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6話:地下書庫にたどり着かない 5
今度こそ、魔王領だった。
最初にそれが分かったのは、魔力反応をいくつも感じたから。
明るいところから薄暗いところに来ても、魔力で強化すれば目が眩んだりすることはない。
俺の前にあるのは、扉だった。
扉
階段
扉
階段
扉
階段
……
…………
嫌な記憶が蘇る。
ただ、この扉の向こうから魔力反応はする。
やっと来たか?
俺は期待を込めて扉を開き、次の瞬間膝をついた。
扉の向こうにいたのは、ケルベロスだった。
この扉は、魔王城地下に広がる迷宮のものだったようだ。
この城の主に牙を向きながら唸るケルベロスを見ながら、俺はもう一度呟いた。
「転移」