前世との繋がり
この小説を読んでいただきありがとうございます。私はまだ始めたばかりで、練習用としてこの小説を書こうと思いました。自分のペースでやっていきたいと思っているので気長にお待ち頂けると幸いです。これからもよろしくお願いします。
トーワの怪我を心配しているミルルと、ヘラヘラしている張本人のトーワ。こうなるようになったのは、およそ一ヶ月前の能力を授けられる伝統的な日【神の祝福の日】である。
【神の祝福の日】とは、毎年4月1日に17歳となった者に能力を授けると言うこの世界では一般的であり、大事な日でもある。
トーワは一人、どんな能力を授けられるのかを楽しみにしながら妄想をしていた。たまにニヤついたりして周りからの目線はおかしな者を見ているような目だった。そんなことは気にしないとばかりにトーワは妄想続けた。というより、周りに気づいていないだけだった。
「あぁ…どんな能力なんだろうな。やっぱり魔法系の能力を授かって有名な冒険者になりたいなぁー。それとも武闘派の能力かなー。楽しみだ」
トーワはずっとそんなことばかりを考えていた。するとそこに、ミルルがやって来た。
「トーワ、また妄想なんてしてるのー?少しは周りの目を気にしなさいよね?」
やれやれ。といったような感じで話しかけた。しかし……
「あぁー、まだかなぁ。早く自分の能力が知りたい。知りたすぎる。分かったらすぐに親に報告して、その後は……」
そのトーワは完全にミルルの事を無視していた。と言うより気づかないのだろう。その事を少し不服に思ったのか、ミルルはいたずらを思いついたかのような笑みを浮かべながらトーワの耳元まで顔を近づけた。そして、大きく息を吸って……
「トーーーーーワーーーー!!!!」
トーワはその声に驚き、座っていた椅子から転げ落ちて、その原因であろう人物を見て笑顔を見せた。
「ミルルじゃないか。どうしたの?そんな大声出して。周りの事を気にした方がいいよ?」
とトーワは自分の事を棚に上げ、ミルルにそう返した。
「って、えぇ?!私が悪いの?!」
ミルルは周りを見渡して、自分が騒いだことによって迷惑をかけてしまったことを自覚した。自覚しながらもトーワへの怒りが少しばかり増した。
「まったく、ミルルは。いつもこうなんだから」
トーワに言われたことと、余計な一言により完全にキレてしまった。
「もうトーワなんて知らないんだから!」
そう言って、ミルルは去っていってしまった。トーワは、どうしたんだ?と思いながらもずっと自身の能力の事を考えていた。
さっきのやりとりから、5分した時に空中に眩い光を放ちながら魔法陣が展開し、一人の美少女が天使のような一対の羽をなびかせながら舞い降りてきた。
美少女こと、女神「アルメト」はこの日に降臨する能力を授ける神であった。
「あれが、アルメト様か!凄いな。」
「きゃー!アルメト様よ!」
「今年はどんな能力者が現れるんだろうな?」
などといった、女神を見るために集まったギャラリーや、どんな能力者が現れるのか気になるもの達も集まっていた。
「あれが、アルメト様……。本当にこの目で見れるなんて。」
トーワは一人感動しながら、女神の元に集まっていった集団に、負けるか!という勢いで混ざっていった。
しかし、能力を授ける前にアルメトの話があった。
【よく聞きなさい。新たな希望達。この世界は今闇に呑まれようとしているのです。近頃の魔物の動きに疑問を思った神々が調査を行った結果、魔王の存在を確認したのです。】
この話を聞いていた者達全員が息をのみ、呼吸を忘れてしまっていた。ものの数秒だけだが、世界が止まってしまったと勘違いしてもおかしくないほどの空気だった。間をおいて女神アルメトは再び口を開く。
【そのために今宵は戦力を確保するために武闘系、支援系、攻撃魔法系の能力を多く授けることになりました。それらの能力を授かった者は必ずこの世界のために全力を尽くしてほしいのです。では、1列に並んでください。能力を授けます。】
そう女神アルメトは言うと、能力を受け継ぐためにみんながすぐに一列になった。トーワは列の真ん中ぐらいにいた。
1時間したあたりで、トーワの番が来た。トーワは内心ドキドキやワクワクしながらも、緊張感のある顔をして、アルメトの前まできた。そして……
【それでは、能力を授けます。あなたの能力は………………あら、おかしいですね。あなたには何故か能力を授けることが出来ないようです。こんなことは久々で……。忘れていましたが、まさか今になって新たな無能者が現れるとは。もういいです、今すぐ消えなさい。】
トーワはアルメトの言ってる意味がすぐには分からなかった。いや、分かってはいるのだが理解出来なかった。したくなかった。自分は立派な冒険者になって活躍すると、ずっと今まで信じてきた。いや、勝手にそう思っていた。それだけ、今の状況が理解出来なくて、その場で倒れてしまった。