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アクセス  作者: 天音
第1章 能力覚醒
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前世との繋がり

なんとかミルルから逃げたトーワは家まで帰ってきた。スラム街にはあるが、その中でも立派な方の家といえるだろう。スラム街での家と言えば簡易的なテントだったり、その場で敷地を取って過ごしていたする者がほとんどだが、トーワの家は木の床があり屋根が付いている一般的な家である。


トーワの家族構成は母のマリーと、トーワ、妹のエリーの3人家族である。父は冒険者でトーワが産まれる前に死んでしまったらしい。トーワは父が冒険者だったこともあり、少なからず冒険者に憧れを抱いていて、父はどんな冒険者だったのか、ランクは何だったのか気になって度々聞いて母を困らせていた。この話から分かるように、妹のエリーは血の繋がった兄妹ではない。


エリーとの出会いは、母が世界の中心に位置している王都【ハルメリア】から引越し【ルーストン】に来てすぐの事だった。父がいなくなり、節約して使っていたお金が無くなってしまったため引越しをせざる負えなかった。母は昔から体が弱いらしく働くことすらできなかったという。【ルーストン】で暮らすことも難しいため無法地帯であるスラム街に住むしかなかった。


母とトーワがスラム街につき、住めるような場所を探しているとどこかから赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。そして、白いシーツに包まれて顔だけ出ているエリーを見つけたのだった。それが出会いであり、母は余裕が無いのを分かってはいたがエリーを育てることを決め、弱い体を鞭打ってまで仕事に就き、なんとか2人を育てていた。










トーワは家につき、玄関にあがった。しかし、家の中には人の気配はなかった。母がいないことはあったが妹のエリーはいつも家にいて、どんな時でもトーワが家に入る前に気づきお出迎えをしてくれていた。しかし1度だけ、エリーがお出迎え出来なかったことがあった。それはエリーが発熱をし起き上がることが出来ないほど辛いからだった。その事を思い出したトーワは嫌な予感がよぎった。よくよく考えれば、今の時間なら母も家にいるはずであり、違和感だらけだった。トーワは後先考えずにリビングに入り必死に2人の家族を探す。しかし家のどこにもいなかった。そのまま探して、家を出てスラム街の全域を調べた。










スラム街を調べ尽くし、どこにもいない事が分かったトーワはひとまず落ち着くために家に戻ってきた。そして、リビングにあるテーブルの上に手紙が置いてあることに気づいた。必死になりすぎてトーワは視野が狭くなり気づくことができなかったのだろう。そして、手紙を開き読み始めた。トーワは読んでいくうちに泣き始め、倒れてしまった。


『トーワへ。あなたが無能であることを知り、急いで手紙を書いています。この手紙を読んでいるということは無事に生きて帰って来たのでしょう。ですが私はこの手紙があなたに読まれないことを願います……。こんなのは母親として失格かもしれませんがトーワにはこれ以上苦しむ前に消えてほしいと思っています。愛してるからこそ、苦しむ姿なんて見たくありません…………。そして、私には新しい家族ができました。エリーの存在がまだ私にやるべき事を残してくれています。それに、ある冒険者の方が私達の面倒を見るといって王都まで連れていってくれることになりました。トーワが無能となった事で、【ルーストン】で生きることが難しくなったからです。エリーを1人になんて私には出来ません……。あなたと同じようにエリーの事も愛しています。本当にごめんなさい……。生きる希望を失ってないのならどうか、どうか、強く生きてください。さようなら…………。』


と、手紙には書いてあった。










朝日に照らされた事で起きたトーワは、昨日のことを思い出した。しかし実感がわかず、もう1度手紙を見た。確かに母の字だ。確信してしまう。全て今まで起きてきたことが本当のことで真実で、思い出すだけで涙が溢れてしまう。活気溢れる【ルーストン】の中でトーワは1人泣いていた。誰にも見つからない場所で。











トーワはいつの間にか寝てしまっていた。起きて外を確認すると、外は暗くなっていて、時計では21:00を指していた。トーワは考える。死にたくない。生きる為には冒険者になって、強くなり一人で生きれるようになるしかないと考えた。1度考えしまったため、頭より先に体が行動を開始した。冒険者となる為に登録するためのお金を持ち冒険者ギルドに向かった。










大々的に無能であるとアルメトに告げられたトーワだが、なんとか目をつけられずにギルドまできた。だが、ギルドにいるものはみんな知っているだろう、自分が【無能】であることを。価値のない人間だということを。そんな者が冒険者になりたいと言ったら、誰もが無理だ。と思うだろう。実際にトーワ自身でも思っている。しかし、何もしないより何かをした方がいいのは明確であり、賭けに近いが冒険者になることを決断する。トーワは1度決めてしまえば必ずやり遂げる、ある種の異常者であった。


ギルドに入ると、周りがいっせいに静かになる。それはそうだろう、【無能】が冒険者のギルドにやってきたのだ。周りは【無能】が、トーワが何をするのか気になり、ずっと見つめていた。それを気にせず、受付嬢のところまで行き言った。


「冒険者になりに来た。登録をしたいんだ」


そう言って、必要な登録料を出した。普通であればこれで通るのだが、この世界は異常である故に……。


「すみませんが、お金が足りないようです。登録したければ、後300G必要となります。」


周りは受付嬢に酷いことしてるなー、と面白そうにして見つめている。しかしトーワはこうなるとは思わなかったが、何かしらあるだろうと思ってお金を少し多めに持ってきていた。


「わかった、これで丁度だな。登録を頼む」


そう言って、ポケットから300Gを取り出し、渡した。一瞬間があったが、自分が言ってしまったため、引き下がることが出来ずに裏に行き、登録をするための用紙を取りに向かった。

テンプレを入れるかどうか、悩みます。どうしようかな

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