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棺屋はいつも冒険者の後ろに  作者: 紺野千昭
第二章 棺屋は死者の夢を見る
37/42

切れない道

「あの……本当に良いんですか……?」


 城の回廊を覆う豪奢な絨毯を踏みしめながら、コムギは先導する王子の背中におずおずと問いかけた。


「私たちなんか、簡単に信用しちゃって……」

「おや? あなた方は嘘をついているのですか?」

「い、いえ、本気ですよ! ですけど……」


「なら大丈夫です。民を信じるのは当然のこと。それに……彼ならそうすると思いましたので」

「彼……?」


 コムギが疑問符を浮かべると、王子は照れたように苦笑した。


「ああ、失礼。ザウクリンのことですよ。……と、私が言うと変に聞こえるでしょうね。自分のことを‘彼’だなんて。……しかし、私には生前の記憶がありませんから、どうしても自分だという実感が湧かないのです。一応、彼の性格や癖などは皆から教えて貰っていますし、部屋にある手記や蔵書には眼を通したのですが……やはりそう簡単には思い出せないものですね」


 その笑顔を見て、ナギとコムギは微かに俯く。


 二人は知っている。彼もまた単なる複製体にすぎないことを。


「あの……もしも、もしもご自分が、本当に王子ではなかったとしたら……どうします?」


 思わず口を突いたその問いかけは、我ながら失礼に過ぎるもの。

 けれど王子は、そんな突然のおかしな質問にも生真面目に返答した。


「うーん、どうでしょう……その時になってみないとわからないというのが正直なところですが……やはり、残念に思うかも知れません」


 王子はただ素直にありのままの感情を述べる。


「先ほども申し上げましたが、私は生前の自分の手記をすべて読みました。そこでわかったのは、ザウクリンという人間が、本当にこの国の人々を愛していたということです。彼は国民のおかれた現状を憂いていました。彼が守ろうとしていたのは、ルーシャという国ではなく、そこに住まう国民たち。そのために、たった一人でも戦争の終結を訴え続けていたのです。人々の平和と幸福のみを、彼は目指していたのでしょうね」


 しみじみと、まるで親しい友人を語るかの如く紡がれる言葉。


「……実感はまだ湧きません。ですが私は、自分がそのような人物であったことがとても誇らしい。そしてできることなら、彼と同じ理想を掲げて生きたいと思っています。……ああ、このような言い方をすると、自画自賛、ということになってしまうのでしょうか? いやはや、難しいものです……」


 そして最後にザウクリンは照れたような笑いを浮かべる。

 不思議な人だ、と二人は顔を見合わせた。


 そうして長い回廊の先、三人は大きな扉の前に立った。


「さあ、着きましたよ。準備はいいですか?」


 二人が慌てて襟を正すのを見届けてから、王子は扉を叩く。


「――失礼いたします。ザウクリンでございます。火急の用件につき、御目通り願いたく参りました」


 しばしの沈黙。そして……


「――入れ」


 招き入れる声がした。


「失礼いたします」


 足を踏み入れたその部屋は、中央に楕円型のテーブルが置かれた広い会議室であった。ただ、この場にいるのは四人だけ。みな机上に散乱した書類の束に視線を落としていた。いずれの者の表情にも、深い疲労と焦燥の色が伺える。


 その中でもひと際困憊している様子の男に、ナギとコムギの視線は引きつけられた。


 多少の白髪は混じっているものの、ザウクリンと瓜二つの豊かな金髪。

 ――間違いない。くたびれたこの老齢の男こそ、大国ルーシャ連邦を束ねる国王・エンサイドラだ。


「ザウクリンよ、悪いが今は手一杯だ。後にはしてくれぬか?」


 エンサイドラは書類に目を落としたまま言う。もう何日も寝ていないのだろう。瞼の下にはひどい隈ができている。


「いえ、それはできません、王よ。会っていただきたい来客がおられますので」

「客人だと……?」


 と顔を上げたところで、エンサイドラは初めてナギたちの存在に気が付いた。


「棺屋、か……素性は?」

「わかりません」


 王子は悪びれもなく答える。

 それがいつものことなのか、エンサイドラは咎めるでもなく溜め息をついた。


「……ザウクリン、民を第一に考えるお前の心根は確かに美徳だ。いや、平時でなら、それは統治者として何より賛美すべき天賦てんぷの資質であろう。……だが、些か度が過ぎるぞ。今は戦時中、それもこれから決戦が行われようとしている瀬戸際だ。わきまえてはくれぬか? 軍部の連中が作戦会議で出払った今この時しか、我々にはまともな話し合いの場がもてぬのだ。そなたもわかっておるだろう?」


 厳しい顔でそう諭すエンサイドラ。この会議室に揃っているのは、上層部の中でも唯一まともに考えられる人間たち、ということらしい。が、コムギにとってはあまり関係がなかった。


「だから、その戦争を止めるための話をしに来たのよ! 聞いてくれたっていいじゃない!」


 発言の許しも得ずに大声をあげるなど、本来このような場で見過ごされて良い振る舞いではない。けれど、礼儀や作法を説いてどうにかなる相手ではないと見抜いたのか、エンサイドラは咎めることなく答えた。


「……お嬢さん、忌憚きたんのない意見をありがとう。そうだ、君と同じ、我々とてこんな戦争などしたくはない。総力戦など、いたずらに国民の命を危険に晒すだけの愚行だ。……だが、だからこそ、今、この危急の時に、出所さえ不確かな情報に時間を割く余裕はないと言っている」


 エンサイドラは頑として言い切った。

 考えてみれば当然だ。素性も知れぬ棺屋と冒険者、それもまだ年端もいっていない二人の言葉など、王でなくとも誰が聞くものか。今この瞬間に摘まみ出されていない方が不思議である。


 けれどナギたちとて引き下がるわけにはいかない。多少強引でも、その気にさせるしかなかった。


「……ムスタファ・ダーラルエルヴィア――ネクロマンサーについてのお話です」


 ナギがおもむろにダーラルエルヴィアの名を出した途端、王の顔色が微かに変わった。


「……彼が危険な存在だ、と言いたいのだな? そんなことはわかっている。我々とてあの男を信用しているわけではない。どんな形であれ、ネクロマンサーだ。警戒はしている」

「……あなたが送り込んだ間者のことでしたら、ネクロマンサーは既にその存在に気付いていました。正体の割れたスパイからの情報に意味はないと思いますが」


 エンサイドラは今度こそ、確かな反応を見せた。

 ナギがネクロマンサーと浅からぬ関わりを持っていることを、今の発言から察したのだ。


「……ならば、君の情報に価値があると?」


 エンサイドラの試すような視線が、ナギの双眸を射る。それでも少年は臆すことなく答えた。


「……もしも聞いた後でまだ無価値と思われるようなら、どうぞこの場で首を刎ねてください」


 確信に満ちた本気の眼。

 それを見て、王はナギがただの少年でないことを理解したらしい。ふう、と小さく溜め息をつくと、目だけで円卓に座る他の三人に確認をとる。そして、全員が頷いたところで、ナギに発言の許可を与えた。


 しかし――


「よかろう。君の持っている情報を話してくれるかな?」

「……今は、話せません」


 ようやく得た発言の許しを、ナギは自ら捨て去った。


「……何を言っている? 来たのはお前たちからであろう。話せぬ、とはどういうことだ? もしもふざけているというのなら――」


 エンサイドラは僅かに語気を強める。けれど、ナギの言葉にはまだ続きがあった。


「――王子のいるところでは、お話できません」

「……それは、どういう意味だ?」


 眉根をひそめる王の疑問には、ナギの代わりにザウクリンが答えた。


「なるほど……私に、いえ、ダーラルエルヴィアが蘇生した者に関する情報、ですね?」


 穏やかな顔をしているが、かなり頭の切れる王子だ――誤魔化すのは無理と判断したナギは、潔く頷いた。


「そうですか……わかりました。ですが、だとしても、ここで話してください。私には王子として知る義務と、当事者として知る権利がある」


 ナギの語ろうとしている情報が、自分にとって決して良いものではないと悟りながら、ザウクリンはなお先を促す。


 しかし、王子本人ではなくエンサイドラがそれを許さなかった。


「いや、ザウクリン、下がりなさい。お前がいるならば、私は話を聞かん」


 束の間、親子の間で生じる僅かな駆け引き。……先に折れたのは王子の方だった。


「……わかりました」


 それだけ言って、エンサイドラは素直に踵を返す。

 ただ、退室する間際、微かにナギへ視線を送ったことには、少年以外誰も気づかなかった。


「さて、これでよかろう。……話せ」


 扉が重く閉ざされた後、王は再び問う。ナギも今度こそ、正面から答えた。


「ネクロマンサーが行った死者蘇生……あれは紛い物です。彼がやっているのは蘇生じゃない。ただの複製です」


 円卓についていた他の三人が、微かなざわめきを見せる。けれど、ただ一人エンサイドラだけは動じなかった。ナギの言葉を半ば予期していたらしい。


「……やはりそうきたか。ならばお前たちは、王子が偽物だと言いたいわけだ」


 激昂……ではないものの、エンサイドラの口調からは静かな怒りが滲み出ている。


 いかに国王とて、実際は血の通った一人の人間。死の縁から戻ってきた息子を紛い物呼ばわりされて、愉快な気分になるはずがない。


「そう言い切る根拠はあるのだろうな?」

「……見てきたこと、聞いてきたことのすべてをお話します」


 そうしてナギは、ネクロマンサーに関する情報を残らず打ち明けた。

 施設地下の研究所、量産される複製体、ネクロマンサーの過去と、これからなそうとしている恐るべき計画。


 それらのすべてを聞き終えたエンサイドラは、ふむ、としばらく瞳を閉じる。そして次に瞼を開けた時、その顔にはこれまで以上に濃い苦悩が刻まれていた。


「王子が偽物……国に取り入るためのデモンストレーションに利用されただけ……か……」


 エンサイドラは改めてナギの話を反芻はんすうする。明らかに動揺している様子だ。

 その姿を見て、円卓に座る三人のうち、角ばった眼鏡をかけている男が具申ぐしんした。


「王よ、胸中お察しいたします。ですが――」

「――今はその時ではない。……ああ、わかっている。わかっているさ……」


 臣下の言葉を遮り、エンサイドラはしばし黙考する。

 凍ったような数秒の後、王は毅然きぜんとして口を開いた。


いとまをかけた、すまぬ。……さて、では今聞いた話について吟味ぎんみしようか」


 どうやらきちんと頭を切り替えたらしい。エンサイドラは円卓の中でも一番の年長者に問う。


「……セヴィニフ、どう思う? 魔術大臣としての客観的意見を聞かせて欲しい」


「そうですな……ダーラルエルヴィアに融通した物資の中に、ネクロマンスに必要とされる魔術品が少なからず含まれていたことは確かですな。これは非公開情報なはずですが、完全にナギ殿の話と合致している。それも含め、大規模なネクロマンスを企てている、という説は可能性として否定はできないでしょう。何より、現に我々両国は、ネクロマンサーを巡って大戦を始めようとしているのですから。……もっとも、複製体という技術に関しては信じられぬものではありますが……総じて、彼の仮説には一考の余地があると思いますぞ」


 未だナギの話を仮説として扱ってはいるが、セヴィニフは概ね肯定の意を示した。


「そうか……わかった。ナギ君……と言ったかな? まずは陳謝しよう。君の話を妄言とは言わぬ。有り得る想定だ」


 エンサイドラは素直に非礼を詫びる。けれど、あくまで‘想定’という言葉を選んだのは、まだ完全に信じたわけではないという意思表示だ。


「しかし、その想定を確信に変えるため、少しだけ我々の疑問に返答願いたい。……まず一つ。君はネクロマンサーが戦場全体を術にかけると言った。だが、現実問題としてそれは可能なのかね? ……知ってはいると思うが、ヴォルゴ台地は過去に積み重なった戦術魔法の影響で魔力が安定しない。そんな場所で山全体に魔法をかけるなど、一体どれほどの魔力が必要か。そして第二に、ネクロマンスは魔術式の構築が必要な魔法だ。そもそも山全体を覆うほどの大規模な術式をどうやって設置するというのだ?」


 エンサイドラはすらすらと尋ねる。ネクロマンスについてそれなりの知識を持ち合わせていなければできないことだ。王自身、独自に調べを進めていたのだろう。


 こうなると下手なことは言えない。ナギは慎重に口を開く。


「……まず、魔力量に関してですが、ダーラルエルヴィアには複製体の量産技術があります。ヴォルゴ台地の特性と、複製による劣化を加味しても、今回のネクロマンスに必要な魔術師は三百人。この地に来る以前から各地を回っていたあの男には、それだけのストックはあるはずです」

「なるほど……では、術式の方はどうだ?」


「……恐らく、『全域に作用する一つの大規模術式』ではなく、『局所に作用する複数の小規模術式』を使っているのかと」


 ナギの言葉に、横から魔術大臣が頷いてみせた。


「私も同意見ですな。一つの巨大な術式を使わなくとも、小規模な術式を大量に設置しておくことで、実質的に山全体を覆うことは理論上可能。特に、探知魔術すら満足に機能しないヴォルゴ台地でなら、魔力の籠められていない空の状態の術式が発見されるということはまず有り得ませぬ。……事前に仕掛けておいた、という線で間違いないでしょう」


 魔術大臣の口調はかなり肯定的である。

 ただ、それと入れ替わるようにして口を開いたエンサイドラは、未だに納得しきってはいなかった。


「ならば……魔力の輸送経路はどうする?」


 王の口からその問いが出た瞬間、ナギの表情が微かにこわばる。


「先ほどの仮定では、術式は分散して設置されていると。だとすれば、すべての術式を同時に起動させるために、各術式の設置個所まで魔術師が出向かなければならないはずだ。普通の場所でなら遠距離から魔力を飛ばして充填することも可能だろうが、殊に大気中の残留魔力の濃いヴォルゴ台地では、過不足なく術式に届かせるのは不可能。となれば、数百人の所属不明の魔術師が、術式目掛けて一斉に戦場を彷徨さまようことになる。ネクロマンサーが君の言うような計算高い性格であるとするならば、こんなお粗末な作戦をとるとは思えぬ。無論、何かしらの‘媒介’があれば話は別であるが」


 ナギは返答に窮して黙り込んだ。その疑問については、ナギの中でも未だに結論が出ないでいる部分だったのだ。


 そう、ダーラルエルヴィアは非情なまでに狡猾だった。ナギを信頼し、すべてを打ち明けたように見せて、その実、計略の核となる情報は伏せていたである。


 そんな追い詰められたナギの隣で、コムギはぽかんと口を開けていた。


「えっと……‘バイカイ’って、何?」


 そこからか……と呆れ顔を浮かべた魔術大臣は、それでも易しく噛み砕いて説明する。


「文字通り、魔力を経由させるパスのことですな。もっと簡単に言うなら、離れた場所に魔力をのせていくレール、といったところですかな。具体的にあげるとすれば、ワイヤーや糸、チョークで書かれた線などなど。効果に差異はあれど、魔術師と対象とをつなぐ物であれば、何であろうと媒介に成り得るというのが定説でしょう。無論、専用の道具でないとあまり効率的ではないが、それでも拡散してしまう大気を利用するよりは、ずっと上手く魔力を伝導させられるのですぞ」


 懇切丁寧な解説だが、コムギはごく単純に理解した。


「ふうん。爆弾の導火線みたいなものね」

「……ま、まあ、そういうことになりますな」


 魔術大臣の方も、詳しく理解させることは諦めたらしい。ただし、コムギがおかしな勘違いをしないよう、釘を刺すのを忘れなかった。


「ですが、糸や紐を山全体に張り巡らすなど有り得ぬことですぞ。数万の兵士たちが日夜戦闘を繰り広げている戦場、誰かが必ず見つけるか、そうでなくとも戦闘の流れ弾で千切れてしまう。誰にも見つからず、壊されず、なおかつ山全体に仕込んだ術式と術者を繋ぐことのできる媒介など、数ヶ月で仕込むのは難しいでしょう。……となれば、今回のネクロマンサーの疑惑自体を考え直す必要がありそうですな」


 円卓の面々も同意するように頷く。この条件を満たす媒介など、それこそ魔法のような代物だ。

 しかし、そんな男たちを尻目に、コムギはけろりと言った。


「あら、でもあるじゃない」


 本当に理解しているのかも定かでないコムギの言葉。

 エンサイドラは半信半疑で聞き返す。


「そんな都合の良い媒介が、あのヴォルゴ台地に、か?」

「ええ。うんざりするぐらいたくさんね。わからない? ……ほら、水よ、水!」


 それを聞いて、エンサイドラは思わず失笑を浮かべた。


「それはぬかるみのことを言っておるのか? それともあの霧か? 残念だが、ぬかるみ同士は繋がっておらぬ。霧とて発生するのは散発的だ。どちらも媒介としては使えぬよ」


 エンサイドラの言葉は至極正しい。けれど、コムギはそもそも、そのどちらも想定してはいなかった。


「違う違う、表に出てるやつじゃない。ほら、地下にある方よ!」


 と、勿体ぶったように下を指差す。訝しげに顔を見合わせる一同の中、ナギだけがいち早くその示唆しているものに気が付いた。


「……もしかして――地下水脈のこと?」


「そうよ! だってフューラが言ってたじゃない。支流はたくさんあるけど、実際は一本の大きな地下水脈だって。デラーコナ水脈だっけ? そもそも、そこから一杯湧き水が出てるから、あんなぬかるみやら霧やらができやすくなってるんでしょ?」

「地下水脈を媒介に……? そんなことが……?」


 エンサイドラは判断を仰ぐように魔術大臣へ視線を遣る。

 大臣はしばし悩んだ後に、大きく頷いた。


「有り得ない……ことではありませぬな。デラーコナ水脈の上流部から魔力を流せば、支流を通って山中に点在する湧水地点へと自動的に運ばれる。湧水地点すべてに前もって術式を仕掛けておけば、魔力の充填は可能。何より、存在するのが当然の水脈ならば見つかったところで問題はなく、どこかで途切れることもまず考えられませぬ。確かにこれならば、ヴォルゴ台地でも使える媒介に成り得るかと」


 その御墨付を頂くなり、コムギは渾身のドヤ顔をかました。


「ほーら、これではっきりしたわね! さあ、わかったらさっさと兵隊さんたちに伝えなさい! 戦争なんかの代わりに術式? とやらを探し出してぶっ潰しなさいって! 何万人もいるんだから、これぐらい楽勝でしょ?」


 コムギは意気揚々と指示をとばす。既にネクロマンサーの計画を完全にくじいたつもりでいるらしい。

 けれど、そんな高揚するコムギをよそに、円卓に座る四人はなぜか揃って渋い顔をした。


「……あれ? 何、その反応?」


「……率直に言おう。軍を動かすのは難しい」

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