ!」

なんだ、夢か。

窓の外を見ると、太陽に照らされたプールがいつもより綺麗に感じた。


「結矢〜、お昼一緒に食べよ〜」

結矢は中学校から一緒の5人で仲良くしていた。

声を掛けてきたのは天宮(あまみや) 美沙(みさ)

肩ぐらいまでの黒髪の美人系。

「結くん、こっちこっち!」

この人は棚橋(たなはし) (あずさ)

ちょっと茶色い髪のショートヘアの可愛い系。

「来ないのか〜?先に食べちゃうぞ〜」

この人は奈瀬(なせ) 大和(やまと)

金髪で見るからにチャラいが、意外と真面目な人だ。

この3人に、結矢と駿を入れた5人だ。

もちろん、結矢は妹のことをみんなには話していない。


帰り道、空が少し橙色に染まり始めたころ、駿が妙なことを言い出した。


「結矢、人を脳死させる薬、興味ない?」


いやいや、そんなものあるわけないだろ。

普段の結矢ならそう思うだろう。

だが、今の結矢は妹を助けることしか考えられなかった。

もしそんな薬があれば、その薬を誰かに飲ませれば、妹は助かるんじゃないか。

結矢はそう考えた。考えてしまった。

「興味あるけど、そんなものあるのか?」

そう答えると、駿は驚いたような顔をした。


「結矢、今やばいこと考えただろ?」

駿が言った。

帰り道、結矢は駿に妹のことを話した。

気付けば、空は橙色ではなくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ