43話:大森林開拓記 3
「全部土じゃ殺風景ですね」
土でできたそのままだからな。
「色変えるか? 変色」
「…………まだ前のほうがいいです。センスゼロ通り越してマイナスですね」
「…………変色。白ならいいだろ」
「あなたのセンスよりはいいです。これって雨が降っても崩れたりしないですか?」
「物質転化。金属の一種みたいなもんに変わったぞ」
「へえ、魔法って便利ですね。じゃあ中の改装に」
俺たちは、できたばかりの建物の中に入り、生活できる環境にしていく。
予想通りといえば予想通りだが、圧倒的に指示が細かい。
小さな変化ばかりなので魔力は使わないのだが、ダメ出しばかりで精神的に疲れる。
「露天風呂とか食堂とか必要か?」
旅館じゃないんだぞ。
何日いるつもりか知らないが。
「あったほうが楽しいじゃないですか。次はプールを」
「お前完全に旅行気分だな」
「真面目に開拓したいんですか?」
「いやまあ、お前が旅行気分ならこっちもそれに乗ってやるよ」
別に働くのが好きなわけじゃない。
「家具を」
「当然だな」
「塀と堀を」
「確かに必要だな」
「厨房を」
「まあいるか」
「見張り塔を」
「いるか?」
「卓球場を」
「たっきゅうって何?」
「菜園を」
「どれだけここで暮らすつもりなんだ?」
「大浴場を」
「露天風呂作ったよな?」
「音楽室を」
「楽器ないけど」
「宝物庫を」
「宝物ないけど」
…………………………………
結局拠点を造りあげるのに丸一日かかった。
それだけ時間をかけただけあって、完成度には胸を張れる。
これだけ頑張るとずっと暮らしたくなってくるな。