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第1話
「残念ながら、臓器移植をするしか、凛さんが助かる方法はありません。しかし、脳死状態の人の臓器でないと…」
医師から告げられた言葉は、家族にとってはとても重い言葉だった。
それ以来母はうつ病になり、父も家に帰ってくることが減った。
凛の余命はあと約1年。それまでに、脳死状態のドナーを見つけなければいけない。
「凛のために、誰かが脳死しますように」
そんなことを願って近所の神社にお祈りした。最低な願いだ。
そう思って結矢は家へと帰って行った。
「お兄ちゃん、私が元気になったら、また一緒に遊園地行こうね」
きっと、その言葉を結矢が忘れることはないだろう。