『種族・獣と人の性を抱く者達について』
レイフィード
「皆、こんにちは~! いつも元気で明るい楽しさいっぱいの、姪御大好きレイフィード叔父さんだよ~!!」
(両手を振ってハイテンションデフォのレイフィード王登場)
――王宮のエトワールの鈴園・野外用のテーブルや椅子がセットされた場所にて唐突に始まる第四回目の今日この頃。司会兼解説役の騎士団長達の姿が見えない。
ユーディス
「お前はどんな時でも元気だね。だが、サージェス君とルディーの姿が見えないようだが、どういう事かな?」
(ユーディス=幸希の父)
レイフィード
「それがですね~、二人とも用事があるとかで遅れてくるらしいんですよ。だ・か・ら! 僕と兄上で一緒に臨時司会兼解説役をやろうかな~と。どうです? 楽しそうでしょう?」
ユーディス
「最近出番がなかったから、有難いと言えば有難い話だね。そうだ、夏葉と幸希も呼んで来よう」
(夏葉=幸希の母。ユーディスの妻)
レイフィード
「あぁ、駄目ですよ、兄上~。二人は仲良く城下にお買い物ですから。ここはひとつ、久しぶりの兄弟水入らずで仲良く!! 仲良く!! ゆっくりと語り合いましょうよ~」
ユーディス
「何故、父であり夫である私を誘ってくれないんだ……、あの二人は」
(哀愁)
――妻と娘において行かれた地味にショックな事実に打ちひしがれるユーディス。
だが、世のパパさん達にとっては入れない、母と娘の世界というものもある。
弟のレイフィードにもその悲しみをスルーされ、早速第四回目の話に突入。
レイフィード
「さてと! じゃあ楽しいティータイムをしながら解説頑張って行きましょう~!! え~と、何々? 『第四回テーマ・種族』!! そういえば、第一回では少ししか触れてなかったらしいね」
ユーディス
「種族、か……。そういえば、夏葉と暮らしていた世界では、私達の世界にいるような特殊な種族は存在していなかったな」
レイフィード
「あ~、確か、人間だけ、なんですよね? 人の姿をしているのは。後は、完全な獣や海、空の生き物とか。じゃあ、僕達みたいな種族は下手したら解剖されちゃいそうな気も」
ユーディス
「間違いなく、向こうの世界に行ってバレるような事があれば、世間どころか、全世界を騒がせる事になるだろうな……。とまぁ、これは深く考えるとアレだから、飛ばそう」
レイフィード
「そうですね~。え~と、じゃあ……、どこから話しましょうかね~」
ユーディス
「どういう種族がいるのかと、寿命の説明は終わっているようだ。となると」
レイフィード
「先に僕達のような種族の説明、ちょっと詳しい版的なものでも話しましょうか?」
ユーディス
「あぁ、それで構わないよ」
レイフィード
「はい! では元気に解説やっていきましょう~!! 僕達の種族、『獣と人』、二つの姿を行き来出来る種族のお話しだよ~。ちなみに、僕と兄上、それからウォルヴァンシア王国にいる者達の種族名は、『狼王族』。その名の通り、『獣としての姿=狼』という事になるね。『狼と人』の姿、どちらにもなれるんだよ~」
ユーディス
「まぁ、普段は皆、人としての姿でいる方が多いな。これは私達狼王族に限らず、他の『獣と人』の種族達にも言える事だね」
レイフィード
「かと言って、全然獣の姿を活用していないわけじゃなくて、息抜きの時とか、休みの日とかには、獣の姿に変じて遊んでる子も多いんだ。まぁ、所謂あれだね。気分」
ユーディス
「天気が良いと、狼の姿になってのんびりする者が多いな。勿論、優先すべきは仕事の方だが」
レイフィード
「ですね~。で、まず、僕達のような種族の成長段階に関して説明しようかな。誕生時から十歳程までを『幼年期』。十一歳頃から三十歳ぐらいまでの間を『少年期』・『少女期』。そして、三十代頃からを『成熟期』と呼ぶんだ。ちなみに、『成熟期』には『大人への変化』を迎える必要があって、二十歳を越えた辺りから三十歳頃までの間にそれぞれ変化する時期が違うんだよ。個人差ってやつだね~」
ユーディス
「早い者であれば、二十代半ば程で『成熟期』の『変化』を迎える事もある。その場合は、最初に風邪のような症状が現れ、それから三日程で『大人の姿への変化』が始まるんだ」
レイフィード
「変化一日前ぐらいになると、高熱が出たり寝台から出られないほど身体がだるくなったりする事もあるんですよね~。僕もそうだったからわかるけど、ちょっときつかった思い出があるよ」
ユーディス
「……『成熟期への変化』の間中、私に手を握って傍にいろと駄々を捏ねていたお前の事はともかく、私も熱に魘されて少々辛い思いをした覚えがあるな。ふぅ……。ちなみに、『大人の姿』への変化が完了すると、地球で言うところの二十代前半程の外見へと変わる。その場合、『顔や身体つき』の変化が一番顕著だ。一気に背が伸びたり、スタイルが変わったり、と」
レイフィード
「全体的にしっかりとした印象になる、って感じですかね~。少女期の女の子達は特に、成長後の胸に関して気にしているようだけど……、あまり大きさのなかったはずの子が突然劇的な変化を遂げて目の前に現れると、物凄く吃驚しますよ~」
ユーディス
「それは……、自分の妻の事を言っているのかな? レイフィード……」
(当時の事を思い出しながら、紅茶を飲む)
レイフィード
「あ、わかっちゃいましたか? だって、……『少女期』の彼女は、ストン……、でしたから。むしろ、男の子っぽかったといいますか、変化後には本当に驚かされたんですよ~」
ユーディス
「目の前で見ていたから知っているよ……、はぁ。その時のお前はまだ『少年期』の姿で、年上の彼女が『成熟期』に変わって現れた途端、コメントした言葉が……」
レイフィード
「言わないで下さいよ、兄上~……。僕だって悪気があったんじゃないんですよ? ただ、その、あまりにも変わりすぎていて、……つい、最初の第一声が『胸、盛ったの?』だったわけで」
(地味に反省している)
ユーディス
「その場でビンタ一発+胸倉を掴まれ、背負い投げ一本だったかな……。あれはどう考えてもお前が悪かったと思うよ……」
(遠い目)
レイフィード
「うぅ……。それぐらい、男よりも女の子の方が劇的な変化を遂げちゃうって事ですよ~」
ユーディス
「確かにね。女性は大人の姿になると華やかになるし、私達男から見れば、色々と落ち着かない部分が、ね……」
レイフィード
「男の方もちゃんと変化はありますけど、面白みがあるかと言われれば……、あまりないですからねぇ。って、脱線しましたね。後は、え~と」
ユーディス
「大人の姿になると、『魔力の制御が楽になる』・『魔力の値が増える』、などの利点もあるよ。他には……、あぁ、そうだ。『精神』の方に関しても説明しておこう。変化したからといって、すぐに精神年齢が上がるわけではないんだが。『少年期』・『少女期』に迷いやすかった心に『支え』が出来る。だから、大人になってからの方が色々と自分の心を律しやすい、と言ったところかな」
レイフィード
「あくまで、『精神の成長はゆっくり』って事なんですけどね~。それと、『少年期』・『少女期』の子っていうのは、『恋愛面で苦労』するんだよ。簡単に言うと、『自分にとって恋する相手を定め難い』って事で、自分に『恋愛的な興味』を向けてくれる相手に対して過剰反応しちゃうし、限界を越えると意識を失ったり、とね。これは、男の子も女の子も、どちらも同じだよ。まぁ、たまに猛者的な子がいたりするけど」
ユーディス
「時間をかければ、誰か一人を愛する事も可能だよ。後は、そうだね……。たとえば、小さな頃から一緒にいた男女の場合は、お互いを知っているからもっと簡単にはなるかな」
レイフィード
「例外もある、って事ですね。けど……、ユキちゃんが『成熟期』を迎えちゃったら……、はぁ……」
ユーディス
「たとえ『成熟期』を迎えようと、私はあの子を簡単に嫁にやる気はないよ?」
(ドス黒いオーラ+笑顔)
レイフィード
「ふふ、勿論じゃないですか~。ユキちゃんは僕達の大切な家族なんですから、各国の王子達が押しかけてきたって、……ねぇ?」
(同じく怖い笑顔+溢れ出す真っ黒オーラ)
ユーディス
「希望としては、たとえユキが自分の愛する者を定める時が来ようとも、ウォルヴァンシアからは出したくないね……。住居も、出来れば王宮内で」
レイフィード
「お婿さんをとるのが一番って事ですねぇ……。あぁ、でも、ユキちゃんの相手で可能性がありそうな子達でいうと、アレクやカインはすんなりと入ってくれそうですよね、お婿に」
ユーディス
「いや、アレクはともかく、カイン皇子はその生まれと受け継いでいる力から考えると、将来的にはイリューヴェルの次期皇帝という道が開く可能性がある」
レイフィード
「でもあの子、きっと皇帝なんか嫌だ~! って、お婿さんルートに来てくれそうですけど」
ユーディス
「カイン皇子がそう思ったとしても、イリューヴェル皇帝が何と言うか……」
レイフィード
「あぁ、なるほど……。グラヴァードからしたら、しつこく食い下がって来そうですからねぇ。まぁ、その時は僕が返り討ちにしちゃいましょう」
(グラヴァード=イリューヴェル皇帝)
ユーディス
「後は……、そうだね。番外編でやっている『IFルート』で考えると……、ルイヴェルは婿入りが無理でも、王宮には住んでくれそうだ。サージェスティン殿は……」
(パラパラと、IFルート関連の資料を確認中)
レイフィード
「ガデルフォーン騎士団長、ですからねぇ……」
サージェスティン
「俺、別に騎士団長職に執着とかないから、引き継ぎさえしっかりやらせてくれたら、喜んでお婿に入っちゃうよー?」
(いつの間にか王族二人の目の前にいた人)
ユーディス&レイフィード
「「!?!?」」
サージェスティン
「遅くなってごめんねー、ウォルヴァンシアの王様、ユキちゃんのパパさん。それから、読んでくれてる皆」
(ニコニコ)
レイフィード
「はぁ……、君は本当に神出鬼没だね……。ちょっと吃驚したよ」
ユーディス
「同じく。仕事はもういいのかい?」
サージェスティン
「バッチリ、片付けて来たから大丈夫ですよ。それよりも、ユキちゃんのお婿さん候補の話をしてるんでしょ? でも、今日は『種族』の解説回でしたよね? 脱線しちゃったの?」
ユーディス
「まぁ、結果的にはそうなるんだが……。『成熟期』を迎えた後、ユキに群がる虫をどうしようかという話の延長でね」
レイフィード
「っていうか、サージェス君……。君さ~、本当にお婿なんてなれるの? 一国の騎士団長としての立場やドッサリなお給料、全部なくなっちゃうんだよ? それと、こっちに来た場合の職はどうするの?」
サージェスティン
「んー、貯金はたんまりあるし、団長職も陛下に脅されてなったようなものだし、特に問題はないと思うんですよー。あと、ウォルヴァンシアに移住するとしても、安心安心。俺、色々と手に職持ってるからね」
レイフィード
「頼もしいんだか、無謀なんだか……。え~と、じゃあ、次は、ルディーだね」
ユーディス
「ルディーは……、騎士団長職を続けている間は王宮にいてくれるだろうが、婿入りは無理だろうな」
サージェスティン
「ですよねぇ……。ルディー君、一応、元皇子様なラシュさんの息子だから、ウチの陛下が結婚しなかった場合、必然的にルディー君が次のガデルフォーン皇帝に」
ルディー
「ならねーよ」
サージェスティン
「あ、ルディー君いらっしゃーい。俺もさっき来たところだよー」
ルディー
「そんな事はどうでもいいんだよ。それよりも……、俺はガデルフォーンを継ぐ気はないからな。親父が元皇子でも、俺は関係ない」
レイフィード
「とは言ってもね~……。万が一の場合は、君だって腹を括らなきゃ駄目なんだよ? そうしないと、ガデルフォーンが無法地帯になっちゃうよ」
ルディー
「あのですね、陛下……。俺は混血なんですよ? 純潔の竜煌族じゃないわけで、それを別にしても、国の統治者なんて向かないって、わかってますよね?」
サージェスティン
「でも……、陛下と同化してる『ガデルフォーンの宝玉』、……ルディー君に両手をわきわきさせてるって、陛下が言ってたよ? 両手なんかないけど」
(真顔)
ルディー
「ひぃいいいいいいっ!!」
レイフィード
「とまぁ、ルディーのこれからは神のみぞ知る、っていう事で……。ん~、僕達の種族性的に、他に何か話す事ありますかね~、兄上?」
ユーディス
「そうだな……。とりあえず、『成熟期』を迎えた後から死ぬまでの身体の状態にでも話しておこうか。『成熟期完了時』は、地球の者達の年齢換算で二十代前半程の外見だが、そこから時を重ねていくと、どんなに時が経っても、最終的には外見が三十代程までしか成長しない。つまり、そこから外見の老いがないという事になる」
レイフィード
「まぁ、大抵は三十代前半までが限界ですよね。けど、ダンディさに憧れて外見年齢を魔力調整で弄っちゃう人もいますから、パッと見に本当の年齢を掴む時は、その人の気配が重要になってくる、と」
サージェスティン
「ウチの陛下みたいなもんだねー。陛下ってば、滅多に大人の姿にならないで、いっつも少女の姿。本人曰く、動きやすいから、だって言ってたなぁ」
ルディー
「まぁ、中には気配ごと誤魔化して本当の子供みたいに見せる奴もいるけどな。ちなみに、俺が普段見せているこの少年期っぽい姿は、嘘じゃないが、四つある姿の内のひとつってやつだ」
サージェスティン
「ルディー君の場合、今のこの姿は狼王族としてのものなんだよね。あぁ、そうだ。『混血』についても、次回解説しようか? そろそろ第四回の文字数が大変な事になってきてるし」
レイフィード
「おや、じゃあ次からは君達に任せてもいいのかな?」
サージェスティン
「四人で仲良く解説回・続、って事ですよー。付き合ってくれるよね? 王様とユキちゃんのパパさん」
ユーディス
「あぁ、構わないよ」
ルディー
「はぁ、騎士団に戻りたい……」
(哀愁)